協働ロボットを開発するDoosan Robotics、460億円超を調達し韓国で今年最大のIPOに

Image credit: Doosan Robotics

Doosan Robotics は5日、IPO を発表し、総額4,210億ウォン(約463億円)を調達した。

ブルームバーグによると、Doosan Robotics の1株26,000ウォン(約2,860円)という株価は、上場価格の1.27倍であっただけでなく値動きの中でも最高値を記録し、取引開始直後に59,100ウォン(約6,500円)まで急騰し、最高で一時67,600ウォン(約7,400円)に達した。しばらく乱高下した後、株価は徐々に安定した。

それだけでなく、個人投資家からの申込額は33兆ウォン(約3.6兆円)に達し、今年の最高記録を更新した。

IPO 直後の善戦は、最近の韓国 IPO 市場にとって珍しいニュースだ。ロンドン証券取引所グループ(LSEG)によると、韓国企業の2023年1~9月期の調達額はわずか17億米ドルと、前年同期の127億米ドルを大きく下回り、それだけでなく、多くの韓国企業は IPO 後数日で投資家からすぐに株が売られ、発行価格を下回る株価となった。

逆境に負けず、目覚ましい成果を上げた Doosan Robotics とは?

公式サイトによると、Doosan Robotics は2015年に地元財閥 Doosan Group によって設立された韓国最大の協働ロボットアームメーカーで、人手不足というペインポイントの解決を願い、さまざまな産業(ケータリングや工場など)向けに製品を開発してきた。現在、これらのロボットは、一部のレストランで人間と並んで働き、コーヒーやフライドチキンを作ったり、空港でビールを出したり荷物を運んだりしている。

Image credit: Doosan Robotics

Doosan Robotics の CEO William(Junghoon)Ryu 氏は Bloomberg とのインタビューで「これは離陸しつつある市場です」と述べ、韓国は協働ロボットと産業オートメーション技術の開発において優位性があり、この市場はビジネスチャンスに満ちていると付け加えた。

調査会社 MarketsandMarkets が発表したレポートによると、世界の協働ロボット市場は今年12億米ドル、2029年には68億米ドルに達すると予想されている。

Doosan Roboticsの2022年の年間業績を振り返ると、同社の売上高は主に北米、ヨーロッパ、韓国などでそれぞれ約30%を占めており、顧客にはヒュンダイ自動車、LG、ロレアルなどがいる。また、韓国証券取引所(KRX)の情報によると、同社全体の売上高は約450億ウォン(約50億円)で、損失は約132億ウォン(約15億円)である。

これに対し、Ryu 氏は今年9月、地元メディアの取材に対し、「2024年には黒字になる見込みだ」と語っている。

IPO 後に期待すること

韓国の中央日報によると、Doosan Robotics は IPO で調達した資金を戦略的買収と海外進出に充てる計画だ。例えば、A 地点から B 地点への物体移動におけるロボットの効率を向上させるため、モビリティ技術を持つ別の企業の買収を検討しているという。

一方、Doosan Robotics は、ロボットの感度を向上させる目的で、AI 研究にも積極的に投資している。今年8月には、Doosan Robotics は Microsoft と協力協定を結び、Azure OpenAI をロボット制御システムに連携した。これにより、ユーザは「料理を1品か2品用意しなさい」といった簡単な音声コマンドを与えるだけで、ロボットが自動的に最適な作業順序を選別し、作業を完了することができる。

韓国 の Eugene Investment Securities(有進投資証券)のアナリスト Yang Seung-yoon 氏は次にようにコメントした。

Doosan Robotics にとっては、販売と製品ラインナップを拡大することで、市場を攻略する良いタイミングだ。しかし、日本のファナックやデンマークの Universal Robot など、市場にはすでに多くの強力な競合企業が存在するが、世界的な人口減少や労働力不足などの社会現象を前に、ロボット市場は依然として注目に値する分野だ。

ただし、ロボットの既存設備との親和性を考慮すると、市場参入が早ければ早いほど、足場を固めることができるだろう。

【via Meet Global by Business Next(数位時代) 】 @meet_startup

【原文】

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