ポストZenlyは誰の手に? 位置情報レースを争うスタートアップたち/GB Tech Trend

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非公開額でシリーズAラウンドでの調達を発表した「Jagat」
Image Credit: Jagat

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」掲載された記事からの転載

今週の注目テックトレンド

GB Tech Trendでは世界で話題になったテック・スタートアップへの投資事例を紹介します。

元Zenlyの開発チームが位置情報アプリ「Amo」をローンチしたニュースが市場を騒がせています。2023年は、こうしたロケーションアプリトレンドに注目が集まり、アジアにも飛び火した年でした。

3月にローンチされた「Jagat」は、世界ユーザー数が1,000万に到達したことを明かしています。本アプリは位置情報交換SNSで、まさにZenlyを模倣したプロダクトです。リアルタイムで友人と連絡を取り合ったり、周囲の新しい人々やアクティビティを発見したりすることができます。Jagatはシンガポールとインドネシアを拠点に、東南アジア市場でアプリ展開をしています。また、10月に非公開額でシリーズAラウンドを完了しています。

現在、広く使われているZenlyに続くアプリは、近場にいる友人や恋人との情報交換ツールとして使われています。ただ、こうしたアプリはユーザー数を多く抱えた先行アプリが市場を獲得する(Winner Takes All)様相になりやすくなります。先ほど紹介したJagatも地域、つまりアジア市場における位置情報のポジションをいち早く取りたいとレースに参加している1社、というわけです。混沌とする市場状況の中、地域とは異なる独自の技術や機能から差別化を図るアプリも登場しているので一部を簡単に紹介します。

たとえば元Twitterのプロダクトマネージャーと1Passwordのエンジニアが発表したアプリ「Rex」が挙げられます。同アプリはAI機械学習を用いて、ユーザーのカメラロールからレストランなどの店舗やアウトドア先の写真を自動で選定。撮影場所情報と実際のスポット情報を紐づけて、ユーザーのお気に入りの場所として自動でキュレートし、友人とシェアできる新しい地図アプリです。

リアルタイムで位置情報を交換する機能はありませんが、インフルエンサーや口コミ情報に影響を受けてきた外出体験を変えるべく、友人同士で近場のスポット情報を手軽に交換できるSNSとして注目を集めつつあります。すでにAccelやKhosla Venturesから396万ドルの資金調達を実施しています。

また、本メディアでも伝えた、お気に入りの場所にいいね!やコメントを付けたり、おすすめの行き先情報リストを発表できる「Atly」や、ショート動画で行き先情報を確認できるビデオマップアプリ「Atmosfy」も2023年に登場しました。こうした位置情報および地図アプリの動向を見ていると、かつて母親ユーザー向けに子供が遊びやすい公園やレストラン情報をキュレートした情報特化型の地図アプリ「Winnie」のように、デモグラフィックを細分化する流れが2024年度以降に出てくるかもしれません。

12月12日〜12月25日の主要ニュース

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