LLM使い社内の多言語コミュニケーション支援、元スマニュー紀平氏率いるエレクトリック・シープが2億円をシード調達

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エレクトリック・シープの創業メンバー。エレクトリック・シープの創業メンバー。左から平井貴志氏、千葉史哉氏、紀平拓男氏、小宮篤史氏
Image credit: Electric Sheep

企業内の多言語コミュニケーションを促進する Slack アプリ「TellYa」を開発するエレクトリック・シープは19日、シードラウンドで約2億円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、XTech Ventures、西口一希氏(Strategy Partners 代表取締役) 堅田航平氏(五常・アンド・カンパニー CFO)、名前非開示の個人投資家1名。調達した2億円は、TellYa の販売促進と、新製品の開発・営業体制強化新製品の開発・営業体制強化に充てられる。

エレクトリック・シープは、エンジニアでスマートニュース出身の紀平拓男(きひら・たくお)氏らにより2023年10月に創業した。紀平氏は以前、Flash を HTML5で再生する技術を開発する BroadTail を創業しディー・エヌ・エー(東証:2432)に売却、その後、iOS アプリから web アプリへ変換する技術を持つ Tombo を創業し、2018年12月にはスマートニュースに売却した経験を持つ。

同社は、外国人従業員の活用が進む中、言語の違いによるコミュニケーション課題を解決するため、生成 AI を活用した製品開発を行っている。従業員エンゲージメントの幅広い課題を生成 AI で解決するのが狙いで、その第一弾となるのが TellYa だ。このアプリは、大規模言語モデル(LLM)による高精度翻訳機能を備えており、Slack 上でのメッセージをボットがリアルタイムで翻訳しスレッド上に投稿するアプリだ。ユーザの発言の編集・削除などに追従し、チャットの流れを妨げないのが特徴だ。

「TellYa」
Image credit: Electric Sheep

TellYa 自体はビジネスの本丸ではなく、あくまでドアノックツールに過ぎない。TellYa を使わなくても、将来的に Slack 自身が翻訳機能を持つ可能性だって十分に考えられる。我々が目指すのは、顧客企業に入り込んで本当の課題を発掘し、LLM によってその課題を解決することだ。具体的には、LLM と社内の同僚を組み合わせたコミュニケーションツールの開発を構想している。(紀平氏)

すでに世の中には、社員の質問に対し、社内のナレッジベースなどから情報を検索し回答してくれるボットサービスなども存在するが、これでは十分な情報を得られないケースもある。紀平氏は、例えば、ボットでは回答できない質問は同僚に転送され、同僚が回答してくれるということができれば、企業ごとにユーザデータのデータセットが構築されていくのではないかと考えている。こうしたデータセットがあれば、より高度な LLM サービスを提供できるようになるかもしれない、というわけだ。

昨年1月、スマートニュースは大規模なレイオフを実行したことが明らかになった。日本には法律上レイオフは存在しないが、このタイミングに、日本でもスマートニュースからスタートアップ市場へと優秀な人材が流出したのは事実のようだ。紀平氏の場合は、自ら望んで LLM を使ったビジネスに挑戦するためスマートニュースを後にしたということのようだが、今後各所で、スマートニュース出身の起業家や技術者が「スマートニュースマフィア」となって活躍する姿を目にする機会が増えるかもしれない。

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