
Image Credit: Nvidia
日本の建設機械メーカーのコマツが、人工知能を使って建設現場を安全にする取り組みで Nvidia と協業することになった。
米カリフォルニア州サンタクララを拠点とする Nvidiaは、GTC Japan のイベントの場でこの提携についてコメントした。CEO の Jensen Huang 氏によると、同社のグラフィック処理ユニット(AI 処理に使用される GPU)を使い、安全問題に関連した建設現場の視覚化と分析で協力していくという。
ロボットやドローンを動作させるよう設計されているクレジットカードほどの大きさの同社 AI プラットフォーム Jetson が重機の中枢として機能する。
Huang 氏は声明の中で次のように述べた。
人工知能の勢いはあらゆる業界でみられますが、次のフロンティアは自律的なインテリジェントマシーンです。未来のマシーンは周囲を感知して常時注意を怠りませんので、操縦者が効率的かつ安全に作業をする手助けとなるでしょう。建設業や鉱業にとってのメリットは相当なものになります。
Nvidia が他社と提携してAIの活動で業務変革をするのは、建設業界が最新の事例だ。医療画像の分野では GE Healthcare や Nuance、ロボティクスではファナックと提携している。自律走行運転では、アウディ、テスラ、トヨタ自動車、ボルボなど225社超の自動車メーカーやスタートアップ、研究所との提携実績がある。
建設現場には重機があるほか地面は平らでなく、作業が常時行われているため、一般的に最も危険な職場だと考えられている。昨年も、日本だけで死者が300人ほど、負傷者は1万5,000人を記録した(建設業労働災害防止協会調べ)。
さらに日本の建設業界は、人口の高齢化により国全体で深刻な労働者不足にも悩まされている。日本建設業連合会によると、2014年時点で約340万人いた技能者のうち、3分の1にあたるおよそ110万人が今後10年間で引退するとみられている。
コマツは2015年、こうした問題に対処するため「スマートコンストラクション」の取り組みを開始した。これは、現場の作業員と物体に関連するデータを結び付けることで建設現場をより安全かつ生産的にするものだ。日本での導入実績はこれまでに4,000件以上、海外進出も含めてさらなる展開が計画されている。
NVIDIAの画像処理や仮想化、そしてAI
における豊富な技術やノウハウを活用することで、建設分野を「未来の現場」に変革させることができるでしょう。
コマツの常務執行役員兼 CTO の岩本祐一氏は声明の中でこう述べた。
コマツでは、Nvidia の技術を活用して建設現場を3D で可視化し、作業員、機械、物体のやり取りをリアルタイムで表示する予定。現場にある高価な機器については、正常に使用されているかを確認するために念入りにモニターされる。
GPU は建設現場にあるドローンやカメラと通信し、分析および可視化のための AI プラットフォームとしての役割を果たすことになるだろう。SkyCatch がドローンを提供し、 現場の地形を可視化するために3D のイメージを収集しマップ化する。IoT のマネジメントソフトウェア企業である Optim はアプリケーションを提供し、監視カメラから集められた個人や機械の情報を特定する。両社はコマツの提携企業であるが、いずれも Nvidia の AI スタートアップ向け「インセプション・プログラム」のメンバーだ。
【via VentureBeat】 @VentureBeat
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