先月Hugging Face公開LLMで評価首位、「SOLAR」開発元が28億円調達など——韓国スタートアップシーン週間振り返り(1月8~12日)

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「SOLAR」
Image credit: Upstage

1月8日~1月12日に公開された韓国スタートアップの調達のうち、調達金額を開示したのは7件で、資金総額は478億ウォン(約52.7億円)に達した。

企業名 産業分野 調達額 ラウンド 投資家
42maru
(포티투마루)
LLM、NLP開発 40億ウォン(約4.4億円) シリーズB Hancom
Sugar Pick
(슈가픽)
コホート型学習 非公開 シード Hexagon Ventures
BuzyRun Company
(부지런컴퍼니)
子供の未来資産アプリ 非公開 シード CNT Tech
Cartius
(카티어스)
幼児専用AIチャットボット 非公開 プレシリーズA Smilegate Investment、Stick Ventures、中小ベンチャー企業振興公団
Seisson
(세손)
幼児童スキンケア 非公開 シリーズA Partners Investment、韓国信用保証基金
Doogooda
(두구다)
AI予測分析 非公開 プレシリーズA Kingsley Ventures
QSIM+
(큐심플러스)
量子通信 30億ウォン(約3.3億円) シリーズA Mirae Asset Venture Investment、Intervest、Stick Ventures
INEEJI
(인이지)
AI予測ソリューション 81億ウォン(約8.9億円) シリーズA KT Investment、KDB韓国産業銀行、Capstone Partners、ウリ銀行
Study Max
(스터디맥스)
ビッグデータに基づく英語学習習慣設計 非公開 シリーズC Company K Partners
Better Dance Surf
(베러댄서프)
ライフスタイルブランド 非公開 Y&Archer
Granter
(그랜터)
AIによる支出分析 非公開 シード Strong Ventures、Octagon Venture Partners、Primer Boost組合
Honest Fund
(어니스트펀드)
オンライン投資連携金融 50億ウォン(約5.5億円) Jinwon Group
The New Grey
(더뉴그레이)
中高年向けコンテンツコマース 非公開 シード Blue Point Partners
eMotiv
(이모티브)
デジタル治療薬 23億ウォン(約2.5億円) プレシリーズA MY Social Company(MYSC)、The Wealth Investment、韓国信用保証基金
Upstage
(업스테이지)
LLM、業務用チャットボット 250億ウォン(約28億円) シリーズB SK Networks
Dayton
(데이톤)
AIモデル「RBM」を使ったソリューション開発 非公開 K Ground Ventures
Nanum Vitamin
(나눔비타민)
貧困家庭の子供を救う食事シェアリング 4億ウォン(4,400万円) シード ソウル大学技術持株、Impact Square

主なスタートアップ投資

  • AI スタートアップの Upstage(업스테이지)が SK Networks から250億ウォン(約28億円)を調達した。プライベート LLM を開発する技術競争力、AI 産業の成長性、Upstage と SK Networks のシナジーの可能性などが考慮され、今回の投資が決定された。
  • 産業 AI 予測ソリューション「INEEJI(인이지)」が81億ウォン(約8.9億円)を調達した。説明可能 AI エンジンに基づいて製造産業プロセスの最適化を実現する産業 AI 予測ソリューションを提供する。調達した資金は、AI 技術の高度化、市場拡大などに活用される
  • オンライン投資連携金融会社 Honest Fund(어니스트펀드)が Jinwon Group から50億ウォン(約5.5億円)を調達し、累積調達額は442億ウォン(約49億円)に達した。 Jinwon Group は、子会社の SCI Information Service(SCI 평가정보)と Honest Fund の AI 技術力でシナジー創出を目指し投資を実行した。

トレンド分析

アンケート調査:2023年の振り返り、2024年の見通し

Startup Recipe がシードステージからグロースステージ(シリーズ B ラウンド以上)スタートアップに投資する国内外主要アクセラレータ・VC15人を対象に投資環境に対するアンケートを行った結果、2024年のスタートアップ投資市場は2023年より良くなるという意見が得られた。ただ、過去のようなスタートアップ好況期は中短期的には期待できないという回答が支配的だった。

2022年にはやや悪い程度に現れた投資環境が2023年には非常に悪い状況になり、スタートアップにとってはより難しい年だったことがわかる。状況の深刻度も、やはり2022年と同様に懸念するほどのものだった。分野別のリーダーでは、大規模調達には偏りがあり、調達できた社は調達できたため、まだ良好な状態だと答えた投資家も多かった。

投資家の過半数以上は2023年に投資を縮小したことが分かり、体感では、企業価値は2022年比30%以上減ったと回答した。アーリーステージに投資する社ほど、維持や以前同様に投資実行したという回答が多く、投資ステージが上がるほど縮小したという意見が多数を占めた。減少した新規投資比率は20~50%など投資ステージ別に異なっていたが、グロースステージの投資家ほど投資を縮小した割合は高くなった。これは、不安定な情勢で良い投資先を見つけることができなかった VC が、危険因子を避けるために一時的に動きを止めたことも理由の一つである。企業価値の下落で積極的に資金調達していないスタートアップもあり、全体的に投資取引は減ったと分析できる。新規投資は減ったがフォローオン投資を増やした VC もあった。新規投資の代わりに既存のポートフォリオにフォローオン投資することで、既存の投資先を支援したわけだ。

投資環境とは無関係に投資が続くと見た分野では、90%以上が AI 企業を選択して圧倒的に多かった。その中でも2023年は OpenAI の動きからジェネレーティブ AI が注目され、該当分野の投資が集中的になったりもした。これからもこの流れは続く見込みだ。そのほか、投資家は環境(気候、エネルギー、ESG)、デジタルヘルスケアに注目し、農業・宇宙、製造などにも投資が続くと見た。一方、過去数年間に大規模な資金を集めてきたフィンテック、モビリティ分野への関心度は落ち、AI を融合して教育市場を変えていくエドテックには、アンケートに回答投資家の一人も注目していない。

投資家の過半数以上は2024年の投資環境を2023年より良くなると回答し、60%が投資を増やすと答えており、今年はスタートアップにとっては息抜きができる予想される。投資市場の回復時期は2024年下半期と見込まれた。2025年以降になるという回答も多かった。また、数年前に経験したスタートアップ投資好況期は、3~5年以内には来ないと見ている。そんな時代が再び来ないと見込んだ投資家もいて、5年以降またはわからないという回答者も均等に出てきたのを見ると、過去に短かったスタートアップ好況期の再来は当分期待しない方が良いと思われる。

【via StartupRecipe】 @startuprecipe2

【原文】

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