AI気象予測モデル「Jua」に見る、次世代AIサービス企業誕生の兆し/GB Tech Trend

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降水量の予実比較。左が Jua.ai の Vilhelm モデルによる54時間予想との比較、右が IFS(ヨーロッパ中期予報センター)の IFS モデルによる12時間予想との比較。
Image credit: Jua.ai

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」掲載された記事からの転載

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GB Tech Trendでは世界で話題になったテック・スタートアップへの投資事例を紹介します。

2024年はAI機械学習および大規模言語モデルを活用した、従来よりさらに高度なAIユースケース拡大が見込めそうです。今回紹介する天気予報に特化した言語モデルを有するスタートアップ「Jua」は、まさに災害対策や農業の領域で、新たなAIの展開事例を作ろうとしています。

Juaは、天候と気候パターンのモデリングと予測を行うスイス拠点のスタートアップ。現在はエネルギー業界の企業向けに予測データを提供しており、今回1,600万ドルの資金調達を発表しています。本ラウンドでは、468 CapitalとGreen Generation Fundが共同リードを務め、Promus Ventures、Kadmos Capital、Flix Mobility founders、Session.vc、Virtus Resources Partners、Notion.vc、InnoSuisseらが参加しています。

単に天候や気象予測を行うAI機械学習のモデルといっても、市場には大手競合がひしめいています。例えばGoogleのGraphCastや、NvidiaのFourCastNetなどが挙げられます。こうした競合に対して、Juaは、その豊富な教師データを武器に戦っていこうと考えているようです。こちらの記事によると、GraphCastの20倍という大規模なモデルを持ち、GPT3が約45テラバイト、GPT4が1ペタバイトであるのに対し、約5ペタバイト(5,000テラバイト)の学習データを保有しているとのことです。

Juaは気象データを必要とする企業への展開を進めていますが、今後は保険会社、化学・エネルギー・プロバイダーから、災害計画チーム、農業組織、航空会社、援助チャリティーに至るまで、自然界のデータを必要とする広範な企業へ向けてインサイトを提供したいとしています。この点、ユニークな展開が予想されそうなのが、農業市場です。

特に欧米圏の農家は、広大な土地を有し、その管理にロボットやドローンなどの機械を使った大規模なオペレーション構築が必要となっています。ここに昨今のAIアプローチが大きく刺さる可能性があります。例えば、かつてAI画像認識を用いた害虫駆除サービスを提供していた「Spensa Technologies」が挙げられます(以後、Spensa。現在はクローズ)。同社は、衛星画像から気象予想データ、そして農地各所に設置されたカメラセンサー付きの虫かごまでの情報をもとに、特定の害虫発生を事前予測するサービスを農家向けに展開していました。

事前予測された害虫別の発生リスクをもとに、駆除剤の小売サービスまで実践しており、AIを活用した中長期な農家サポートシステムを展開するビジョンを掲げていました。JuaのようにChatGPT以後に登場した大規模言語モデルをもとにすれば、Spensaの精度を超えるサービス化も夢ではありません。

2024年はインフラのポジション確立を狙うAI企業のインサイトを使い、さまざまな領域でユニークなサービス企業が誕生することが期待されます。中でも先述のSpensaのような壮大なビジョンを掲げつつ、テクノロジーの進化が追いついていなかったようなケースでは、圧倒的にAIの精度が高まった今、サービスコンセプトをリバイバルさせた企業の登場が予想できるのではないでしょうか。

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