台湾のEV愛好家が創業したPurismEV、運転者の癖を学習するAIで燃費4割・バッテリー寿命2.3倍の改善に成功

PurismEV 共同創業者の2人。左から:COO Ming Chu(朱明萱)氏、CEO Gigi Huang(黄彦喆)氏
Photo by Hou Junwei(侯俊偉)氏

燃費向上に狙いを定めるスタートアップ PurismEV。同社の製品である AI 燃費向上システムは、自動車の航続距離を40%伸ばし、寿命を2.3倍に延ばすことで、EVの航続距離不安に対処する。また、既存の EV 車両を改造し、運用効率を高める SaaS(Software as a Service)モデルも導入している。

交通の電化競争において、電気自動車(EV)は環境に優しいだけでなく、より効率的な未来を約束する。なぜ EV はまだどこでも普及していないのか? 自動車会社が内燃機関(ICE)車から EV にシフトする際、バッテリーがいまだにネックになっているからだ。電気自動車の総価格の30~40%はバッテリーセルが占めるため、そのコストは依然として大きな障壁となっている。その寿命と効率も、EV メーカーに課題を突きつけている。

PurismEV の共同創業者 兼 CEO Gigi Huang(黄彦喆)氏は次のように語った。

電気自動車のモーターは、人々の運転習慣に影響され、バッテリーのエネルギー変換効率は40%から95%という驚異的なばらつきがあります。

このような大きな性能差は、バッテリーの寿命に直接影響する。潜在的なコスト負担を最小限に抑えながら、バッテリーの航続距離を延ばす手段を発見することが求められている。

エネルギー効率に照準を合わせているスタートアップ PurismEV は、まさにこのようなペインポイントに取り組むことを目指している。同社の製品である AI による燃費向上システムは、車両の航続距離を40%伸ばし、寿命を2.3倍に延ばすことで、EV の航続距離不安に対処する。このシステムは、EV の走行パターンに基づいてモーターとバッテリーの効率を高め、バッテリーの劣化を防ぐ。

AI で EV の燃費を向上するソリューションとは

Photo by Hou Junwei(侯俊偉)氏

EV が世界の道路で勢いを増す中、バッテリーの限界という固有の課題が依然として懸念されている。問題の核心は、バッテリーの容量だけでなく、その効率にもある。PurismEV の燃費向上システムは、モーターとバッテリーの両方を最適化し、個人の運転習慣に基づいて調整する。常に再調整を行うダイナミックなシステムで、さまざまな条件下で最適な性能を発揮する。

Gogoro(睿能)のような典型的な EV を考えてみよう。現実には、ほとんどのユーザは70kmか80kmしか走れない。この不足は機械だけの問題ではなく、運転の習慣とも深く関わっている。このスタートアップは、この限界を押し広げ、ユーザが毎回の充電でより多くの走行距離を得られるようにすることを目指している。

EV モーターはすでに、従来の内燃エンジン(ICE)を凌駕している。ICE では通常、エンジンのエネルギー変換効率が最大30%なのに対し、EV のモーターは40%から90%にも達している。もし EV でエネルギー変換効率を90%に近づけることができれば、性能の差は一変する。PurismEV は、動的適応性を最大化することで、それを実現しようとしている。

渋滞や晴天など、交通状況が変化するシナリオでは、車両は自動的に性能を調整する。一般的にレスポンスが遅くなる静的な「エコモード」を特徴とする標準的な車両とは異なり、PurismEV は複数のエコモードを提供する。システムが現在の走行状態に最適なモードを判断し、それに応じてスロットルレスポンスと速度を調整する。つまり、従来のシステムではペダルが半分踏まれたときに30%の出力が得られるかもしれないが、PurismEV のシステムは特定のシナリオに対して、最も効率的な出力を計算するため、時々刻々と変化する可能性があるわけだ。

さらに、システムはモーターの状態をモニターするためにセンサーを利用し、速度、加速度、特定のモーター情報などの重要なデータを収集する。主な焦点はドライバーの行動と車両情報であり、道路状況は補足データとして使用される。

PurismEV では、アクセルを全開にすると、エンジンの出力が直線的ではなく曲線的に増加し、各車両に合わせた速度に効率的かつ効果的に到達する。このシステムは、44.4%という驚異的な効率向上をもたらし、EV の未来をより有望で持続可能なものにしている。

自らもクルマの熱狂的なファン、ノウハウをマスターした創業者の2人

PurismEV は、既存の EV を改造し、運用効率を高める SaaS(Software as a Service)を導入している。
Image credit: PurismEV

私は常に自動車に情熱を持っています。(Huang 氏)

バージニア工科大学を卒業した Huang 氏は、まず高度な機械工学プログラムを受けるために渡米した。彼は車のブランドや新モデルを暗唱できるだけでなく、手で車を改造することもできる。 2013 年、彼は大卒業後、General Motors のプロジェクトに取り組んだ。その後、2年生のときに EV を自分で作った。

Huang は自身の関心にのめり込み、スタートアップに参加してバッテリー開発と自動車に取り組んだ。 Huang 氏が、のちに PurisimEV の COO 兼共同創設者となった Ming Chu(朱明萱)氏に出会ったのはその頃だ。Chu 氏は自動車業界で事業開発をしていた。

彼女は、台湾の自動車やオートバイのサプライヤーである Eks Specialities(輪将)に在籍していたとき、世界の EV メーカーが皆、部品を購入するために台湾に来ていたことに気づいた。この経験から、彼女は世界的な EV メーカーと多くの知り合いになった。

エコシステムと業界に精通した Chu 氏と Huang 氏は、力を合わせて EV の人気を高める会社を作ることを決意した。 彼らのロードマップはデータドリブンのイノベーションに基づいており、ユーザのニーズに合わせて車両が継続的に最適化されるようにしている。

PurismEV は、重要な瞬間に予測加速を提供することで安全性を高め、貴重な時間を節約することを目指している。 どの座席位置からでもユニバーサルにコントロールでき、車に乗るすべての座席の人が操作しているように感じられるのも同社のビジョンの特徴だ。

PurismEV は自社車両以外にも、既存の EV を改修する Software as a Service(SaaS)モデルを導入している。 また、電動モビリティサービスとの連携にも熱心で、さまざまな交通プラットフォームにスマート EV の利用範囲を拡大している。 PurismEV のロードマップは、持続可能な未来に向けて電動モビリティの推進、運転体験とサービス統合の向上を示唆している。

【via Meet Global by Business Next(数位時代) 】 @meet_startup

【原文】

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