風況可視化技術で防衛やSDGs領域を新たな角度から変革するメトロウェザー/KDDI ∞ Labo7月全体会レポ

古本淳一さん

メトロウェザー代表の古本さんは、空の風を計測する革新的な技術について発表しました。2015年に京都大学発ベンチャーとして設立された同社は、赤外線レーザーを用いて空気中の塵の動きを捉え、風を可視化する装置「ドップラー・ライダー」を開発しています。この技術は、人間の目には見えない風の動きを精密に計測することを可能にしました。

メトロウェザーの事業領域は、防衛分野における「ディフェンステック」、環境SDGsに関連するエコシップを含む「グリーンテック」、そしてドローンや空飛ぶクルマの安全運航の3つです。特に注目を集めているのは、商船三井との共同プロジェクトです。世界で初めて、「船上風況計測装置」の開発を始動し、帆船に風計測技術を導入することで、現在、でも8%の燃料削減を達成しており、今後は20%の削減を目指しています。この取り組みは、海運業界の排出量削減に大きく貢献することが期待されています。

メトロウェザーの技術は、国内外で高い評価を受けています。特に米国市場に注力しており、NASAのラングレー空軍基地周辺に2台のライダーが設置され、試験観測が行われています。これは、ドローンや空飛ぶクルマの分野で先進的な米国市場での活躍を目指すメトロウェザーの戦略を反映した取り組みです。

メトロウェザーの技術は、目に見えない風を可視化し、その情報をさまざまな産業に活用することで、従来にない価値を創造しています。国内では、2025年の大阪・関西万博に向けて、大阪市内に3台のライダーネットワークを提供中です。これにより、季節ごとの長期的にリアルタイムの風向・風速の観測情報を提供し風の変化を長期的に観測し、万博期間中の安心・安全な運営に貢献することを目指しています(古本さん)

メトロウェザーは現在、航空機搭載型ライダーの開発に取り組んでおり、近年多発している乱気流による航空機事故の防止に貢献することを目指しています。古本氏は、最近のシンガポール航空の事故を例に挙げ、乱気流による深刻な被害を防ぐためのリアルタイムな風況観測情報の重要性を強調しました。

また、ドローン検知技術の開発も進めており、防衛分野での需要の高まりに応えようとしています。特に、重要施設周辺でのドローン飛行検知のニーズが高まっていることを指摘し、同社の技術がこの課題解決に貢献できる可能性を示しました。

協業ニーズとしては、無人機の安全運行に向けた風況情報活用の推進や、風力発電におけるSDGsの共同推進などとの事業連携を進めていきたいと考えています。また、2025年頃にシリーズBラウンドでの資金調達も検討中しているので、ぜひIVSの期間中に連携のお話しができれば幸いです(古本さん)

Members

BRIDGEの会員制度「Members」に登録いただくと無料で会員限定の記事が毎月10本までお読みいただけます。また、有料の「Members Plus」の方は記事が全て読めるほか、BRIDGE HOT 100などのコンテンツや会員限定のオンラインイベントにご参加いただけます。
無料で登録する