TOKIUM、創業10年を経て新製品投入——企業の課題一掃に向け、GPT-4o搭載「契約管理」ローンチへ

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TOKIUM 代表取締役の黒崎賢一氏、プラットフォーム戦略室の大槻直輝氏
Image credit: Masaru Ikeda

TOKIUM は29日、都内で記者会見を開き、クラウドサービス「TOKIUM 契約管理」をローンチすると発表した。6月3日から提供される予定。生成AI「GPT-4o」を搭載し、契約業務にまつわるさまざまな企業の悩みを一挙に解決することを目指す。

TOKIUM 代表取締役の黒崎賢一氏は創業以来これまでを振り返りつつ、今こそが新たなスタートラインだと力強く宣言した。

創業して10年が経過しましたが(創業は2012年6月、当時の社名は BearTail)、私にとってこれが本当のスタートラインだと考えています。ビジネスを革新する大変重要な構想で、まだ初期段階の重要な部分です。

まるで今日が会社設立日のように、新しいサービスをスタートさせる思いで取り組んでいます。皆さまにも、普通の法務系サービスとは全く違うと実感していただけたら嬉しいです。もしかしたらこれが新しい世の中の標準になるかもしれません。(黒崎氏)

近年、下請代金支払遅延などの防止を目的とした下請法の監視強化などから、企業における契約業務の重要性と負担感が増しており、この課題への対応が求められている。

実際に、TOKIUMが2024年5月に契約業務に携わる1,100名を対象に行った調査では、契約書の管理を「負担に感じている」と回答した割合が72%に上った。負担を感じる最大の理由は、「確認したい契約書がすぐに見つからない」ことだったという。

さらに、契約管理が適切にできていない企業のうち、85%が「契約管理に起因する大小の問題を抱えている」ことも明らかになった。つまり、多くの企業が契約管理に起因した法令違反やガバナンス不全など、重大なリスクを抱えているという深刻な実態が浮き彫りになったのだ。

「TOKIUM 契約管理」を説明する、TOKIUM プラットフォーム戦略室の大槻直輝氏
Image credit: Masaru Ikeda

こうした背景から、TOKIUM では TOKIUM 契約管理の開発に着手した。

TOKIUM プラットフォーム戦略室の大槻直輝氏は、従来の契約管理と一線を画す本サービスのコンセプトを次のように説明する。

従来の契約管理は、契約の発生が会社規定を満たしているかをチェックすることが主な目的でした。一方、当社の新サービスは、業務プロセス全体の改善・効率化を行い、さらにはデータ可視化により支出の最適化を図ることを目指しています。(大槻氏)

具体的な機能とメリットは次の通りだ。

  • 製本された状態の紙契約書を、TOKIUM がスキャンしデータ化、保管を代行
    • 製本された契約書をばらばらにする手間が不要に
    • オフィスのペーパーレス化と保管場所の削減が可能
  • AI-OCR で全文をデータ化し、GPT-4o が自動で取引先名や契約期間を抽出
    • 契約管理台帳の作成が自動化され、手作業の入力が不要に
    • TOKIUM 上ですぐに契約内容が確認できるため、探索の手間が大幅に削減
  • 約540万社の企業データベースと連携し、取引先情報を自動更新
    • 取引先の社名や住所、インボイス番号の変更作業が不要に
    • 表記ゆれによる取引先の重複登録を防止
  • 契約更新時期を事前にメール通知し、自動更新や解約リスクを回避
    • 契約自動更新などの非意図的なリスクが軽減
    • 自動更新した場合は、最新の契約期間が自動で反映

大槻氏は先行導入企業の事例を紹介し、本サービスのメリットを強調した。

従来は、契約や支払を管理するシステムがバラバラで、裏側のデータが別々に独立していました。そのため、データの連携がうまくいかず、管理に膨大な手間がかかっていた企業様が多数ありました。

しかし当社のサービスでは、契約、請求、支払など支出に関する一連のデータを一つのプラットフォームで一元管理できます。顧客企業からは、そのメリットを高く評価していただいております。(大槻氏)

Image credit: Masaru Ikeda

TOKIUM は創業以来、「支出管理(BSM=Business Spend Management)」の領域に徹底的に特化し、請求書のクラウド受領や電子帳簿保存など、日本で2,000社以上が利用する主力サービスを展開してきた。今回の新サービス投入により、「支出管理プラットフォーム」としての地位を一層確固たるものにする。

ガバナンス強化や法令遵守の要請が高まる中で、実は多くの日本企業が契約管理に起因した重大なリスクを抱えていることが分かりました。本サービスを通じて、そうした企業のリスクを一掃し、支出の最適化を実現したいと考えています。(黒崎氏)

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