OpenSignalが、4G通信速度とカバー率などを国別に調査した2度目のThe State of LTE(LTE事情)レポートを公表した。
ロンドンを本拠地とするOpenSignalは、クラウドソーシングされた独自の巨大なセンサーネットワークから有用なデータを大量に収集しているが、このネットワークを可能にしているのは、スマートフォンに同社のアプリをダウンロードしている何百万もの人々である。モバイルネットワークの速度とカバー率に関する独立系のデータに関しては、同社は実際に最大級の供給元であり、全世界のカバー率を追跡調査しながら、一方では集めたデータをモバイルアプリ経由でユーザに返している。
LTEユーザ600万人のデータを3ヶ月間(11月から1月)集めてわかったのは、LTE平均速度ではスペインの18Mbpsが最速で、Vodafone ESのネットワークが総合的に一番速かった(25.5Mbps)が、カバー率はそれほど広くないということだった。カバー率で見ると、LTE通信を最も広範囲に提供しているのは韓国のLG U+で、国土の99%をカバーしているが、韓国はLTEアクセス時間(time on LTE)でも95%と最高値を誇っている。
「カバー率」を定義
ここで注目すべきは、「アクセス時間」(time on)というのはLTEカバー率を記録するためのOpenSignal独自の測定基準であり、地理的な広がりというよりもユーザが4Gネットワークにアクセスした時間の割合を考察していることだ。「ユーザが実際に時間を費やすカバー率が最も重要だ」とレポートは述べている。
初めて発表した昨年のレポートでは、4Gのモバイルインターネット速度でアメリカが下から2番目、オーストラリアが全般的に最速(24.5Mbps)になっていた。しかし、全体で最速のネットワークはブラジルのClaro Brazilで、その速度は27.8Mbpsだったが、ブラジルは「アクセス時間」で見るとパフォーマンスが乏しい。今年、LTE対応カバー率で1位を獲得したのは91%の韓国だった。
昨年のまとめとしては、LTEの品質は千差万別、地域によって大きく異なる、といったところだろう。2015年版のレポートを見てもさほどの変化は見られない。2015年版のレポートには次のような記述がある。
すべてのLTEネットワークが均一に作られているわけではない。国ごとに、ネットワークごとに、著しい差があることがわかった。
ただし、2014年と2015年で速度を比べるのは難しい。これは同社が計測法を変更したためだ。もっとも、「アクセス時間」の手法はおおむね同じままである。
LTE速度という観点で見てみると、2015年のアメリカは昨年と同じでLTE方面の成績がよろしくない。Cricket Wirelessの回線は、全世界の対象ネットワークの中で一番遅いとされている。しかしながら、全体的な順位でいけばアメリカは下から4番目。昨年の下から2番目の順位からは進歩している。
ここで、OpenSignalが特定のネットワークを除外している点を伝えておくべきだろう。同社はサンプルサイズが小さすぎるところを外しているのだ。「本レポートで取り上げたのは一部のネットワークに限られます。収集したデータがユーザ体験を正確に反映していることが大事なのです」とレポートは述べている。なお、アメリカで最速のネットワークはT-Mobile。速度は10Mbps、アクセス時間は76%だった。
カバー率の部分では、アメリカはそこまで悪くない成績を残している。昨年と同じで世界全体で6位。なかなかの健闘である。
レポートは一般公開されていて、全文が読めるようになっている [PDF] 。世界の4G LTEの現状がわかるので、興味のある方は一読をお勧めする。
【via VentureBeat】 @VentureBeat
【原文】
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