あの上場済スタートアップの創業者が第二起業、スマホで表情による市場調査「エモミル」とは/【MUGENLABO Café・推しスタ】

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ヴィアゲート 代表取締役社長 CEO 下崎守朗氏

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」掲載された記事からの転載

MUGENLABO Magazine編集部では定期的に開催している「スタートアップ×大手企業」のマッチングイベント「MUGENLABO Café」にやってきてくれたスタートアップをピックアップしてご紹介しています。今回は、2023年12月にILS(イノベーションリーダーズサミット)内で開催した「MUGENLABO Café」に訪問いただいたスタートアップの中から3社をご紹介いたします。

皆さんが仮に起業家だとして、今のスタートアップがイグジットしたら(もちろんイグジットしないという選択もあります)、次は何をしますか。投資家になるか、後進の企業家の支援者になるか、新たな起業にチャレンジするか。今回取り上げる下崎守朗氏は、まさに最後のケースに該当します。

2014年10月に創業後、2021年10月に上場したクラウドに接続できる防犯カメラとして人気の「Safie」を開発するセーフィーは、日本のスタートアップ界のサクセスストーリーの1ページを飾る企業といっていいと思います。最近では工事現場などの近くを歩いていると、Safieのカメラをよく目にするので、スタートアップの製品を超えて、メジャーな存在になっています。

セーフィーは、画像加工アプリ「Motion Portrait」を開発したことで知られるソニー木原研究所の3人のメンバーが中心となって設立され、そのメンバーの一人が下崎氏です。彼は2023年に、セーフィーでの取締役としてのポジションを常勤から非常勤に変更し、Viagate(ヴィアゲート)という新たなスタートアップを立ち上げました。

Viagateが現在主軸のサービスとしているのは、動画やwebサイトを見ることでポイ活ができる「emomil(エモミル)」と、それを元にマーケティングリサーチのためのAI解析ができる「emomil リサーチ」の2つです。同じツールを元に、消費者側から見た場合と、企業側から見た場合でサービス呼称が区別されています。

emomilサービス内容

emomilは、スマートフォンの前面カメラ(自分側を向いている内蔵カメラ)を使って、ユーザの表情や目の動きを補足できるサービスです。これまでも、PCのwebブラウザでwebサイトのどの部分にマウスオーバーしているか、モバイル画面のどの部分を指で触れているかを見る技術はありましたが、emomilではモバイル画面のどの部分を見ているかも追うことができます。

知り合いの会社と組み、3,000人ほどのモニターにこのアプリを使ってもらうPoCを終えたところです。動画コンテンツとの相性がすごくいいことがわかりました。短編動画やwebサイトを見てもらい、その反応をつぶさに捉えることができます。(下崎氏)

これまでマーケティングリサーチと言えば、紙であれ、デジタルであれ、モニターにアンケートで答えてもらうものが主流でした。しかし、この方法の場合はアンケートの作り方、つまり、尋ねる文章の言い回しや選択肢の並べ方などによって、結果がかなり左右されてしまうのです。目の動きや顔の表情は人の潜在意識に近いので、ノイズの少ないフィードバックが得られます。

デジタル製品ではないリアルな製品であっても、それを動画や写真の形で共有することができれば、emomilを使って迅速かつ精緻な反応を消費者から回収することが可能です。現在、下崎氏のチームはプロダクトのブラッシュアップと、このソリューションをリサーチに使ってみたい企業の掘り起こしに余念がありません。2月の正式ローンチを楽しみにしています。

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