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汗センサー+MRIでアスリートの疲労を可視化、スポーツ外傷を防ぐーースタートアップが語る注目テクノロジー/グレースイメージング代表取締役 中島大輔氏

本稿はIBM BlueHubによる寄稿。スタートアップとの共創プログラム「IBM BlueHub」では2014年の第1期スタートから現在まで、参加した多くのスタートアップが大手企業との事業提携やVCからの資金調達を実現している。第5期のDemo Dayは3月18日に開催された。 前回からの続き。IBM BlueHubでは、プログラムに参加してくれたメンターや卒業生などを中心に、B2B領域におけるS…

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本稿はIBM BlueHubによる寄稿。スタートアップとの共創プログラム「IBM BlueHub」では2014年の第1期スタートから現在まで、参加した多くのスタートアップが大手企業との事業提携やVCからの資金調達を実現している。第5期のDemo Dayは3月18日に開催された。

前回からの続き。IBM BlueHubでは、プログラムに参加してくれたメンターや卒業生などを中心に、B2B領域におけるSaaSなどのトレンドについてそれぞれの見解を語っていただきました。前半は主にベンチャーキャピタリストによる市場トレンド、後半はスタートアップによる技術トレンドをリレー形式でお送りします。

スタートアップの注目テックパート、7人目の笑農和代表取締役の下村豪徳氏からバトンを受け取るのは今回のIBM BlueHubで最も高い評価を得たグレースイメージング代表取締役 CEOの中島大輔氏です(太字の質問は全て筆者。回答は中島氏)。

DemoDayお疲れ様でした。アスリートの疲労を可視化するサービス、ということですが少し具体的にどういう技術を活用されているのか教えていただけますか

中島:いままでモニタリングに血液採取が必要であった体内疲労類似物質である乳酸を、ウェアラブルデバイスを使って汗から観測する技術と、いままで不可能だった遅筋と速筋のバランスをMRIにて評価可能な技術の2つを使いました。

これらを用いて選手の疲労の程度や選手が疲労しやすいかどうかをモニタリングし、疲労結果のスポーツ外傷を予防するサービスを年間パッケージングにて提供しているのが「Grace Imaging」になります。

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ヘルスケア関連ではFitbitやApple Watchなど、ウェアラブルによる健康状態のトラッキングが随分と一般化してきました。アスリートの健康管理にはどのような技術が使われているのでしょうか

中島:はい、スポーツ選手のパフォーマンスをモニタリングする技術として現在、加速度センサやGPS、ジャイロセンサ(CATAPULT社)、脈拍や体温、体表筋電(GARMIN社OMEGAWAVE社)など多種多彩なセンサが使われるようになっています。

また食事、睡眠履歴など生活習慣を記録するアプリケーション開発(CLIMB Factory社EUPHORIA社)も盛んで、近年のIoT技術やセンサ技術の発達により徐々にスポーツ選手の活動の定量化が進みつつあるんです。

具体的にデバイスから取得したデータはどのように活用されているのですか

中島:残念ながら今のところ、得られたデータから選手の意識や活動変容をもたらすような、強いエビデンスはまだ生まれていません。近年各社ともデータサイエンティストの補強等を実施して、データの有効な解釈による「自分たちのデータの高付加価値化」を狙っているような状況です。

なるほど。可視化・定量化は進んでいるが、それをサービスにこれからしようという段階

中島:そこで私たちは、体内代謝物質や、MRI等の医用画像診断技術の使用による筋組織解析という、選手の直接的なデータの解釈こそが選手のパフォーマンスに直結するという仮説のもと技術開発を進めたんです。

私たちを含め今後のビジネスのコアとなるのは、技術ありきでなく、技術の結果得られたデータから選手の意識行動変容をもたらす強いエビデンスを生み出すことです。

中島さんがこの分野で注目している企業などありますか

中島:GARMIN社は元来軍事技術であったものを転用したという点で他社より一日の長があり、時計型デバイスなどに自分たちの技術を上手く落とし込んでいますね。また技術のみに頼らず、実際のスポーツ愛好家の需要に合ったデザインや機能(GPSを用いたゴルフ場での距離表示など)を付与している点で注目しています。

最後にひとつ。広義でのスポーツテクノロジー、ヘルスケアだと思うのですが、このテーマでの技術革新に課題があるとしたらどのような点をお考えでしょうか

中島:新規技術開発を行う上で、日本ではマーケットサイズの観点で開発に投資出来る額が小さい傾向にある点がやはり課題ですね。我々のような技術開発を行う会社は資金調達のために最初から欧米でのPOC(Proof of Concept)戦略を考える必要が出てきます。

受賞おめでとうございました。最後の方にバトンお渡しします

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アスリートの疲労を可視化する「Grace Imaging」が優勝ーー第5期IBM BlueHubインキュベーションプログラムで5社が成果を披露

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日本アイ・ビー・エム(以下、日本IBM)は3月18日、主催するスタートアップインキュベーションプログラム、「IBM BlueHub」のDemo Dayを開催した。日本IBMと国内のベンチャーキャピタリストがメンタリングしたスタートアップ5社が、半年間のインキュベーションの成果を披露した。5期目のメンバーとなる採択スタートアップは以下の通り。 スキル共有プラットフォーム(IMPAKT) 中小企業とプ…

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日本アイ・ビー・エム(以下、日本IBM)は3月18日、主催するスタートアップインキュベーションプログラム、「IBM BlueHub」のDemo Dayを開催した。日本IBMと国内のベンチャーキャピタリストがメンタリングしたスタートアップ5社が、半年間のインキュベーションの成果を披露した。5期目のメンバーとなる採択スタートアップは以下の通り。

  • スキル共有プラットフォーム(IMPAKT)
    中小企業とプロ人材をつなぐプロジェクト型海外展開プラットフォームの運営
  • 疲労分析/スポーツヘルスケアサービス(グレースイメージング
    MRIおよび乳酸の測定による疲労分析サービスの提供
  • SaaS型RPAソフトウェア(Robotic Crowd, チュートリアル
    SaaS型RPA「Robotic Crowd」の提供
  • 口腔ケアシステム(歯ッぴー
    口腔内情報を価値へ変換するデンタルチェックの提供
  • 通話分析・自動入力サービス(pickupon)
    通話内容を記録・分析し、SFAへ自動入力するサービス「 pickupon(ピクポン)」の提供
以下は、事業詳細とプレゼンテーション内容。(順不同)

スキル共有プラットフォーム(IMPAKT

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IMPAKTはローカルプロフェッショナルと企業を結ぶ

IMPAKTは海外展開を狙う中小企業と現地人材をマッチングさせるプラットフォームを提供。海外展開の際、現地の情報をインターネットで得ることは可能なものの、真偽性を確かめる方法は少なく、実際にその場に住んで「肌感覚」でしか分からないカルチャーがあることも多い。このギャップを、プラットフォームを通してフラットにさせることを目指す。

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確かに今の時代であれば、Googleでベトナムにおけるカルチャーの特色や、トレンドなどを調べることは可能。ただ、長年現地に滞在しているからこそ気が付く、現地人に限りなく近い観点を持つことはGoogle検索だけでは難しい。

メンタリング実施期間では企業向けUXの向上に力を入れた。海外展開を考え始めた企業が自社のプロダクト情報を入力すると、AIが最適な国やマーケットエリアを提案してくれるシステムの導入を進めている。

また同時に同プラットフォームが抱える現地人材とのマッチングも並行して行われるため、スピード感を持って海外展開を進めることが出来るとした。

疲労分析/スポーツヘルスケアサービス(Grace Imaging

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東京オリンピックも近い今、アスリートにとって「疲労」管理は大切なはず

今回最も評価が高かったのがGrace Imaging。アスリートの疲労を分析し評価するサービスを提供している。先進MRI技術と乳酸センシング技術により、「疲労」という曖昧なものを可視化せることを目指している。

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同社のサービスを用いれば、アスリート選手の筋肉が疲労しやすい筋肉なのか、披露しにくい筋肉なのか、また計測時にどの程度「疲労度」が溜まっているのかなどを可視化し、知ることが可能。

今後の展開としてはウェブ型のサブスクリプションモデルの確立を目指す。プロ球団などに対しては年間の利用料として約500万円ほどを見込むが、教育機関などケースに応じて価格や提供サービスの調整予定している。

SaaS型RPAソフトウェア(チュートリアル

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単純作業を無くすだけでなく、成長戦略にも貢献

SaaS型RPA「Robotic Crowd」の提供をしているのがチュートリアル。企業における事務作業の自動化・効率化を行い、人による単純作業を限りなく少なくすることを目指す。例えば、採用などで、人為的にこの作業をする場合、エクセルなどを利用して候補者の情報を並べる必要があるが、同社サービスを用いれば自動的に情報のピックアップなどを進めることが出来る。

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導入企業一例

ただ、単純作業をなくすRPAはWindowsネイティブのソフトウェアなど、昔から存在していた。同社の差別化要因はクラウドネイティブな点で、現在進行形の情報を共有したり、オープンに実施できるようになる。ただ単純作業を無くすだけでなく、企業における成長戦略に繋がるきっかけとなるようなサービス向上を目指すという。

口腔ケアシステム(歯っぴー

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今回、「特別賞」という元々は用意されていなかった賞を受賞した。

歯っぴーはその名の通り、「歯」のヘルスケアに着目したスタートアップだ。同社によれば、歯周病は歯の病気の中でもうつ病や精神的な病につながりやすく、将来的に見ればアルツハイマー病へのかかりやすさにも関連してくるという。そのため、欧州や米国では80%を超えてる検診率が、日本においてはたったの4%ほどとされている。

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歯周病の検診は、歯周ポケットに細い針を差し込んでその深さを検査する手段が一般的。そのため日本では、歯周病検診に対して「痛い」「怖い」「面倒」といった考えが多く、これが4%という結果に出ていると考える。これを解決すべく、同社はスマートフォンのみで歯周病の診断を完結させるサービスの開発に成功した。スマホの撮影のみで人工知能が歯の健康状態を検診してくれる。

同社は「歯」の健康状態だけでなく、自覚症状なく派生することが多いうつ病や糖尿病などを発見することも目指す。医療現場などでや、企業との連携などの実証実験も動き出しているという。

通話分析・自動入力サービス(pickupon

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ピッチ中にプロダクトの実演を披露したpikupon

pikuponは、AIが通話内容を記録・分析し重要箇所を自動で選定してくれるサービスを提供。日本において、電話による営業活動はいまだに一般的な状況。そのため、営業すればするほど生じる会話の「コンテンツ」を企業内部にて、透明化・共有させるために、何時間も時間をかけて文字起こしをしなければならない状況が続いている。同社はこの状況から脱却すべく、そのソリューションをAIを利用して開発している。

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加えて、同社サービスは音声から会話主の性格や感情を分析することが可能。ただの記録で終わることなく、パーソナライズした営業アプローチに繋げることが可能としている。

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離農時代を救う「アグリテック」注目はIoTとAIーースタートアップが語る注目テクノロジー/笑農和代表取締役 下村豪徳氏

本稿はIBM BlueHubによる寄稿。スタートアップとの共創プログラム「IBM BlueHub」では2014年の第1期スタートから現在まで、参加した多くのスタートアップが大手企業との事業提携やVCからの資金調達を実現している。第5期のDemo Dayは3月18日に開催される 前回からの続き。IBM BlueHubでは3月18日に開催する「第5期 Demo Day」を控え、プログラムに参加してくれ…

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本稿はIBM BlueHubによる寄稿。スタートアップとの共創プログラム「IBM BlueHub」では2014年の第1期スタートから現在まで、参加した多くのスタートアップが大手企業との事業提携やVCからの資金調達を実現している。第5期のDemo Dayは3月18日に開催される

前回からの続き。IBM BlueHubでは3月18日に開催する「第5期 Demo Day」を控え、プログラムに参加してくれたメンターや卒業生などを中心に、B2B領域におけるSaaSなどのトレンドについてそれぞれの見解を語っていただきました。前半は主にベンチャーキャピタリストによる市場トレンド、後半はスタートアップによる技術トレンドをリレー形式でお送りします。

スタートアップの注目テックパート、6人目のナーブ代表取締役、多田英起氏からバトンを受け取るのは農業をIoTで効率化する笑農和、代表取締役の下村豪徳氏です(太字の質問は全て筆者。回答は下村氏)。

リレーインタビューでドローン、協調ロボティックス、VRの分野で活躍しているスタートアップ創業者の方に技術トレンドをお聞きしています。下村さんは農業をIoT(Internet of Things)で効率化しようという取り組み、いわゆる「アグリテック」の分野ですよね

下村:そうですね。アグリ(農業)と一言で表現しても範囲は広いですが、私たちは特に水田の水管理(入排水)に対してテクノロジー活用し、「paditch」というサービス提供を通じて農業のスマート化に取り組んでいます。

農業に携わっていない人にとってなかなか水田の「水」管理と聞いてもピンとこないのですが、具体的にどういう課題があるんでしょうか

下村:水田の水管理って毎日やらないといけないんです。例えば田んぼに水を流す水門が100箇所あったらそれ全部チェックしなければいけません。しかも基本的に人手で、板を抜いたり入れたり大変な作業になります。

それをインターネット接続型の水門に置き換えているのが下村さんの活動ですよね

下村:はい、現在は開水路向けのものから、パイプライン型(2020年4月発売予定)まで様々な水田の取り入れ口に対応していく事も計画しています。

単なる開け閉めだけではない、周囲の環境情報を元にしたより細かい、人の叡智を超えた水管理を提供したいと考えてます。地域の水資源の最適化が可能になれば、「適地適作(条件にあった作物の生産)」に繋がり、次世代農業産業に発展するのではないでしょうか。

アグリテック分野で下村さんが注目している技術は

下村:引き続きIoTやAI(エッジコンピューティング含む)技術の動向に注目しています。また、IoTはLPWAなどの通信技術と共存なので、農村地帯における ネットワークインフラ整備も気になっています。

私たちもLoRA(※)による水田での大規模実験を行いましたが、一般的な評価とは違い、現場でしか発生しない障害もあるんです。

IoT関連ではソラコムはじめ、超狭域でのネットワークインフラとビジネスモデル(料金体系など)が生まれていますが、使われる場所は工場の機器類から工事現場まで幅広いと聞いています。現場最適がやはり大変なんですね

下村:農地という場所に応じて独自のチューニングが制御に必要でしたね。また、これから先の大量離農(農業をやめること)時代を見据え、こういった人手によらない水位・水温コントロールは稲の品質管理の上でも大変重要な工程になるんです。

だからこそ農村地帯向けへの電源、通信インフラには特別な支援や整備が必要だと思っています。特に通信インフラはアグリテック向け特別な料金体系が必要になってくるんじゃないでしょうか。

特定の技術で気になっているものはありますか

下村:水田分野では、ドローンや衛星によるピンポイントでの施肥や稲の健康状態の可視化、収穫予想などに期待しています。また、草刈りロボットなど農業現場へのロボット普及も気にしたいところです。こういった分野(収穫や選別ロボット、ドローン、衛星など)も徐々に整ってきたので、盛り上がってきていますよ。

インタビュー対応、ありがとうございました。では次の方にバトンをお渡しします

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商機はハードとクラウドの合わせ技にありーースタートアップが語る注目テクノロジー/ナーブ代表取締役、多田英起氏

本稿はIBM BlueHubによる寄稿。スタートアップとの共創プログラム「IBM BlueHub」では2014年の第1期スタートから現在まで、参加した多くのスタートアップが大手企業との事業提携やVCからの資金調達を実現している。第5期のDemo Dayは3月18日に開催される 前回からの続き。IBM BlueHubでは3月18日に開催する「第5期 Demo Day」を控え、プログラムに参加してくれ…

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本稿はIBM BlueHubによる寄稿。スタートアップとの共創プログラム「IBM BlueHub」では2014年の第1期スタートから現在まで、参加した多くのスタートアップが大手企業との事業提携やVCからの資金調達を実現している。第5期のDemo Dayは3月18日に開催される

前回からの続き。IBM BlueHubでは3月18日に開催する「第5期 Demo Day」を控え、プログラムに参加してくれたメンターや卒業生などを中心に、B2B領域におけるSaaSなどのトレンドについてそれぞれの見解を語っていただきました。前半は主にベンチャーキャピタリストによる市場トレンド、後半はスタートアップによる技術トレンドをリレー形式でお送りします。

スタートアップの注目テックパート、5人目のコネクテッドロボティクス代表取締役、沢登哲也氏からバトンを受け取るのはVRプラットフォームを手がけるナーブ代表取締役の多田英起氏です(太字の質問は全て筆者。回答は多田氏)。

ドローン、協調ロボティックスと続いて今回はVRです。ライフスタイル分野のVR(バーチャルリアリティ)を手がける多田さんにお聞きします。バーチャルリアリティも随分と一般的な認知が進みましたよね

多田:そうですね、私たちは不動産やトラベルといった、消費者の生活シーンに出てくる購入体験を中心にVR技術で課題解決してきました。例えばビジネス特化のVR閲覧デバイス「CREWL(クルール)」は接客に効果的で、これまで事前の知識や情報がないと購入後を想像できなかったような購入体験を変えています。

消費者に近い場所でパートナーと事業展開されていますが、今、手がけるクラウドビジネスの現場でトレンドの特徴を挙げるとしたら何がありますか

多田:一言で言えば「B2Bの多角化」ですね。SaaSと言っても例えば「真っ向からSalesForce対抗」のようなエンタープライズ全般というよりは、バーティカル、つまり業界特化の方向に進んでいると思っています。

このリレーの初回、倉林さんもエンタープライズとインダストリーでSaaSビジネスの分類を説明されてました。

多田:フィンテックや不動産テック、フードテック等 各業界の課題を解決するソリューションが必要とされる一方、技術も多角化しています。例えばキャッシュレスではRFID(非接触)にQR、銀行引落など、ハードからソフトウェアまで様々な分野の知識が必要になっています。特にテック的にはハードの多様化もビジネスチャンスを拡大させているんじゃないでしょうか

多田さんが注目されている企業は

多田:SansanさんのようにハードウェアとSaaSを一体化させたのはやはり面白いですね。名刺という分野に特化していたり、OCRをビジネスとして標準的なサービスにしたのも興味深い戦略だと思っています。

ビジネス向けとは少しズレますが、メルカリなんかもロジスティックも絡めた総合的なサービスになっているのが特徴だと思います。決してスマホアプリだけで完結していない。

確かにツールだけで完結しないビジネスモデルというのは最近の特徴です。前回の沢登さんも調理ロボットはクライアントであるロボット、サービスとしてのクラウド、さらに関連する事業者が一体となって最適化する必要性を指摘されていました。

ところで多田さんはこれらのテクノロジーがさらに拡大していく上で社会的に必要なことは何があるとお考えですか

多田:法律面については勉強しなければいけないことが多いですが、国としてはスタートアップ応援の方向性にありますし、非常に助かっている面もあります。

確かに国の新規事業推進は肌で感じることも増えました

多田:企業間のオープンイノベーションも重要ですよね。三菱地所さんが「たまひよ」という言葉を使っていたのが印象に残ってます。たまごか鳥かの理屈においてオープンイノベーションは完成する(鳥は卵を産めるけどひよこは卵は産めない、先に鳥になる必要性がある)ということだと思います。

スタートアップ側も大企業を知り、大企業もスタートアップを知ることでさらにオープンイノベーションは加速して日本企業が世界で戦えるようになるのではないかと期待してます。

あと、チャレンジする側の起業家も幅広い年代に広がって欲しいですね。シリコンバレーの成功事例は起業年齢が20代より30代、30代よりも40代が倍以上の成功確率を出してますし、そもそも40代の起業家が6割近い状況なんです。

日本に足りないのは40代や50代といった、経験をたくさん積んだベテランの起業家なのではないでしょうか。

ありがとうございます。では次の方にバトンをお渡しします

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人手不足を救う調理ロボ、鍵は「AI活用」にありーースタートアップが語る注目テクノロジー/コネクテッドロボティクス代表取締役、沢登哲也氏

本稿はIBM BlueHubによる寄稿。スタートアップとの共創プログラム「IBM BlueHub」では2014年の第1期スタートから現在まで、参加した多くのスタートアップが大手企業との事業提携やVCからの資金調達を実現している。第5期のDemo Dayは3月18日に開催される 前回からの続き。IBM BlueHubでは3月18日に開催する「第5期 Demo Day」を控え、プログラムに参加してくれ…

本稿はIBM BlueHubによる寄稿。スタートアップとの共創プログラム「IBM BlueHub」では2014年の第1期スタートから現在まで、参加した多くのスタートアップが大手企業との事業提携やVCからの資金調達を実現している。第5期のDemo Dayは3月18日に開催される

前回からの続き。IBM BlueHubでは3月18日に開催する「第5期 Demo Day」を控え、プログラムに参加してくれたメンターや卒業生などを中心に、B2B領域におけるSaaSなどのトレンドについてそれぞれの見解を語っていただきました。前半は主にベンチャーキャピタリストによる市場トレンド、後半はスタートアップによる技術トレンドをリレー形式でお送りします。

スタートアップの注目テックパート、4人目のトラジェクトリーの代表取締役CEO、小関 賢次氏からバトンを受け取るのは調理ロボを手がけるコネクテッドロボティクス代表取締役の沢登哲也氏です(太字の質問は全て筆者。回答は沢登氏)。

連載ではVCのみなさんにクラウドビジネスのトレンド、スタートアップのみなさんには技術トレンドをお聞きしています。前回はドローンがテーマでしたが、沢登さんは調理ロボットに取り組んでおられるのですよね

沢登:はい、コネクテッドロボティクスとして第一弾となるたこ焼きロボット「OctoChef」は昨年、長崎ハウステンボスさんに導入しました。ややコモディティ化してきた協働ロボットと深層学習による「知能化」の合わせ技と、私がロボットアームのコントローラー・ソフトウェアをかれこれ10年ほど開発してまして、そのノウハウを活かして調理ロボットサービスの開発に取り組んでいます。

こういった調理ロボットが社会に与えるインパクト、価値ってどういうものになるのでしょうか

沢登:私たちは「調理をロボットで革新する」をテーマに、外食産業の人手不足解決、日本食レストランの世界展開アシスト、出来立てほやほやの食べ物を届ける、といった3つの価値がミッションですね。

では、お伺いしている技術トレンドなのですが、沢登さんがロボット関連で注目しているテーマはどのようなものでしょうか

沢登:技術トレンドとして重要なのはまずハードウェアとしては協働ロボットの普及と進化、そしてモジュラー化です。数年前まで400万円〜500万円したロボットが今では、300万円〜200万円で購入することができるようになってるんです。またカメラや触覚センサーなど各種機器も高性能かつ安価に手に入るようになってきました。

ハードウェアがコモディティ化してくると、ますます重要なのはソフトウェアになります。特に深層学習の活用が重要になってきているんですが、とりわけエンジニアリングする上ではエッジとクラウドをうまく使い分けて、学習モデルの構築と推論をそれぞれのパフォーマンスとして最適化させるのが重要なテーマとなっている。

なるほど、処理を考えればロボット単体でやった方が早そうですが、ロボットを「サービス」として考えればクラウドは必要になる。事業としてのロボットを考えることが重要とも言えそうですね。注目している企業を挙げるとしたらどちらになりますか

沢登:コモディティ化したロボットというハードウェアを使ってソフトウェアで付加価値と差別化を実現したサービスを提供するという意味において、国内ではセンシンロボティクスやリンクウィズといった企業に注目してます。

また海外ではアメリカのZume Pizzaが、ロボットとトレーラーを活用することで(ピザの)デリバリーをオペレーションとユーザー体験の両方から革新していますね。

日本がこういった技術活用を推進する上で必要なことは

沢登:日本が技術活用をすすめる上で考えなくてはいけないのは、サービスやオペレーションの局所最適化ではなく全体最適化です。

具体的に言うと、例えばロボットやAIを使う上で、それを単なる孤立したツールとして捉えるとうまくいかない場合が多いです。もちろん、シンプルで使いやすいものに越したことはありませんが、たとえば私たちの取り組む調理ロボットシステムは、それによって単にキッチンのひとつの仕事を人間からロボットに置き換えるのではなく、キッチンそのものを全体として合理化しなければなりません。

処理問題でもクラウド・エッジの使い分けと全体最適が必要でしたが、事業として考える上でもその観点が必要になると

沢登:全体のオペレーションを俯瞰して見渡しながら「何が必要なのかを」考え、コーディネートすることが必要になるんです。私たちの場合であれば、導入する飲食業の事業者さんだけでなく、厨房機器メーカーさんのように協働するパートナーとの連携が必要になってくる、ということですね。

ありがとうございました。バトンを次のスタートアップにお渡しします

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自動運転普及には「パイロットレス」が鍵となるーースタートアップが語る注目テクノロジー/トラジェクトリー代表取締役、小関賢次氏

本稿はIBM BlueHubによる寄稿。スタートアップとの共創プログラム「IBM BlueHub」では2014年の第1期スタートから現在まで、参加した多くのスタートアップが大手企業との事業提携やVCからの資金調達を実現している。第5期のDemo Dayは3月18日に開催される 前回からの続き。IBM BlueHubでは3月18日に開催する「第5期 Demo Day」を控え、プログラムに参加してくれ…

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本稿はIBM BlueHubによる寄稿。スタートアップとの共創プログラム「IBM BlueHub」では2014年の第1期スタートから現在まで、参加した多くのスタートアップが大手企業との事業提携やVCからの資金調達を実現している。第5期のDemo Dayは3月18日に開催される

前回からの続き。IBM BlueHubでは3月18日に開催する「第5期 Demo Day」を控え、プログラムに参加してくれたメンターや卒業生などを中心に、B2B領域におけるSaaSなどのトレンドについてそれぞれの見解を語っていただきました。前半は主にベンチャーキャピタリストによる市場トレンド、後半はスタートアップによる技術トレンドをリレー形式でお送りします。

ということでここから後半戦。VCパート、3人目のiSGSインベストメントワークス代表取締役、五嶋一人氏からバトンを受け取るのはドローン関連のスタートアップを手がけるトラジェクトリーの代表取締役CEO、小関 賢次氏です(太字の質問は全て筆者。回答は小関氏)。

小関さんは航空管制のお仕事に長らく従事されていたのですよね

小関:はい、航空管制システム開発に約18年間ほど関わっていて、中でも航空管制業務の自動化(AI)化に関する研究開発を推進していました。その流れで2016年に独立し、ドローン系ベンチャー企業の業務支援を手がけつつ、2018年3月にトラジェクトリーを立ち上げた、という形です。

航空管制というといわゆる「空の交通整理システム」で、ドローンが市場に出てきた頃からNASAなどが研究に協力するなど、世界でも重要なシステムとして注目を集めていました。小関さんは今もそのど真ん中でスタートアップされていますが、注目されている技術はどのようなものでしょうか

小関:弊社が注目しているのは、いわゆる自動運転技術です。自動運転という分野においては、これまでハードウェアが注目されてきました。センサーの小型化やエッジコンピューティング技術の進化により、ハードウェアの制御技術がとても充足してきました。

ドローンやエアモビリティも同様にハードウェアは今後も凄い勢いで進化していくと考えられています。しかし、社会に自動運転が普及するためには、パイロットレスで安全な運航を実現するための運航管理サービス(クラウドソフトウェアサービス)がビジネスのコアになると考えています。

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Image Credit : Tesla Motors

具体的に注目している企業は

小関:自動車の分野では「Tesla Motors」です。現状はLevel3(運転支援技術)ですが、利用者も増えて運行データも蓄積しており、Level4が解禁された場合、地上交通網におけるインフラとなる可能性があると思います。空の分野では「Airbus」や「Boeing」です。いよいよ航空業界のビックプレイヤーがエアーモビリティの世界に本格的に参加し、社会実装に向けて現実味を帯びてきました。

空についてはどのような状況と考えてますか

小関:エアモビリティについては、まだ立ち上がったばかりですが、ドローンについては、ハードウェアの安全性が非常に高くなっております。これまでは実証実験が目立っておりましたが、今年からは自動化技術を用いたサービスが本格スタートする段階と考えています。

国内はドローンが自由に飛行できないなど、安全上の理由から規制があります。ドローン技術における障壁、スタートアップする上でのハードルを教えていただけますか

小関:ドローンについては2018年にLevel3の承認が降りています。これは山間部や離島における長距離飛行が可能になるものです。今年はLevel4として、都市部における飛行許可も段階的に承認がおりる予定です。ただしドローンのハードウェアに対する品質保証の仕組みや安全運航管理を担える人材育成が追いついていない、というのが課題です。

今後、トレンドとなりそうな技術分野について、取り組みなど教えていただけますか

小関:私たちは有人機の航空管制システムにおける管制自動化技術をベースに、複数のドローンを安全にクラウドで飛行させることができる「AI管制技術」を開発しています。具体的には、ドローンが飛行する空路を自動で生成することが可能です。

なるほど、将来的にドローンは乗る側も操作する側も全てシステムで制御されるようになる、というビジョンですか

小関:現在ドローンは人が飛行させていますが、少なくとも弊社プロダクトを利用することでリモートオペレーションを実現することができるようになりますよ。私たちのプロダクトにより、ドローンを運用するための人の仕事が減り、導入・維持コストも安くなると考えています。

ありがとうございます。次の方にバトンをお渡しします

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「Yahoo!アカデミア」伊藤洋一氏、ソラコム玉川憲氏ら登壇ーーIBM BlueHub第5期のDemoDay、3月18日開催

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イベントサマリ:3月18日、東京ミッドタウン日比谷「BASE Q」にて日本アイ・ビー・エム(以下、日本IBM)が主催するスタートアップインキュベーション・プログラム「IBM BlueHub」のDemoDayが開催される。IBMと国内のベンチャーキャピタリストがメンタリングしたスタートアップ5社が半年間のインキュベーションの成果を披露する。企業の新規事業および投資、アライアンス関連の担当者などが対象…

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IBM BlueHub第4期のDemoDayから

イベントサマリ:3月18日、東京ミッドタウン日比谷「BASE Q」にて日本アイ・ビー・エム(以下、日本IBM)が主催するスタートアップインキュベーション・プログラム「IBM BlueHub」のDemoDayが開催される。IBMと国内のベンチャーキャピタリストがメンタリングしたスタートアップ5社が半年間のインキュベーションの成果を披露する。企業の新規事業および投資、アライアンス関連の担当者などが対象で、参加費は無料。申し込みはこちらから。

なお、当日はヤフーでコーポレートエバンジェリスト、「Yahoo!アカデミア」の学長を務める伊藤洋一氏、ソラコム代表取締役の玉川憲氏らを交えたパネルディスカッションも実施される。第5期に採択されたスタートアップは次の通り。

  • IMPAKT:スキル共有プラットフォーム。中小企業とプロ人材をつなぐプロジェクト型海外展開プラットフォームの運営
  • グレースイメージング:疲労分析サービス。MRIおよび乳酸の測定による疲労分析サービスの提供
  • チュートリアル:SaaS型RPA「Robotic Crowd」
  • 歯っぴー:口腔内情報を価値へ変換するデンタルチェックの提供
  • pickupon:通話分析・自動入力。通話内容を記録・分析し、SFAへ自動入力するサービス「 pickupon(ピクポン)」の提供
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注目はこの企業「B2B SaaSはAIとの「融合」が必須の時代に」ーーVCが語る注目トレンドと企業/iSGSインベストメントワークス代表パートナー、五嶋一人氏

本稿はIBM BlueHubによる寄稿。スタートアップとの共創プログラム「IBM BlueHub」では2014年の第1期スタートから現在まで、参加した多くのスタートアップが大手企業との事業提携やVCからの資金調達を実現している。第5期のDemo Dayは3月18日に開催される 前回からの続き。IBM BlueHubでは3月18日に開催する「第5期 Demo Day」を控え、プログラムに参加してくれ…

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本稿はIBM BlueHubによる寄稿。スタートアップとの共創プログラム「IBM BlueHub」では2014年の第1期スタートから現在まで、参加した多くのスタートアップが大手企業との事業提携やVCからの資金調達を実現している。第5期のDemo Dayは3月18日に開催される

前回からの続き。IBM BlueHubでは3月18日に開催する「第5期 Demo Day」を控え、プログラムに参加してくれたメンターや卒業生などを中心に、B2B領域におけるSaaSなどのトレンドについてそれぞれの見解を語っていただきました。前半は主にベンチャーキャピタリストによる市場トレンド、後半はスタートアップによる技術トレンドをリレー形式でお送りします。

VCパート、2人目のNTTドコモ・ベンチャーズ、浅田賢氏からバトンを受け取るのはiSGSインベストメントワークス代表取締役、代表パートナーの五嶋一人氏です。(太字の質問は全て筆者。回答は五嶋氏)

五嶋さんが注目しているビジネストレンドを教えてください

五嶋:従来、紙ベース、あるいはローカル環境での「Office系ソフト」で行われていた業務が、業務フローに組み込まれたSaaSによってデータ化され、蓄積される。これがB2B SaaSの特徴のひとつです。そしてこれら蓄積されたデータを活用し、更に業務を効率化するためには、AIの活用が必須です。

この観点で「AI☓B2B SaaS」における質の高いサービスを開発する、急成長スタートアップが多数出てくることに期待しています。

「AI」をウリにするスタートアップも随分と増えた印象があります。これらの差別化要因はどのようにして作れば良いでしょうか

五嶋:「蓄積されたデータ」の活用を考えれば、B2B SaaSにおいてAIは差別化要素ですらなく、AIとの「融合」が必須になると思います。

まず、AIの差別化と参入障壁を生み出すのは「データ」です。他社よりもデータの量と質でどう勝っていくのかはもちろん、AIのデザイン力やデータのアノテーション力も(いまさらですが)大変重要です。

またB2B SaaSは、既存の業務フローに取って代わって業務フローに入り込む必要があるものが多く、これは決して簡単なことではありません。

確かにサービスのオンボーディング(導入)など、サービスの体験以上にカスタマーサクセス領域のノウハウが随分と重要視されるようになりました

五嶋:そういった面では、「既存の業務フローが存在しない業務」を新たにフロー化することで入り込んでいくとか、API連携によって他社が提供しているSaaSに自社SaaSを取り込ませる、Sler企業とのパートナーシップ、という動きが一層重要になってくるのでは、とみています。

具体的に投資先など注目している企業は

五嶋:iSGSから出資をさせていただいているエクサウィザーズは、介護や医療・金融・人事・ロボット等、大きな社会課題を抱える産業領域でのバーティカルSaaSの提供を目指しています。

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Image Credit : エクサウィザーズウェブサイト

リクルートのAI研究所で初代所長だった石山洸さんがボードメンバーにいる企業

五嶋:AIの活用においては入力データの質・量が重要ですが、同社はこれを収集するためのアライアンスやデータのアノテーションに長けているのはもちろん、それだけでなく、ターゲットをどこに置くのか、評価関数の選定をどうするのか、最適化ポイントの設定をどうするのか、といった、そもそもの設計に強みを持っているのが特徴です。

そのような設計を突き詰めていくと、多くの領域で従来は重要とされていなかったデータが実は大きな価値を持つ、といったことも分かってきています。SaaSとAIが融合し、「SaaS☓AI」が当たり前になるバーティカルSaaSの領域で、圧倒的な競争力を持つ可能性があると期待しています。

この領域でスタートアップする起業家にアドバイスがあれば

五嶋:50社、100社と契約できたからPMFが達成できた、と言うケースも見受けられますが、100社獲得できたとしてもそこから1万社に到達するのは至難の業です。

次元の違うプロダクト・サービスの進化、全く異なる営業・マーケティング手法、さらに高度かつ多様なカスタマーサクセスの実現が必要であることを、いつも念頭に置いて事業戦略や資本政策を検討すべきだと思います。

ありがとうございました。次の方にバトンをお渡しします

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注目はこの3社、「IoT+SaaSはオープンイノベーションで生き残れ」ーーVCが語る注目トレンドと企業/NTTドコモ・ベンチャーズ マネージングディレクター 浅田賢氏

本稿はIBM BlueHubによる寄稿。スタートアップとの共創プログラム「IBM BlueHub」では2014年の第1期スタートから現在まで、参加した多くのスタートアップが大手企業との事業提携やVCからの資金調達を実現している。第5期のDemo Dayは3月18日に開催される 前回からの続き。IBM BlueHubでは3月18日に開催する「第5期 Demo Day」を控え、プログラムに参加してくれ…

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本稿はIBM BlueHubによる寄稿。スタートアップとの共創プログラム「IBM BlueHub」では2014年の第1期スタートから現在まで、参加した多くのスタートアップが大手企業との事業提携やVCからの資金調達を実現している。第5期のDemo Dayは3月18日に開催される

前回からの続き。IBM BlueHubでは3月18日に開催する「第5期 Demo Day」を控え、プログラムに参加してくれたメンターや卒業生などを中心に、B2B領域におけるSaaSなどのトレンドについてそれぞれの見解を語っていただきました。前半は主にベンチャーキャピタリストによる市場トレンド、後半はスタートアップによる技術トレンドをリレー形式でお送りします。

VCパートのトップバッター、DNX Ventures(旧・ドレイパーネクサス)の倉林陽氏からバトンを受け取るのはNTTドコモ・ベンチャーズでマネージングディレクターを務める浅田賢氏です。(太字の質問は全て筆者。回答は浅田氏)

リレーインタビューでは注目のビジネストレンドをお聞きしています

浅田:純粋なクラウドサービスのみの「B2B SaaS」とは少し視点が異なるかもしれませんが、ハードウェアをフックにサービスモデルで稼ぐB2Bスタートアップの動向に注目しています。

ハードウェアの売り切りモデルについてはその限界が数年前から言われてました。特にIoT(Internet of Things)の概念が出てきてからは徐々に「ハード売り+サービス課金」への理解も進んだように思います

浅田:そうですね。最近では「IoT+SaaS」として認知されるセグメントに成長していると思います。ただこのモデルはまず、ハードウェアを顧客に対して「インストール」するという、ハードルの高さがあります。

初期の投資がウェブ・クラウドベースのスタートアップに比較して重いのも特徴です

浅田:投資サイドとしてこういった多額の初期投資が必要になる領域はやはり手が出しづらくなるのは事実です。一方、近年は多くの事業会社がベンチャー企業との協業を目的に出資や事業提携に積極的になってきています。こういったトレンドのおかげで、いわゆる「死の谷」を超えて事業化に至る可能性も高まっているんです。

IoTモバイル通信を牽引するスタートアップ、ソラコムが登場したあたりから「IoT+SaaS」のトレンドが顕在化した印象があります。同社は創業3年で大型買収されたことでも話題になりました

浅田:オープンイノベーション的な要素もひとつ重要なトレンドだと思います。こういったハードウェアスタートアップの生存確率が高まっているのは、事業会社を中心とするビジネスパートナーとハードウェア投資のリスクを分かち合い、またビジネス開発や営業面でのサポートが得られる環境が整ってきたことも大きいと感じています。

今後2、3年でこれまで地道にビジネスを育ててきたベンチャーがいくつか大きく成長するのではと期待しています。

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具体的に期待している「IoT+SaaS」プレーヤーは

浅田:JR東日本への本格展開が開始になったMamorioのサービスには注目しています。51駅で紛失防止タグを使えるアンテナが設置されたことで大きな話題になりました。この先行事例として米国の遺失物捜索プラットフォームの「Tile」も注視しています。

また、2014年にキックスターターでブレイクしたMoffも同様です。ウェアラブルトイから始まって、現在はヘルスケア領域に狙いを定めたクラウドビジネスに転換しはじめています。

TileもMAMORIOと同じ2012年のスタートアップですね。CrunchBaseをみると累計調達額は5900万ドルで、最近ではBLEチップメーカーと提携して「Tileでハードを検索」という体験を提案していました。ただ、昨年には大型レイオフなどもあってまさに「HARD THINGS」です。この分野でスタートアップする人たちへのアドバイスは

浅田:Proof of concept(POC)が終わった段階で良いビジネスパートナー(時には株主である事業会社)を選ぶことです。その上で役割、リスク負担などを適切に双方が担うビジネスモデル、ビジネススキームを構築することが大切ですね。

ありがとうございました。ではバトンを次に回します

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国内注目はこの4社、「B2B SaaS成功の秘訣はプロダクトへのこだわり」にありーーVCが語る注目トレンドと企業/DNX Ventures マネージングディレクター倉林陽氏

本稿はIBM BlueHubによる寄稿。スタートアップとの共創プログラム「IBM BlueHub」では2014年の第1期スタートから現在まで、参加した多くのスタートアップが大手企業との事業提携やVCからの資金調達を実現している。第5期のDemo Dayは3月18日に開催される 近年、世界的にテクノロジー系スタートアップの取り組みが拡大している分野が「SaaS」をはじめとするビジネス分野のテクノロジ…

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本稿はIBM BlueHubによる寄稿。スタートアップとの共創プログラム「IBM BlueHub」では2014年の第1期スタートから現在まで、参加した多くのスタートアップが大手企業との事業提携やVCからの資金調達を実現している。第5期のDemo Dayは3月18日に開催される

近年、世界的にテクノロジー系スタートアップの取り組みが拡大している分野が「SaaS」をはじめとするビジネス分野のテクノロジーです。既存産業分野のアナログな仕組みや汎用ツールでの業務フローなどを効率化して成長する事例が増えています。スマートキャンプが昨年公開したSaaSビジネスの調査によれば市場の平均成長率は国内で15%、海外では20%となっており、2020年には890億ドル規模に拡大するという試算結果も出ています。

そこでIBM BlueHubでは3月18日に開催する「第5期 Demo Day」を前に、プログラムに参加してくれたメンターや卒業生などを中心に、B2B領域におけるSaaSなどのトレンドについてそれぞれの見解を語っていただきました。前半は主にベンチャーキャピタリストによる市場トレンド、後半はスタートアップによる技術トレンドをリレー形式でお送りします。

連載トップバッターとなるのはDNX Ventures(旧・ドレイパーネクサス)でマネージングディレクターを務める倉林陽氏です。(太字の質問は全て筆者。回答は倉林氏)

倉林さんは国内SaaS市場、特にビジネス向けサービスを提供するスタートアップ支援を多く手がけられています。特に注目しているカテゴリやトレンドなどはありますか

倉林:まず、基本的な分類視点として「Enterprise SaaS」と「Industry Cloud」で市場を眺める必要があります。前者はビジネス向けに展開する水平的なサービストレンド視点、後者は業界バーティカルに展開する垂直型の視点です。

会計や人事、アプリグロースのような業界を横切って展開できる事例と、特定業界に特化した業務フロー改善は大きく分けて考えた方が整理しやすそうです

倉林:その視点でまず、Enterprise SaaSのトレンドですが、これまでも注力してきた「セールス&マーケティング」、HR領域を中心にAIを絡めた自動化や、インサイトの抽出が可能となるテクノロジーをもった企業に注目しています。

最近ではさらに切り出した「セールス・テック」の話題も国内で耳にするようになりました

倉林:国内と海外では少しだけ様子が違っていて、国内では人材(HR領域)やフィンテック分野のスタートアップが近年目立っていたかもしれませんが、米国ではやはりセールス&マーケティングが中心なんですよ。

注目の企業は

倉林:グローバルではやはり「salesforce.com」と「Marketo」が外資系大手として輝いていますね。国内でそれらに対抗するのがフロムスクラッチ(国産マーケティング・オートメーション最大手)やマツリカ(UI/UXに優れたSFA)です。

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確かにSaaSがこれだけ伸びてますから、そもそものインフラ自体の運用効率化は影響範囲が大きそうです。業界バーティカルで注目されているトレンドはどこでしょうか

倉林:外資の参入があまりないできないところがIndustry Cloudのよいところです。ここでは物流や教育、医療、製造業等においてIoTBig Dataも絡めたソリューションに可能性を感じていますね。投資先ですが、急成長している企業にオクト(建設分野のプロジェクト管理「ANDPAD」提供)やカケハシ(医療分野の電子薬歴「Musubi」提供)に続く、先端 SaaS Cloud アプリケーションで伝統的業界の革新に挑む企業に注目しています。

確かにオンプレミスのソリューションや一部SaaSの競合も存在していますが、オクトやカケハシは調達力、チームのクオリティや技術力で他を圧倒していると思います。

最後に、この分野に挑戦するスタートアップはまだまだ数が増えそうです。倉林さんからのアドバイスは

倉林:B2B SaaS/Cloudのベンチャーの成功に欠かせないのはカスタマー・サクセスを実現するプロダクトへの「こだわり」です。顧客のフィードバックを元に、開発項目の優先順位を考えながら常にプロダクトを磨き続けるリソースを確保し、バージョンアップしてカスタマー・サクセスを実現する。顧客に向き合いながらこのループを回し続ける体制構築が重要だと思います。

ありがとうございました。次の方にバトンを回します

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