コーポレートIT管理「ジョーシス」、135億円をシリーズB調達——世界40カ国でリリース、体制強化しエンプラ市場参入へ

SHARE:
ジョーシス 代表取締役社長 CEO の松本恭攝氏
Image credit: Masaru Ikeda

※この記事は英語で書かれた記事を日本語訳したものです。英語版の記事はコチラから。

IT デバイスや SaaS 管理などコーポレート IT 業務の自動化を支援するプラットフォーム「ジョーシス」を提供するジョーシスは6日、シリーズ B ラウンドで135億円を資金調達したと発表した。

このラウンドはグローバル・ブレインとグロービス・キャピタル・パートナーズがリードし、ジャフコ(東証:8595)、ラクスル(東証:4384)、SMBC-GBグロースファンド(SMBC ベンチャーキャピタル・マネジメントとグローバル・ブレインによる運営)、31 VENTURES(三井不動産とグローバル・ブレインによる運営)、農林中金キャピタル、Z Venture Capital、WiL(World Innovation Lab)、NTT ドコモ・ベンチャーズ、Value Chain Innovation Fund(セイノーホールディングスと Spiral Capital Partnersによる運営)、Yamauchi-No.10(任天堂創業家のファミリーオフィス)が参加した。

グローバル・ブレイン、Yamauchi-No.10、WiL はシリーズ A ラウンドに続くフォローオンでの参加。ジョーシスにとっては2022年9月のシリーズ A ラウンドに続くもので、累積調達額は179億円に達した。投資家は純投資を狙うところが多く、事業共創よりも事業グロースに力点を置いたものだということだ。今回の調達を受けて、ジョーシスではグローバル事業展開、エンタープライズ市場への参入、サービス強化、体制強化を行う。

ジョーシスのマネージメントチーム
Image credit: Masaru Ikeda

ジョーシスは2021年9月にラクスル(東証:4384)の4番目の事業としてスタート。今年初めに、会社分割(簡易新設分割)により、ラクスル子会社としてジョーシス株式会社が設立された。その後2022年3月、ジョーシスは、非開示の割当先に対して第三者割当増資を実施しており、ラスクルの連結子会社から持分法適用関連会社となった(増資後の議決権所有割合は35.6%)。その後のシリーズ A ラウンドを経て、ラクスルのジョーシスに対する議決権所有割合は希釈化されている。

ジョーシスは SaaS(IT デバイスや SaaS の管理)、EC(IT デバイスの購買)、BPO(キッティングの移管)をまとめてクラウド化、アウトソース化できるサービスだ。企業の〝情報システム部門(情シス)〟の作業軽減と業務効率化を狙う。企業のコーポレート IT 部門が全業務の4分の1程度をクラウド化またはアウトソーシングにより圧縮できる可能性があるため、中小企業にありがちな担当者1名しかいない〝ひとり情シス〟状態の解消、情シス担当者の離職率の改善などが期待できる。

新たに取り組むグローバル事業展開では、北米、アジア太平洋地域40カ国でグローバルリリースを行う。ジョーシスのチームは全体で120名ほど。このうち日本には30名がいて、インド70名、ベトナム10名、残りは、シリコンバレーにいるチームだ。ジョーシスに求められるシステムはその多くをインドで開発しており、全体のサービスデザインはシリコンバレーで行っているという。アジア太平洋地域のセールスやオンボーディングでは、シンガポールやマレーシアのチームが担当する。

エンタープライズをターゲットに含めることで目指すジョーシスの今後の事業領域
Image credit: Masaru Ikeda

グローバル事業展開では、北米、アジア太平洋地域40カ国でグローバルリリースを行う。ジョーシスのチームは全体で120名ほど。このうち日本には30名がいて、インド70名、ベトナム10名、残りは、シリコンバレーにいるチームだ。ジョーシスに求められるシステムはその多くをインドで開発しており、全体のサービスデザインはシリコンバレーで行っているという。アジア太平洋地域のセールスやオンボーディングでは、シンガポールやマレーシアのチームが担当する。

エンタープライズ市場への参入では、これまでジョーシスは300人以下の中小企業が主なターゲットだったが、今後、それ以上の規模の中規模・大企業の企業もターゲットにおいていく。大企業では SaaS を情報システム部が一元管理できていないことがあり(シャドーIT の存在)、IT ガバナンスの崩壊が問題化している。ジョーシスでは従業員起点の台帳統合により、信頼できる唯一の情報源 (Single Source of Truth; SSOT)の再構築に貢献できるとしている。

マネージメントの皆さん。左から、VP of Japan Marketing の芹澤倫史氏、 代表取締役社長 CEO の松本恭攝氏、日本統括上級副社長の高山清光氏、VP of Japan Sales の林幹人氏。
Image credit: Masaru Ikeda

体制強化にあたっては、Pendo.io Japan の日本代表を務めた高山清光氏がジョーシスの日本統括上級副社長に、ZVC JAPAN 執行役員エンタープライズ営業本部長を務めた林幹人氏がジョーシスの VP of Japan Sales に、パロアルトネットワークスでメジャーアカウント営業本部長を務めた芹澤倫史氏がジョーシスの VP of Japan Marketing に、それぞれ就任したことが明らかにされた。また、同社は日本企業の DX 推進のための知識や洞察力を提供する場として「ジョーシスアカデミー」を発足させる。

ジョーシスは2021年9月に事業内容が発表され、2022年からサービスの提供を開始し、この1年間で ARR が10倍に増加したという(具体的な値は非開示)。同社では成長要因として、コロナ禍を契機に多くの企業がリモートワークにシフトし SaaS の導入が急増した中で、IT デバイスと SaaS の管理負担、各部門の IT 導入増加、IT 管理者の分散などが背景にあるとしている。同社では「ハイブリッドワーク時代の情報システムの OS を提供する」としている。

Members

BRIDGEの会員制度「Members」に登録いただくと無料で会員限定の記事が毎月10本までお読みいただけます。また、有料の「Members Plus」の方は記事が全て読めるほか、BRIDGE HOT 100などのコンテンツや会員限定のオンラインイベントにご参加いただけます。
無料で登録する