音楽ストリーミング「KKBox」運営、4,000万米ドルを調達——同業「MyMusic」買収、4Qに台湾で上場へ

KKCompany Technologies(科科科技集団)は15日、プレ IPO ラウンドで Chunghwa Telecom(中華電信)、トレンドマイクロ(趨勢科技)などから4,000万米ドルを調達したと発表した。

KKCompany には「KKBOX」や「KKStream」などのサービスがあり、消費者に馴染みのある「KKTV」や「KKLIVE」は KK Culture グループに属している。KKCompany は今年第4四半期に台湾で上場する。

KKCompany が株主に迎えた戦略的投資家は、日本第2位の通信会社 KDDI、シンガポールの政府系ファンド GIC で、HTC に続くものとなる。今回の資金調達は、「国際事業領域」「製品アプリケーション開発」「技術人材育成」を含む3つの主要分野の推進に充てられる。

Chunghwa Telecom は以前にも KKBOX に出資しており、近年は KKBOX のトップチャートと音楽ショーケースの5G サービスでも協力している。中華電信社長の Shui-Yi Kuo(郭水義)氏は、KKCompany の5G 革新的アプリケーションや、クラウドと AI アプリケーションの開発における高い成長可能性を楽観視しており、そのために出資額の増額を決めたと述べた。

hunghwa Telecom に加え、KKCompany は別の通信会社と手を組んだことも話題になっている。Taiwan Mobile(台灣大哥大)は16日、KKBOX と戦略的提携を結んだと発表した。KKBOX の親会社である KKCompany は、Taiwan Mobile の子会社 Taiwan Kuro Times(台湾酷楽時代)を3,000万米ドルを超えない金額で完全買収することに合意した。同時に、Taiwan Mobile は KKCompany の増資に1500万米ドル参加することを決議した。

MyMusic ユーザは、10月から KKBOX に乗り換え

簡単に言えば、KKBOX は MyMusic を買収し、2023年10月中旬から MyMusic の加入者は KKBOX の加入者となる。

台湾クリエイティブ・コンテンツ・エイジェンシー(TAICCA、文化内容策進院)が発表した「2022年台湾文化コンテンツ消費動向調査報告書」によると、音楽消費動向をみると、2022年には音楽聴取率が90%を超え、消費者の36%が有料音楽ストリーミングを利用し、YouTube Music(43%)、Spotify(42%)、KKBOX(34%)、Apple Music(21%)、LINE Music(13%)、MyMusic(9%)、friDay Music(9%)の順となった。このうち、LINE Music は2022年半ばに音楽配信サービスを終了した。

2022年初頭、MyMusic の登録ユーザ数は628万人、KKBOX は200万人以上の有料会員を含め、アジア全域で1,000万人以上のユーザ数を記録したリピーターがどれだけいるか、MyMusic の登録者のうち有料会員の割合がどの程度かはともかく、表面的には両社は多くの音楽ユーザをカバーしていることになる。

Taiwan Mobile 社長の Jamie Lin(林之晨)氏は、次のように語っている。

KKCompany と戦略的提携を結び、両社の音楽ストリーミング事業を統合できることを大変嬉しく思う。将来的には、KKBOX ブランドのもと、すべてのユーザにサービスを提供し、KKBOX がクリティカルマスを獲得し、国際市場への展開を加速させることを支援する。

また、Taiwan Mobile は KKCompany の株式の一部を取得したため、チャネルやバンドルなどの通信リソースで KKBOX の成長を支援する。

KKCompany の時価総額は5億ドルを超えたか?

Taiwan Mobile 発表したニュースにより、さらに詳しい情報が明らかになった。Taiwan Mobile は KKCompany の株式4,547,000株を1株当たり3.2989米ドルで取得する。取引総額は1,500万米ドルとなる。

Taiwan Mobile の KKCompany への出資比率は2.8%で、優先株とその他の株式を除いた KKCompany の時価総額は5億3,571万米ドル以上となる。営業数字をほとんど公表しない KKCompany にとって、これは内部状況を垣間見る貴重な機会である。

KKCompany の CEO Steve Wang(王献堂)氏

外部の憶測では、KKCompany と KKCulture の分割は、より収益力の強い有望なプロジェクトである KKCompany と、 KKCulture の上場に向けた準備であるともみられている。

KKCompany の CEO Steve Wang(王献堂)氏は次のように述べている。

当社は今年第4四半期に台湾で上場申請を行う予定だ。音楽ストリーミング、マルチメディア技術、クラウドインテリジェンスなどの KKCompany の事業部門が、当社のビジネスパートナーと手を携えて、企業や一般消費者により良いサービスと製品を提供することを楽しみにしている。

もうひとつだけ、不確かだが小さな懸念材料がある。Taiwan Mobile は2022年初め、サウンドエコノミーブランド SoundOn 集団に投資し、MyMusic との連携を深めると述べた。MyMusic が KKBOX に売却された今、KKBOX は別のホスティングプラットフォーム「Firstory」に投資しているが、SoundOn と Taiwan Mobile の関係は純粋な金銭的投資に終わるのか、それとも Firstory と何らかの交流があるのか。KKBOX が MyMusic と合併するのを待たなければ、はっきりしたことはわからない。

【via Meet Global by Business Next(数位時代) 】 @meet_startup

【原文】

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