Appleは声明の中で、「私たちのお客様はすべての開発者が同じルールに則ることで、App Storeが安全かつ信頼できる場所になると考えております。裁判所が、Epicの行為が自社の顧客にとって最善の利益になるものではなく、顧客が遭遇したかもしれないいかなる問題も、自らが規約違反によって巻き起こしたものであると認めていただけたことを歓迎いたします。12 年間にわたり、App Store は奇跡的な成功を遂げ、大小を問わず開発者に変革的なビジネスチャンスをもたらしてきました。私たちは来年、この革新とダイナミズムの遺産を裁判所と共有できることを楽しみにしています」とコメントした。(次につづく)
Apple's statement is misleading. You can read my email in Apple's filing, which is publicly available. I specifically said in Epic's request to the Apple execs, "We hope that Apple will also make these options equally available to all iOS developers…" https://t.co/yRio08fPSypic.twitter.com/HsqjApFQeo
1週間前、EpicはなぜAppleが異議を取り下げ、App StoreへFortniteの復帰を認めるべきだという主張を展開している。9月8日、Appleはカリフォルニア州オークランドの米国連邦地方裁判所で反論し、Epicに損害賠償の義務があると主張して提訴した。本誌ではすべての文書を確認し、双方の主張を要約している。水曜日、EpicはAppleが9月11日から、ユーザーが「Sign In With Apple」を利用してEpic Gamesのアカウントにサインインすることを許可しないようにしたと公表している(太平洋時間午前10時47分更新:Appleはこの決定を覆している)。
Appleは今まで、あらゆる競合他社との闘いを勝ち抜きiPhoneやそれに準ずるApp Storeを成功に導いた。Consumer Intelligence Research Partnersの調査によれば、米国市場においてiOSは44%のマーケットシェアを有しているが、Googleのアンドロイドは56%という状況だ。また、世界をみればiOSはたった14.6%のシェアで、アンドロイドは85.4%となっている。
しかし、いかにAppleが法に触れていないと判断されたとしても、同社の判断が開発者コミュニティーにとって賢明だったかどうかは別の問題だと言えるだろう。Epic GamesのCEO Tim Sweeney氏は今年2月のスピーチにて、同社は他者が30%の手数料を強いられている中、自社だけが得をするような取引はしないとの見解を示していた。
Epic GamesはAppleが描いた「1984」を風刺した Image Credit: Epic Games
さらに先週にAppleはダウンロード不可の措置に加え、Epic GamesのDeveloper support toolsに対するアクセス制限をかけると警告した。仮に実施された場合、1,100万人ものユーザーが利用する同社のUnreal Engineをベースとするアプリケーションが、iOSやMacのデバイス上で作動しなくなる可能性があると言われている。そのため同社は、AppleがSDKへのアクセス制限を実施しないよう、一時的な猶予措置を求めている段階であった。Microsoftは、この禁止措置に対して支持の姿勢を見せたことになる。
Today we filed a statement in support of Epic's request to keep access to the Apple SDK for its Unreal Engine. Ensuring that Epic has access to the latest Apple technology is the right thing for gamer developers & gamers https://t.co/72bLdDkvUx
Sweeney氏はこの「30%の手数料」に挑戦するため、Epic Games Storeを開設して開発者との取引を開始し、今のところ12%の手数料のみで運営を続けている。
これまでEpicはハイエンドPCとコンソールゲームに注力してきたため、同様に30%の手数料を取っているValveが運営するゲームプラットフォーム「Steam」にダメージを与えている。いつかはEpic Games StoreがiOSストアとAndroidストアの両方を直接手に入れたいと考えているのかもしれない。
この聖戦で金銭的な利益は期待できない。
実際、Epic Gamesは2019年ーーそしてその年に彼らはEpic Games Storeを構築していたのだが、ーー2018年より収益を減らしている。Epic Gamesが収益より業界での地位を優先させているのは明らかなことだ。これは、よりオープンで公正なゲーム業界を構築するという、Epicの活動の中で最も称賛に値する部分であるとも言える。
そして当然、リスクもある。
独占禁止法の強敵「複占(duopoly)」とは
Appleが1984年に発表したMacintoshの伝説の広告「1984」
Epic Gamesは訴訟の中で、Appleが10億人のiPhoneユーザーを独り占めしていると主張した。Consumer Intelligence Research Partners によると、GoogleがAndroidで56%のシェアを持っているのに対し、Appleは米国ではiOSで44%の市場シェアしか持っていない。世界的に見ると、Appleの市場シェアは14.6%であるのに対し、Androidは85.4%だ。
一部のゲーマーは、Epic GamesがEpic Games Storeで市場シェアを獲得するため、多数のタイトルを無料で提供していることに批判的だ。もちろん恩恵を受けているゲーマーもいるが、これによって一部のゲームをSteamプラットフォームでプレイできなくなったことを気に入らないという声もある。彼らは開発者のためにSteam に料金を引き下げてもらう よう反競争的な活動をしていると指摘している。
Epic Gamesは、Epic Games Storeに利益をもたらす独占契約のために開発者にいくら支払っているのかは明らかにしていない。筆者はたまたまセガの『Total War Saga: Troy』をプレイしていたのだが、これはEpic Games Storeの独占タイトルで、最初の24時間は無料になっている。Epic Gamesはユーザーのロイヤリティを期待してゲームにいわば補助を出しているのだ。もちろんそれはよいディールになるに違いない。