
潤沢な資金を保有し、アプリやインフラを対象にクラウドでモニタリングを行うプラットフォームの Datadog がフランスのスタートアップ Madumbo を秘密裏に買収した。Madumbo は AI 対応のウェブアプリテストサービスを開発している企業だ。取引の条件は明らかにされていない。
ニューヨークを本拠とする Datadog は2010年設立、デベロッパーが開発途上のあらゆるものをモニタリングし、データベース、サーバ、アプリなどにある計数やイベントを単一ビューで統合できるDevOps のツールセットを提供している。顧客には Twitter、Sonos、Airbnb、WeWork、Medium、Nokia、Ubisoft、Samsung、Zendesk などの有名企業が名を連ねている。
2017年にパリで設立された Madumbo は、ウェブアプリが想定通り動いているかを企業が判断できる自動化プラットフォームを提供している。Madumbo ではボットがリアルなブラウザで動くコードを使用してエラーを確認する。これはユーザが体験しているのと同じ問題を検知できることを意味する。
Datadog による企業買収はこれで3度目となる。2015年にはデータプロセシングとアナリティクスプラットフォーム Mortar Data、その2年後にはログ管理スタートアップ Logmatic.io を買収した。
以前と同様、Madumbo の買収もきわめて戦略的な動きと言える。これによりアプリ、インフラ、エンドユーザ体験にまたがる包括的なクラウドモニタリングプラットフォームを提供することが可能になるからだ。
Datadog CEO の Olivier Pomel 氏は次のように話している。
Madumbo は洗練された AI プラットフォームを構築してきました。ウェブアプリが正常に動作しているかがすぐに判断できます。
Madumbo のコア技術のおかげで当社のプラットフォームが強化され、顧客に対し多くの最新デジタル体験・モニタリング機能を拡充できるようになります。
今日の DevOps
最近発表されたMarkets and Marketsのレポートによると、世界の DevOps 市場は現在の30億米ドルから2023年には100億米ドルになると予想されている。あらゆる企業は今ではソフトウェア企業になっている。この業界では多くの動きがあり、巨額の資金調達、買収に次ぐ買収が行われているのはそのためである。
ここでは自動化がますます大きな役割を果たすようになっている。それによりデベロッパーはありふれた業務から解放される一方でバグやクラッシュがないか継続的にモニターすることができる。
Datadog は異常検知、外れ値検知、予測を対象とするアルゴリズム的なアラートなど、さまざまな手段で AI をすでに活用している。同社は昨年、Watchdog をローンチした。これを活用すればデベロッパーは初めにアラートを設定しなくてもパフォーマンスの異常を自動検知できる。

Datadog は設立以来、Mark Zuckerberg 氏が支援する資産管理企業 Iconiq Capital がリードした2016年の9,450万米ドルのラウンドを含め、約1億5,000万米ドルを調達してきた。Madumbo には、外部から資金を調達した実績がない。ただし同社広報は VentureBeat に対し、友人や家族からブートストラッピング資金を、フランス政府から少額の助成金を受けたとコメントした。
Madumbo のチームはすでにパリにある Datadog の R&D オフィスに参画しており、今年終盤にローンチされる予定の一連の最新製品の開発に取り組んでいるという。
【via VentureBeat】 @VentureBeat
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