マーケティングをユーザコミュニティ運営で支援、シンセカイテクノロジーズが2億円をプレシリーズA調達

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Image credit: SHINSEKAI Technologies

<28日午前11時更新> 訂正線部を削除、赤字部を追記。

東京に拠点を置く SHINSEKAI Technologies は28日、プレシリーズ A ラウンドで2億円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、GREE Ventures、SGgrow、D4V、NES、double jump.tokyo。これは同社にとって、2023年2月に実施したシードラウンドに続くものだ。GREE Ventures は前回ラウンドに続くフォローオンでの参加。

大社武氏

企業とユーザのつながりは今や欠かせないものになった。従来のマーケティング手法に変革を求める声が高まる中、SHINSEKAI Technologies はコミュニティマネジメントによって新たな顧客体験を実現しようとしている。「ユーザとの関係構築が企業のマーケティングにおいて非常に重要になってきている」と言うのは、同社代表の大社武(おおこそ・たける)氏だ。

大社氏は2011年にサイバーエージェント(東証:4751)に新卒入社し、2012年に GREE (東証:3632)とサイバーエージェントの合弁会社グリフォンの取締役に就任。その後、タップルのマーケティング責任者、TORIHADA の代表取締役を務め、インフルエンサーマーケティング領域で事業を成長させた。2022年に SHINSEKAI Technologies を設立し、当初は企業の Web3進出支援などを中心に行っていた。

これまでの SNS マーケティングは、有名インフルエンサーを起用した一方向の広告宣伝が中心だった。

インフルエンサーマーケティングには課題が多く、企業はユーザの生の声を活用したマーケティングを強く求めている。(大社氏)

そこで SHINSEKAI Technologies が着目したのがユーザコミュニティによるマーケティングだ。企業が運営するコミュニティに「KOC(キーオピニオンコンシューマー)」と呼ばれるロイヤルユーザを増やし、彼らが自然と SNS に UGC(ユーザ発信コンテンツ)を投稿・拡散するサイクルを生み出すことが期待されている。

従来のインフルエンサーマーケティングとは違い、コミュニティではユーザ同士が双方向でコミュニケーションできる。(大社氏)

同社では Discord などのプラットフォームを活用し、企業ごとにコミュニティマネージャーを配置。さらにスーパーバイザーやモデレーターなどの役割分担を設け、チーム体制で企業に対してデータドリブンなユーザコミュニティ運営を支援している。このアプローチが注目を集め、すでに大手企業20社以上から引き合いがきているという。

自社プラットフォームを持ち合わせ、データ分析ツールも自社開発していることが高く評価されている理由です。運用ノウハウを標準化することで、コミュニティマネージャーの属人性への不安も払拭できます。(大社氏)

同社の最終目標は、ユーザとブランド企業を繋ぐ「コミュニティコマースプラットフォーム」の構築だ。企業に対してはユーザの再購入を促進し、一方でユーザには UGC の投稿の場を提供する。「ユニファイドコマース(統合された商取引)の実現を目指しています」と大社氏はビジョンを述べた。

従来、eコマースではユーザ体験(UX)の改善が追求されてきた。しかし今後は、購買行動の全過程を通した顧客体験(CX)の向上が重要になると考えられている。同社のサービスは、そうしたユニファイドコマースを実装するためのアプローチとなる。その足掛かりとなるのが企業のユーザコミュニティ運営を一気通貫で支援するサービス「MURA(ムーラ)」だ。

現在は企業のコミュニティ構築支援や自社プラットフォームの開発に注力しているが、今後は海外展開も見据えている。大社氏は「特にクリエイターエコノミーの領域において、当社のサービスは急成長が見込める」と自信をのぞかせた。競合の少ないブルーオーシャンを確実に巻き込み、5年から10年先にグローバルトッププレイヤーを目指すと語った。

同社では今回調達した資金を、ユーザコミュニティプラットフォーム「MURA Community MURA コミュニティ」α版開発と販売体制の強化に充てる計画だ。MURA Community MURA コミュニティ は、従来の SNS マーケティングでは実現できなかったユーザ間の活発な相互交流によるロイヤリティ向上を実現し、さらにそれをコマース活動に効果的に導く。α版のリリース日と事前登録については後日発表される見込みだ。

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