10月2日~10月6日に公開された韓国スタートアップの調達のうち、調達金額を開示したのは4件で、資金総額は142.5億ウォン(約15.8億円)に達した。なお、前の週がチュソク(秋夕)を含む連続休日だったため、ニュースは少なめとなっています。
主なスタートアップ投資
- デジタルヘルスケアソリューション「Soldoc(솔닥)」が70億ウォン(約7.7億円)を調達し、累積調達額は100億ウォン(約11億円)、企業価値は400億ウォン(約44億円)に達した。今回の投資で医療従事者向けソリューション「Soldoc Partners(솔닥파트너스)」導入先を拡大し、医療脆弱階層を対象にした非対面医療インフラを拡充する計画だ。
- TNS(티에네스)が37.5億ウォン(約4.1億円)を調達した。デジタルベースの透明マウスピースによる矯正専門歯科企業で、調達した資金は、システム高度化のための研究開発に活用する。
- Reset Company(리셋컴퍼니)が30億ウォン(約3.3億円)を調達した。ソーラーパネル清掃ロボットと廃パネルのアップサイクルソリューションを提供している。無人清掃ロボットにより、発電量を10~20%増加させるプランを構築しており、韓国や日本で300台の清掃ロボットを販売している。
- プラットフォーム広告代行サービ「REVU Corporation(레뷰코퍼레이션)」が KOSDAQ に上場した。グローバルインフルエンサープラットフォーム専門企業として、累積会員110万人を擁する。韓国内外企業とインフルエンサーと連結するサービスを提供している。
トレンド分析
多くのデジタルヘルスケアが存在する中、カスタマイズ診断サービスに注目
今年のバイオヘルスケア分野の投資は、医療分野に IT を組み合わせたサービスを提供するデジタルヘルスケア領域に集中した。製薬バイオ投資は全体的に低迷した一方、デジタルヘルスケア企業の資金調達は善戦したことがわかった。Startup Recipe のデータによると、今年9月時点で、バイオヘルスケアに投資された資金総額は4,185億ウォン(約460億円)で、デジタルヘルスケア企業が資金調達額は全体の50%に迫った。製薬バイオが比較的、一社あたりの調達規模が大きいことを考えると、デジタルヘルスケアスタートアップに多くの資金が流入したことがわかる。
デジタルヘルスケア分野で調達に成功した企業は、患者データを収集、AI を活用・分析し、ソリューションを提供するところがほとんどだ。特に医療機器を通じて診断、治療、予防を支援するスタートアップが注目された。指輪型の心臓モニタリング機器を開発する Sky Labs(스카이랩스)、網膜心血管疾患診断器「Mediwhale(메디웨일)」、口腔センサー融合機器「Curaum(큐라움)」などが主な企業で、それぞれ100億ウォン(約11億円)以上調達した。
パーソナルヘルスケアプラットフォームも大規模に調達している。歩数計アプリ「CashWalk(캐시워크)」を運営する Nudge Healthcare(넛지헬스케어)、カスタマイズサプリメント「Pillyize(필라이즈)」などが代表的だ。そのほか、メンタルヘルス、スリープテック、シニアテック分野は一社あたりの調達金額が大きくはないが、初期投資領域で着実な成果を出している。
新型コロナウイルス感染拡大で急激に成長し、昨年、大規模な投資が行われたリモート非対面医療サービスは調達のニュースが少なかった。再診中心の規制転換で未来が不透明になり、事業を中断したりサービスを変えたりするなど下方傾向を示した。製薬会社が先を争って投資していたデジタル治療薬への言及や投資も減少した。
投資環境が良くない今、時間と資金が多くかかる製薬バイオ中心の事業に代わって、投資家の関心はデジタルヘルスケアに集中するのは当然のようだ。デジタルヘルスケアは患者データに基づいて AI などを活用してカスタマイズされたサービスを提供するとともに、AI やデータ分析で精度を高め、診断時間を短縮したり、業務負担や医療費を削減したりできるなど、さまざまなメリットで投資家の関心を集め、さらに成長する見通しだ。
【via StartupRecipe】 @startuprecipe2
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