NVIDIA、1兆ドル企業の原点は「デニーズ」

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Denny’sのCEO、Kelli Valade(ケリー・ヴァレード)氏とNvidia CEOのJensen Huang氏。ここがNvidia創業の地だ。Image Credit:GamesBeat/Dean Takahashi

※編集部註:本稿は昨年9月に提携メディアのVentureBeatに掲載された記事を改めて翻訳し、掲載したものです。半年前の記事になりますのでご注意ください。

世界最大級のハイテク企業のCEOであるJensen Huang(ジェンセン・ファン)氏は本日(訳注:原文の掲載日は昨年9月)、カリフォルニア州サンノゼのデニーズ・レストランでNvidiaの創立を祝った。

サンノゼのベリーサ・ロードにあるデニーズ・レストランは30年前、このチップ設計会社がスタートした場所でもある。 彼の会社は、3Dゲーム用のグラフィックチップやAI革命の原動力となるAIプロセッサを提供している。

私がNvidiaに関する最初の記事を書いたのは1996年のことで、当時、同社はグラフィック・チップを「ウィンドウズ・アクセラレーター」として売り込んでいた。しかし、それよりも前の1993年、Huang(ファン)、Chris Malachowsky(クリス・マラコウスキー)、Curtis Priem(カーティス・プリーム)の3人が共有した「夢」からこの物語はスタートしている。

今日、同社の市場価値は1兆ドルを超えた(※)。Huang氏はデニーズを、とてもアメリカらしい場所だと表現していた。

デニーズが誇る「トリリオン(兆円)」インキュベーター

サンノゼのベリーズにあるデニーズのブースには、Nvidiaの創業を記念するプレートが掲げられている。

この記念すべき日にちなみ、デニーズのKelli Valade(ケリー・ヴァレード)CEOは「すべてが始まったレストラン」でHuang氏に会うためにやってきた。Huang氏はイベントの前、グランドスラムの朝食などを食べたそうだ。Valade氏は1兆ドル企業を築いた彼らを称える盾を贈呈した。また、賞金2万5,000ドルを得て、誰もが「次のHuang氏」を目指すことのできる新たなコンペティション「デニーズ・トリリオンダラー・インキュベーター」の開始を伝えている(※)。

応募は11月まで受け付けており、一般の人々がアイデアに投票できる。 その後、同社は「シャーク・タンク」スタイルで上位5つのアイデアを評価し、1人の勝者を決定する。

デニーズは、次の1兆ドル規模の新興企業を見つけるコンテストを開始した。

「デニーズのブースで朝食とコーヒーを飲んでいれば、素晴らしいことが起こるかもしれません。それが何に関するものかは関係ないです。ファッションであろうと、アートであろうと、別のタイプの企業であろうとね」(Huang氏)。

Huang氏は台湾から移住した後、アメリカでの最初の仕事をデニーズで見つけた。彼はバスボーイやウェイターとして人との接し方や料理の出し方を学んだと振り返る。彼の兄はウェイターとして常にメニューや皿を持って無駄なく動き回り、決して「手ぶらで」配膳台やテーブルを離れるな、と教えてくれたそうだ。

「謙虚さ、勤勉さ、他者への共感の仕方、誰かに喜びを与えようとすること。それらすべてが良い人生を送るための術になるのです」とHuang氏は語る。そしてValade氏もまた、16歳のときにデニーズで働き始めたという。

「ここでは生きる術やホスピタリティを学ぶことができます。この私たちのホスピタリティの遺伝子は消えることはありません。生きる術を教えることで、人々の人生を変えることができる。これはとても素晴らしいことです。私たちは、人々の心と身体、そして「魂」を満たすことが大好きなんです」(Valade氏)。

この2人のCEOは共にデニーズで働いていた。

Seaside Dining GroupのCEOであるGarren Grieve(ガーレン・グリーブ)氏は、ベリエッサにあるデニーズ・レストランを所有している。これは彼がフランチャイズ・オーナーとして所有する数十店舗のうちのひとつだ。彼のチームは、Nvidiaの創業を示すプレートをブースの上にも設置した。 この場所は1960年代に建てられたが、Grieveはそれ以外のハイテク企業がこのレストランで生まれたかどうかは知らない。

「私たちはこの場所をとても気に入っています。 素晴らしいロケーションで、私たちはとても幸運です」とGrieve氏は語った。

70年の歴史を持つデニーズは1,600店舗以上を展開している。 Valade氏のインタビューによると、数カ月前にウォール・ストリート・ジャーナルがHuang氏のインタビューを掲載し、その中でデニーズのレストランについて言及していたのがきっかけになったそうだ。そこでデニーズのチームは、Huang氏のために楯と式典を作ることを思いついて彼に連絡を取った。

私はHuang氏に「デニーズのナプキンにビジネスプランを書いたのか?」と尋ねた。 すると彼はデニーズ時代には事業計画などなかったよ、と返してくれた。

彼はただ「何をすべきか」がわかっていた。

「正直、私たちの誰も事業計画の書き方など知らなかった」ーーファン氏はそう振り返る。しかし、彼らはユニークな価値を持つビジネスを創造する方法と、創造することが非常に困難になるであろう「発明」の在り処を知っていた。

「それが私たちにとてつもない喜びをもたらすことになったのです。ただ当時は収益を予測する方法もよくわかっていませんでした。思えば険しい道のりでした。まあ、正直、今もまだ苦労してますがね」(Huang氏)。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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