11月20日~11月24日に公開された韓国スタートアップの調達のうち、調達金額を開示したのは9件で、資金総額は672.5億ウォン（約77億円）に達した。

主なスタートアップ投資

• AI 精密医療企業 ImpriMed（임프리메드）が300億ウォン（約33億円）を調達した。シリコンバレーに拠点を置く ImpriMed は、AI 技術を利用して患者にカスタマイズされた抗がん剤効能予測サービスを提供している。血液がんにかかったペット犬に、治療薬の効果を予測するサービスを、アメリカ全土の動物病院250カ所で展開している。
• Lucent Block（루센트블록）がシリーズ B ラウンドで150億ウォン（約17億円）を調達し、累積調達額が340億ウォン（約39億円）に達した。不動産の部分投資プラットフォーム「Sou（소유、日本で「所有」の意）」を運営している。
• AI 自動投資ソリューション「Quantec（콴텍）」が90億ウォン（約9.9億円）を調達し、シリーズ C ラウンドでの調達額が170億ウォン（約19億円）に達した。同社はロボアドバイザーを使った非対面投資一任サービスを提供しており、今回の NH 投資証券を受けて、「Quantec RoboAdvisor」を金融プラットフォームに搭載、差別化された顧客サービスを提供する計画だ。

トレンド分析

ファッション／ビューティープラットフォームの投資が先行する理由

ファッション／ビューティープラットフォームは、投資の冬の中でも、調子を上げている分野の一つだ。Startup Recipe のデータによると、今年は10月までに4,560億ウォン（約521億円）がこの分野に流入した。2,000億ウォン（約220億円）を調達した Musinsa（무신사）を筆頭に、Kream（크림）、Ably（에이블리）、Rapport Labs（라포랩스）など主に消費者とファッションブランドを結ぶ e コマースは今年も大規模な資金調達を実施した。調達市場はさらに悪化したものの、ファッション分野だけは投資規模・分野などで変化幅が少なく、企業当たりの調達金額も他分野に比べ大きかった。

今年の黒字転換のニュースを伝えた分野も、ファッションプラットフォームが注目を集めた。Ably や Rapport Labs などは、成果に集中する戦略を通じて取引額、売上成長など可視的な成果を出した。ビューティースタートアップは上場債務に乗り出した。今年のユニコーン企業入りのニュースを伝えた APR（에이피알）が代表的だ。APR はグローバルの売上高上昇に支えられ、来年初め無理なく上場に成功すると予想される。

分野で見ると、年齢や性別など特定の消費者を狙ったバーティカルプラットフォームが今年も強勢だった。大規模な資金調達に成功したスタートアップの共通点を見ると、データと AI 技術に基づくサービスという特徴がある。主なプラットフォームはすでにビッグデータと AI を活用してパーソナライズされた推奨サービスを提供してきており、最近ジェネレーティブ AI がすべての産業に融合し始め、ファッションにも活用されつつあるようだ。

また、靴、メガネなど特定のファッションアイテムにも AI を適用して制作過程の簡素化など、効率性を向上させている。持続可能なファッションがトレンドとして位置づけられ、そのためのソリューションも投資家から関心を集めている。IT 領域ではないがK-ファッション／ビューティー人気で韓国スモールブランドも翼をつけている。国内の成功に基づいてグローバル市場に進出するところは収益性を伴い、調達の期待感を高めている。

投資悪化の余波はないものの、 2021年に爆発的に成長したハイエンドプラットフォームの大規模調達のニュースは無かった。昨年、生き残りの資金調達に成功したが、今年は投資成功のニュースは伝えられておらず、ハイエンドプラットフォームの実績改善は現在進行中と見られている。また年内上場を推進した「Hwahwe（화해）」運営会社の BirdView（버드뷰）は上場暫定撤回を決定した。やはり収益性の改善に失敗し、構造調整も進んだことが分かる。

ファッション／ビューティー産業は、将来の成長性と革新性に期待して投資家がまだ関心を持っている分野だ。国内だけでなくグローバル市場でも成長可能性が高く、K-ファッション／ビューティースタートアップにも大きな機会が開かれている。ただし、市場先取のため複数企業の競争が熾烈な市場であるだけに、差別化された競争力の確保と収益性の改善が重要になるだろう。

【via StartupRecipe】 @startuprecipe2

【原文】