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Beyond MaaSを見据えた「理想的な移動社会」への挑戦ーービジネス効率化の旗手たち/MasS Tech Japan代表取締役CEO 日高 洋祐氏 #ms4su

本稿は日本マイクロソフトが運営するスタートアップインキュベーションプログラム「Microsoft for Startups」による寄稿転載。同プログラムでは参加を希望するスタートアップを随時募集している 前回からの続き。本稿では、エンタープライズSaaSやインダストリークラウドに注目したサービスを展開するスタートアップにインタビューし、どのような生産性向上の取り組みがあるのか、その課題も含めてお伝…

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本稿は日本マイクロソフトが運営するスタートアップインキュベーションプログラム「Microsoft for Startups」による寄稿転載。同プログラムでは参加を希望するスタートアップを随時募集している

前回からの続き。本稿では、エンタープライズSaaSやインダストリークラウドに注目したサービスを展開するスタートアップにインタビューし、どのような生産性向上の取り組みがあるのか、その課題も含めてお伝えしています

MaaS (Mobility as a Service) 領域において事業展開を進める、MasS Tech Japan代表取締役CEO日高 洋祐氏にお話を伺いました(太字の質問は全て筆者)。(取材・編集:増渕大志

MaaS Tech Japanが解決していること:「移動する」「移動させる」「移動の先の目的」の3つの概念を統合したMaaSデータプラットフォームおよびサービスを通じて価値あるMaaSの社会実装を目指している

この連載では「ビジネス効率化の旗手たち」として、効率化を図っているクラウドサービスを取材しています。手掛けられているMaaS業界をターゲットとしたサービスについて、具体的に教えてください

日高:「移動する」「移動させる」「移動の先の目的」の3つの概念を統合したデータプラットフォームおよびサービスを開発しています。MaaSおよびMaaSの先、Beyond MaaS領域のソリューション群となります。現段階では公表できていませんが、今秋から複数のMaaS実証実験プロジェクトを予定しています。また、2020年に向けてより大きなプロジェクトを実施できるよう計画しています。

3つの概念である移動する、移動させる、移動の先の目的について詳しく知りたい。Uberのコンセプトもこれに入るのでしょうか

日高:UberやLyftなどのライドシェアサービスは、移動したい人と移動する人を位置情報を持つスマホで繋げ、自動車での移動に効率性を持たせたものです。ただ、移動手段は車だけでなく電車やバス、その他交通機関など多岐に渡ります。

3つのコンセプトは、移動に複数の選択肢をもたせ、さらにそれを効率化させ包括的に「移動」のアップデートを目指していくことを意味しています。そのため弊社では、一般ユーザー向けのMaaSに加え、交通事業者向けや商業施設向けのMaaSソリューションも展開することで根本的な移動効率性解決に取り組んでいます。

なるほど。交通で交通の解決を目指しているのがUberならば、事業者向けMaaS事業はあらゆる移動手段を組みあわせ、それをビッグデータ化させ分析し、根本的解決を目指していくということですね

日高:そうですね。我々が分析するのは、車の動きだけではありません。根本的な交通改善をしていくには、車のデータに加え、家やビルなど一つ一つのプロパティーを含めた俯瞰的な視点でデータ化を進めなければなりません。例えば、この地区の渋滞はこのマンション・工場の人が自家用車を多用していて交通網を悪化させている。だから、そのソリューションとしてオンデマンドバスを走らせたらどうだろう、そういったデザイン設計が求められています。

ただ、事業者側からすれば渋滞解消のために費用を使う理由はないので、これらをどう社会的課題として地域一丸となって取り組むかなどまだまだ課題は残っています。

MaaSによって解決される課題には具体的にどのようなものがありますか

日高:日本においては、高齢者の方の運転事故のほか、人口減少や、それに伴う運転士などの若手労働力の担い手不足の問題があります。

そのために必要な要素は

日高:まずは、MaaSによってその地域や産業課題を解決していくことが求められますが、サービス自体を作ることよりも、これまでにない連携スキームを構築し、地域や業界の合意形成をもって新しい産業構造を作るということが真のチャレンジだと思います。

交通サービスの悪化など地域の衰退・消滅に至る未来を変え、これまでと同等かそれ以上の、持続可能な生活・社会を実現することがMaaSに携わるプレイヤーには求められます。

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その観点でいえば、MaaS先進国フィンランドは国家単位で交通問題に取り組んでいるイメージです

日高:フィンランドでは、自家用車の所有比率を下げるために、公共交通乗り放題+カーシェア・タクシーを定額制で提供するMaaSが提唱されました。その前にはオンデマンド交通での解決が試みられましたが、単一のソリューションでは限界があり、前述のような形に辿り着いています。日本においても、鉄道だけ、バスだけ、自動車だけのソリューションでも価値を生み出せるかとは思いますが、それらを統合して、課題解決にあたることの価値も大きいと思います。

確かに移動を組み合わせることでサービス利便性向上に繋がる

日高:民間事業者で競争原理が働きやすい状況だからこそ、連携が未開拓であるケースが多く、その部分に貢献できればと考えています。現在は、交通系のデータがインターネットおよびクラウドに集約されつつあり、デジタル化も進んでいます。そこにスマートフォンという利用者との接点創出がなされ、シェアリングエコノミーや端末決済手段などMaaSに必要なパーツがそろってきたことで、それが可能になりつつある状態だと考えます。

MaaSに特化したスタートアップを国内であまり耳にしないが市場規模は

日高:MaaS市場自体はグローバルでは100兆円産業ともいわれますが、すべての既存サービスが新しいものに置き換わるわけではなく、また他産業に与える影響を鑑みると市場規模の算出は大変難しくあまり意味のあるものでないかもしれません。

例として、小さな地域でも一台のオンデマンドバスを運行すると諸々含めて年間で数千万かかっていることもあります。MaaSは単一ソリューションでなく、移動にかかわる全ての交通手段を統合し、選択し、最適なソリューションとして提供する概念です。その効果は無駄や可視化が出来ていないケースほど大きいものと考えます。最終的には新しい理想的な移動社会を目指してR&Dを進めています。

MaaS事業を通して目指す、「新しい理想的な移動社会」について具体的なビジョン等あれば

日高:新しい理想的な移動社会、これに関しては特定のイメージを持っているわけではありません。1つ言えるのは、私たちがモビリティテック企業として、そのテクノロジーと知識をきちんと社会へ届けていくことがその世界観を作り出す近道であると思っています。

せっかくスマホで位置情報が分かって、それがビッグデータとなるにも関わらず現状そこまで分析して有効活用されている印象は少ないです。生活が便利になるテクノロジーがあるのなら、それを社会変遷に合わせてしっかり届ける、これが私たちが目指す「理想的な」移動社会に最も近づける道だと思います。

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開発から実証実験フェーズに入る今、特に苦労している観点

日高:地域や業態ごとに異なる交通事業者の考え方や関係性、データ・システムの違いに苦労していますが、それらを効率的に統合する仕組みを考える必要もありますので、日本国内においては正しい苦労と努力が出来ていると思います。

また、今後クロスインダストリーで別の産業とデータ連携するときのノウハウを今から蓄積していると思えば、成長性も担保できる苦労であると考えています。直近では、いよいよ実証実験フェーズへ突入しており、経済産業省・国土交通省が進めるスマートモビリティチャレンジの一つ、上士幌町(かみしほろちょう)における自動運転×MaaSの実証実験に参加することが決まっています。SBドライブ社が自動運転を、MaaS Tech JapanがMaaS部分を担当します。

海外市場では自動運転の実験も多く、国内との差をどのように認識されていますか

日高:海外と日本における「実証実験」の意味合いには違いがあると思っています。例えば、中国のスマートシティーと呼ばれる雄安新区などでは、AI・自動運転・交通コントロール・MaaSなどあらゆる分野のテクノロジーを融合させ実証実験をしています。その反面、日本ではFintechはA地区、自動運転はB地区、MaaSはC地区のように分野別で区切られてしまうことが多い。

今回私たちが参加する北海道での自動運転の実証実験も、実は「無人で走る」こと自体にはあまり意味がなく、その事実がどう街を変化させるのか、そもそも無人である必要があるのか等アウトプットを分析することが重要となってきます。海外のように親和性の高い技術をあわせて取り組むために参画を決めました。

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BeyondMaaSについて。MaaSが社会的に確立しサービスとして成り立った先に見据える世界観や特に着目する分野は何かありますか

日高:エネルギーマネジメントと不動産、物流、医療分野に着目しています。移動とは都市の機能が物理的に離れているからこそ生まれる行為であり、それ自体が目的ではありません。そうすると、目的側、つまり生活の基盤に近い業界などから効率化の恩恵を受ける可能性があり、その〇〇側の要請をモビリティ側がどれだけ受け入れられるかの勝負になります。そのためにも分野横断的なデータ利活用のプラットフォームの存在と、その上にアプリケーションが作りやすいオープンな開発・協業体制が重要となります。

なるほど。今後、MaaSが浸透するタイムラインやそのターニングポイントとなる出来事をどう捉えていますか

日高:海外では、MaaSというよりオープンデータやスマートシティーの観点で、モビリティーと他業界の融合は当たり前のように行われています。その中でもターニングポイントとしては、現在ダボス会議でも議論されている国境を越えたデータの利活用(Data Free Flow)がどのように行われるかであろうかと思います。

日本ではDFFにwith Trustを加えたモデルということで、国家的な統合管理とも民間事業者に過度に依存したデータ連携とも異なるスキームの構築が目指されています。MaaSもその一角を担う要素であるので、どのように協調領域が構築され、どのような産業やサービスができるのかについては日本としても考える部分で、その成功事例を一つでも多く生み出したいです。

ありがとうございました!

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需要予測で物流の過剰在庫を解消せよーービジネス効率化の旗手たち/ニューレボ代表取締役・長浜氏 #ms4su

本稿は日本マイクロソフトが運営するスタートアップインキュベーションプログラム「Microsoft for Startups」による寄稿転載。同プログラムでは参加を希望するスタートアップを随時募集している。今回インタビューに答えてくれた長浜氏は6月14日のミートアップにも登壇予定 前回からの続き。本稿では、エンタープライズSaaSやインダストリークラウドに注目したサービスを展開するスタートアップにイ…

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本稿は日本マイクロソフトが運営するスタートアップインキュベーションプログラム「Microsoft for Startups」による寄稿転載。同プログラムでは参加を希望するスタートアップを随時募集している。今回インタビューに答えてくれた長浜氏は6月14日のミートアップにも登壇予定

前回からの続き。本稿では、エンタープライズSaaSやインダストリークラウドに注目したサービスを展開するスタートアップにインタビューし、どのような生産性向上の取り組みがあるのか、その課題も含めてお伝えしています。

本稿ではスマホをベースとしたバーコード読み取りで、検品や物流管理が行えるソフトウェア「ロジクラ」を開発するニューレボ代表取締役でCEOの長浜佑樹氏にお話を伺いました(太字の質問は全て筆者)。(取材・編集:増渕大志

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ニューレボが解決していること:無料で使える在庫管理ソフト「ロジクラ」を活用し、物流業界における過剰在庫に対するソリューションを提供している。また、今後はAIによる需要予測や動産担保融資による在庫の現金化、在庫売買のマーケットプレイスなど「ロジクラ」をベースにビッグデータの活用施策を提供予定

この連載では「ビジネス効率化の旗手たち」として、効率化を図っているクラウドサービスを取材しています。手掛けられているサービスは、物流業界における「過剰在庫」へのソリューションということですが、具体的なサービス内容について教えていただけますか

長浜:無料で基本機能が利用できることをコンセプトに、在庫管理ソフト「ロジクラ」を提供しています。商品の入荷、在庫、受注から出荷までの物流管理をSaaSの形で利用することが可能です。

スマホのカメラからバーコード読み取りによる、入出荷処理や在庫確認が可能な点や、プラットフォームを利用し、複数ユーザーや複数拠点における在庫管理が可能なことが特徴になっています。長期的にはビッグデータを蓄積し「AIによる需要予測」を通した事業者コスト削減、過剰在庫の削減に挑んでいきます。

物流市場でなぜ、過剰在庫が発生するのでしょうか

長浜:現場で過剰在庫が発生する理由はシンプルに「需要の予測が出来ていないから」です。現在庫数が把握できていないことによる、過発注や配送リードタイムを考慮したオーバーストックが大きな背景になっていますね。単に発注担当者の感や経験に頼った発注フロー、競合の進出によるマーケットの変化など、様々な背景があるのも事実です。

日本国内における過剰在庫に関する市場規模はどのぐらいあるのでしょうか

長浜:まず、日本国内の流通販売額(卸売・小売の合計年間販売額)は約455兆円と世界的に見てもかなり大きいです。ただ、それに比例するように「過剰在庫」市場も拡大を続け、経済産業省の調べでは2017年において約54兆円といわれています。

当たり前ですが、在庫過多の状態が続くと、会社のキャッシュフローを圧迫し資金繰りの悪化を招きます。私たちニューレボは、そのような大きな社会問題の解決を目指しています。

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需要予測ができないことで過剰在庫が発生する、ということでしたが、この課題がこれまで解決されなかった理由はどこにありますか

長浜:物流市場において「バーコード」はデータを正規化させ、物流管理をするためのインフラ的役目を果たしています。このバーコードは数字のデータしか保有してませんが、それを商品情報と結びつけることで商品の管理をすることが可能です。

ただこのバーコード、読み取るためのハンディーターミナル赤外線端末の導入コストは非常に高く、一般的に1台40万円ほどのコストがかかるとされています。そのため、物量が安定しない状況で導入を進めることが容易ではありません。つまり、バーコードの有効活用が出来ていない、というより有効活用を進める段階にも立てない状況下だったというのが現実でした。

なるほど、それでスマホでバーコードを利用できるようにしたんですね

長浜:そうです。まず、その観点で事業者の初期投資におけるコストを大幅に削減することに成功できたと感じています。入出荷検品のみならず、出荷指示もできます。

フリーミアムのビジネスモデルを選択した理由は

長浜:今後3つのデータ活用事業を進めるにあたり、在庫・販売データを大量に蓄積するという観点からフリーミアムモデルを採用しました。実はこの事業領域でフリーミアムを採用しているサービスは少ないんです。

2018年11月の無料版リリース以降、毎月700社の新規アカウント獲得ペースで累計5000社の法人事業者に利用して頂いています。このことからも、顧客の潜在ニーズを大きく引き出せたと感じています。今後は様々な通販システムやOMS(受注管理システム)との連携機能など、市場の需要に応じて有料版の導入を検討中です。

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では、具体的にどのようにして過剰在庫の問題を解決していくのでしょうか

長浜:ロジクラで蓄積したデータを活用し、以下3つの事業領域に進出を考えています。

1) AIによる需要予測(適正在庫量の算出)
2) 動産担保融資による在庫の現金化(在庫の換金化)
3) 在庫売買のプラットフォーム(在庫の流動性)

「AIによる需要予測」は、過剰在庫に対する直接的ソリューションです。これまで現場の勘や経験に頼ってきたことで、引き起こされた過発注をAIによる需要予測により限りなく0に近づけていきます。

AIで需要予測できてしまえば、今回の問題は解決に向かいそうな気がしますが

長浜:その通りです。小売大手企業で、過去の販売データを時系列分析し人間よりも精度の高い需要予測を行なっている企業はすでに存在します。ただ弊社では、これをパッケージとして提供し全ての企業がAIの恩恵を受けられるようにするという考え方です。需要予測が大衆化される世界観を作り上げることを目指しています。

他に挙げている2つは

長浜:しかしそれでも過剰在庫は発生します。そこで「動産担保融資」は需要予想の上で生じる、過剰在庫の「出口シナリオ」の一つとして在庫を換金化できる環境を想定したものです。さらに「過剰在庫のマーケットプレイス」は、それら在庫に流動性を持たせるための仕組みとして、B2Bの形で在庫売買プラットフォーム構築を考えています。

在庫予測してそれでも余ったものについて企業間でマッチングして売買するマーケットプレイス的なものはイメージつきやすいのですが「動産担保融資」とは具体的にどのようなものですか

長浜:これまで企業が融資を受ける際の価値評価としては不動産担保がメインでした。しかし近年諸外国では、新しい企業評価の一つとして在庫などの動産担保が注目され始めています。これもIT化による、販売ビッグデータが蓄積されてきた事による、市場の移り変わりであると捉えています。

なるほど、全て在庫データで可視化されているので、資産として評価しやすい

長浜:はい、今後当社では、在庫(棚卸し)データに加えて登録商品が実際にいくらで、どの程度売れているのかの販売データを加えることにより「在庫評価」を行うエコシステムを作り上げています。これまでは、実際に人間が現場に赴き行なっていたプロセスを、ITとビッグデータ活用することで、スピード感並びに信頼価値の向上を目指していきます。

在庫売買のプラットフォームも理想的ですが、既存の流通エコシステムでも在庫処分などの仕組みがあるのではないでしょうか。ロジクラが手がけることによるメリットは

長浜:現状、事業者が在庫を多く抱えてしまった場合、セールを行い定価より大幅に値下げをし過剰在庫を処理するフローが一般的とされています。それでも余った商品は二次流通に流させる、または破棄をするしかないというのがリアルな実情です。

当社では、日ごろから物流管理として利用して頂く「ロジクラ」に、そのままB2Bマーケットプレイスを構築することで、シームレスに在庫流動性を作り上げることが出来るのではと考えています。

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データを一元管理しているのでやりやすい

長浜:加えて、在庫売買にはもう一つ大きなハードルが存在しています。商品マスタの整備と呼ばれ、いわゆる「商品情報を1つ1つ作成する」という作業です。EC事業者など商品マスタを整備(商品名や商品画像など)しなければならない事業者にとってはそれほどハードルでもないですが、商品マスタが整備されていない事業者にとっては在庫売買を行う前段階で大きな整備コストがかかります。当社はこの領域を在庫データと商品データのビッグデータ活用により進めることを考えています。

最後に、今後の物流市場のアップデートへ向けた期待があれば

長浜:「AIによる需要予想」というと、販売データを大量に持っているAmazonや楽天、Yahoo!ショッピングがやれば良いのではないか、と考える方が多いかもしれませんがそれは違うんです。

Amazonも楽天も、小売も卸も、全てのデータを把握することで物流における「AIによる需要予想」は可能だと考えています。販売チャンネルに依存する販売データではなく、バイアスを取り除いたデータが物流には集まり、そのビッグデータこそが物流市場に眠っている現状活用されていない「情報」だと信じています。

将来的には、社会全体で10%の過剰在庫削減を目指していきます。過剰在庫を削減し、企業のキャッシュフローを向上させ、中小企業が持続的に生存・成長していける社会的土台を作り上げること、これが私たち事業の社会的意義だと思っています。

ありがとうございました!(取材・編集:増渕大志

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情報銀行時代「自分のデジタルデータは自分で管理」するScalar DLTーービジネス効率化の旗手たち/Scalar代表取締役・山田氏/深津氏 #ms4su

本稿は日本マイクロソフトが運営するスタートアップインキュベーションプログラム「Microsoft for Startups」による寄稿転載。同プログラムでは参加を希望するスタートアップを随時募集している 前回からの続き。本稿では、エンタープライズSaaSやインダストリークラウドに注目したサービスを展開するスタートアップにインタビューし、どのような生産性向上の取り組みがあるのか、その課題も含めてお伝…

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本稿は日本マイクロソフトが運営するスタートアップインキュベーションプログラム「Microsoft for Startups」による寄稿転載。同プログラムでは参加を希望するスタートアップを随時募集している

前回からの続き。本稿では、エンタープライズSaaSやインダストリークラウドに注目したサービスを展開するスタートアップにインタビューし、どのような生産性向上の取り組みがあるのか、その課題も含めてお伝えしています。

改ざん検知性・スケーラビリティーの両立を実現する分散型台帳ソフトウェア「Scalar DLT」の開発を進めるScalar代表取締役でCEO/COOの深津航氏、同じくCEO/CTOの山田浩之氏にお話を伺いました(太字の質問は全て筆者)。(取材・編集:増渕大志

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Scalarが解決していること:高い改ざん検知性と高いスケーラビリティを有し、電子的な契約を実行するためのデータベース基盤であるScalar DLTを開発・提供するScalar。一つのユースケースとして、近年関心が高まりつつある「情報銀行」の提供を目指す事業者に対し、パーソナルデータの利用等に関する契約を管理するソリューションテンプレートを提供する。

この連載では「ビジネス効率化の旗手たち」として、効率化を図っているクラウドサービスを取材しています。手掛けられているサービスは、分散型台帳ソフトウェアを活用された個人情報のオーナシップマネージメントということですが、具体的にどの様な特徴を持ったものなのでしょうか

深津:Scalarでは「Scalar DLT」という高いスケーラビリティーと改ざん検知性を両立させた分散型台帳ソフトウェアのR&D・販売をしています。Scalar DLT自体はプラットフォーム型でご提供させて頂いており、その上にドメイン特化型でミドルウェアやソリューションテンプレートの研究開発を進めている段階です。

「分散」というキーワードを聞くと、社会トレンド的にはブロックチェーンが思いつきます。関連性はあるのでしょうか

山田:概念的には、Scalar DLTを始めとする分散型台帳とブロックチェーンは近いものです。双方において、暗号学的ハッシュ関数や電子署名を用いてデータ構造自体に改ざんを検知できる機構をもっていたり、システムの管理を分権することにより改ざん性を高めるという発想です。僕らのScalar DLTは、ビットコインのような誰もが参加できるパブリックなネットワークではなく、データベースを構成するネットワークへの参加者が事前に決まっているプライベートネットワークにおける利用を想定しているものです。

プライベートブロックチェーンとScalar DLTとの差異は

山田:そもそもScalar DLTの開発を始めたきっかけとして、現在あるプライベートブロックチェーンにおける実装の多くは、設計や原理がパブリックブロックチェーンの発想に引きずられすぎており、データベースの歴史が無視されているという課題意識がありました。改ざん検知性自体は面白い観点ですが、そこにとらわれ過ぎていて、スケーラビリティー等その他必要不可欠な部分がおろそかになっているんです。

そこで、ブロックチェーンがもつ高い改ざん検知性をもちつつ、スケーラビリティーを可能な限り高いレベルで実現する基盤として「Scalar DLT」の開発をはじめました。つまり、他のブロックチェーンとの大きな違いの一つは、「高いスケーラビリティーがある」というところです。例えば、計算機資源の追加によってほぼリニアに処理のスループットが向上します。

深津:ビジネス的な観点でも、Scalar DLTはユースケースを見据えて設計しているという点が特徴的です。例えば、情報銀行等におけるパーソナルデータの利用等に対する契約管理や、サブスクリプションや保険などのエビデンス管理など、電子的な契約が利用者の増加によって増えるような、スケーラビリティーと改ざん耐性の両方が求められるユースケースに特化しています。

分散型台帳(DLT)がどのようにパーソナルデータと結びつくのでしょうか

深津:ユースケースの一つには、世界的に話題となっているパーソナルデータにおける同意の管理があります。欧州ではGDPR、米国カリフォルニアではCCPA、日本では個人情報保護法の改正と「情報銀行」がこれに当たります。ヨーロッパにおけるGDPRの動きが分かりやすく、パーソナルデータを人権の一つとして捉え、オーナシップを付与させようという取り組みです。この領域において、同意を管理する仕組みとして、弊社のScalar DLTをもとにした情報銀行ソリューション・テンプレートの提供を始めています。

タイムリーな話題でいうと、LINEが個人情報の登録で1000円分のコインを配っていますね。300億円かけているとか

深津:まさにパーソナルデータの1つである本人確認の事例です。一般的に、クレジットカードなど本人確認にかかる手数料は1人あたり3000円と言われています。しかし、現在は基本的に人の手を介してこれらの作業は行なわれているんですよね。

例えば保険業界でも、契約書類などはマイクロフィルムに入っていることが多く、ビルや倉庫を利用した保存方法となっています。しかし、これらを参照する機会はほぼない。それにも関わらず、デジタル上にデータを保存することは、改ざんされる危険性があるため電子的に保存するためには、いくつかの障壁があります。

ドキュメントのワークフローを効率化する仕組みなどで、「ガイドワイヤー」などが導入されていますが、大きなシステム投資をしてデジタル化した方が効率的であるということなんだと思います。

なるほど。ユースケースは他にどの様な分野を想定しているのでしょう

深津:パーソナルデータ以外にも、サブスクリプションにおけるユースケースを想定しています。今は定額サブスクリプション型が多いのですが、今後は従量課金型も多くなっていくと予測しています。利用者が「自分が本当に利用したのか」を確認する仕組みが必要であり、そこにうまくはまると思っています。

サブスクリプションエコシステムにおける、分散型台帳の活用がなかなか想像つきません

深津:例えばNetflixのような動画視聴サービスにコンテンツを提供していた場合、コンテンツ提供事業者は、自身が提供したコンテンツがどの程度利用されているかは、動画視聴サービスを提供している企業を信用するしかありません。一方、利用者は個別に課金されるコンテンツの利用によって追加課金を要求された場合、現段階で「そのコンテンツを私は見ていない」と証明する方法は存在していません。

この動画視聴サービスの例でいえば、自身の利用履歴というパーソナルデータを、動画視聴サービス提供企業以外が正しく運用されているのか管理できる仕組みに需要が出てくると考えています。

プロダクトの話に移らせてください。Scalar DLTは既に実用可能な段階なのでしょうか

山田:Scalar DLTは既に実用可能な状態です。MVPである1.0の実装は完了し、改ざん検知性やスケーラビリティの検証を丁寧にしてきました。また、内部で実行するトランザクションが本当にどのようなケースでも正しく実行できるのかというところにかなりの時間を使って検証してきています。ネットワークを構成するノードがクラッシュしても、ネットワークが分断しても、ノードの時間がバラバラでも、システムが正しく動き続けるというのは実は非常に難しいのですが、1年くらいかけて検証し続けてきた結果、問題等は起こらなくなりました。このような分散システムの検証に注力しているところも他のブロックチェーン企業とは大きく違うところかなと思っています。

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システム導入までに際し、何か大きな課題などあったのでしょうか

深津:たとえば、情報銀行の導入検討においては、単なる同意の管理だけではなく、システムのログまで保全として欲しいという要望がありました。また、保険契約の仕組みにおいては、規約上書面で確認するという形になっていました。このため、デジタルの仕組みだけでは構築できない領域があります。そのため、法制度の改正も見据えて提案しなければならない領域があることもわかりました。

山田:大きな課題というほどのものではないですが、ソリューションテンプレートを作るにあたってクライアントをどうやって実装するかが少し悩ましかったです。スマホアプリにすると処理の内容やUI/UXの柔軟性は高いですが、開発に時間がかかるしアプリのダウンロード数や生存率をあげるためのコストが意外に高いので、初期はブラウザで始めたいという要望が多くありました。この実現のため、Scalar DLTのスマートコントラクトをブラウザから実行できるようにする機能追加するなど、諸都合に応じた工夫が必要でした。

なるほど。市場規模の想定は

深津:パーソナルデータを用いたデータ流通市場は、国内では現在約2兆円の市場があると考えています。今のところこの分野は、データブローカーやアドテック企業が主なプレーヤーとなります。これらのプレイヤーの全世界の総売上を人口で按分すると、年間$240/人になります。これを日本における18歳以上の人口に掛け合わせると、約2.4兆円となるという算出方法です。

これから個人情報への需要が上がるにつれ、市場規模も拡大が期待できる

深津:そうですね。さらに、また、VRM(=Vender Releationship Management)市場の成長も捉えると約60兆円の市場が立ち上がると言われています。このうち同意の管理の部分を弊社が獲得していくことを狙っています。また、その他にも、改ざん耐性や完全性の証明を必要とするe文書法などの法律に対する事業領域があります。こういった市場を含め、直近2年間で数億円の売上を目指していきます。

最後に、DLT関連事業のプロトコルレイヤー開発企業として感じる、今後の業界トレンド予想について聞かせてください

山田:ブロックチェーンや分散型台帳の利用においては利用者やアプリがそれぞれの方法で秘密鍵を管理することが推奨されていますが、実はそこが結構面倒なので普及が進みづらく、課題であると思っています。ただ、FIDO2等が普及することにより、秘密鍵を利用者側で保持することがブラウザとして標準になってくると、この辺の敷居が一気に低くなると思っています。

深津:今後3年くらいは決済は小口化、大量トランザクションに向かう傾向が続くと感じています。一方で、サブスクリプション型のビジネス市場の拡大も進んでいます。これにより、決済は月次にまとめて行う形が一般的となります。その結果、決済は大口化、トランザクションは減少して収束していきます。

一方で、各種サービスにおける利用実績のエビデンス収集領域にも着目しています。つまり、サブスクリプション提供企業がサービス提供企業に対し、自社サービスの利用実績を証明し自動的に支払いを実行する、スマートコントラクト市場の可能性が大きく成長すると感じています。

ありがとうございました!(取材・編集:増渕大志

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揺るぎない真実は「理念のもと」で行動することーーPRの在り方について、変わったもの・変わらないもの/湘南ベルマーレ・遠藤 さちえさん

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本稿はPR・コミュニケーション領域の最新動向が学べるコミュニティイベント「PR TIMESカレッジ」編集部による寄稿。リレーインタビューに参加してくれた湘南ベルマーレ 広報、遠藤 さちえ(えんどう さちえ)さんは、6月4日に六本木アカデミーヒルズにて開催されるイベントにもスピーカーとして登壇予定 前回からの続きです。本稿では、広報担当者を支援するPRの学びの場「PR TIMESカレッジ」に登壇され…

本稿はPR・コミュニケーション領域の最新動向が学べるコミュニティイベント「PR TIMESカレッジ」編集部による寄稿。リレーインタビューに参加してくれた湘南ベルマーレ 広報、遠藤 さちえ(えんどう さちえ)さんは、6月4日に六本木アカデミーヒルズにて開催されるイベントにもスピーカーとして登壇予定

前回からの続きです。本稿では、広報担当者を支援するPRの学びの場「PR TIMESカレッジ」に登壇されるゲストスピーカーの方々に、これからのPRの在り方に関して「変わったもの」と「変わらないもの」、そしてその理由などをお聞きいたします。今回は湘南ベルマーレ 広報(Media Relation Unit)の遠藤 さちえさんです。(太字の質問は全て筆者。回答は遠藤さん)

このリレーインタビューでは、PR動向の変化についてお聞きしています。遠藤さんは、スポーツクラブの広報として、この数年でどのような変化を感じていますか?

遠藤:一番感じているのは、情報を取り巻く環境の変化です。新しいメディアが増え、生活者が情報をキャッチする方法も多様化しました。私たち湘南ベルマーレとしても、ファンを大切にしながら、湘南エリアから離れたところに住む方たちに向けても情報発信していきたいと考えていますので、この変化を捉え、行動していくことはとても重要です。

また近年は、「個人」の発信が世の中の潮流を生み出すきっかけとなることも珍しくありません。発信者側、受信者側共に、この変化はとても大きなものだと思います。

情報流通構造の変化は、各方面に影響を及ぼしていますね。パブリックリレーションズの領域に対して与える変化については、どのようにお考えでしょうか。

遠藤:PR活動においては、広報担当者が重視すべき考え方や必要なスキルにも大きな影響を及ぼしていると感じます。これからは、既存メディアの存在を大切にしながら、オウンドメディアをいかに充実させていくかが大切ではないでしょうか。

オウンドメディアは運用が重要なので、スピード感も求められます。

遠藤:そうですね。5年単位どころか、1年、更には数か月単位で変化するメディア環境の変化に、しっかりと対応していくフットワークの軽さは必要不可欠だと思います。最も大切にすべきは、お客様が求めるものに沿う発信をしていくことです。変化をしなやかに受け止めて進化し続けること、そして実際に進化をかたちにしていくための実行力は、ますます求められていくと思います。

一方で、変わらないものはどのように考えていますか?

遠藤:先述の通り、周辺環境としては常に変化を求められる時代です。ですが、その中でも「理念のもとで行動する」ということは、揺るぎない真実だと思います。

ロッカー映像が話題になっていましたが、湘南ベルマーレの皆さんが言う「理念」という言葉はとても重みがあります。

遠藤:わたしたちのクラブの理念は「夢づくり、人づくり」です。湘南ベルマーレは、世代と地域をつなぐ総合型スポーツクラブとして、チャレンジする人の成長を支え、夢と感動を提供したい。この「芯」を忘れなければ、迷いが生じても原点に立ち戻ることができます。

日々の広報現場でも、メディアを通じて届くベルマーレの情報の在り方はとても意識しています。人が夢や希望を抱くことができたり、成長したい思っていただくことを、常に目指しています。

メディアの方たちに理念を伝えるという点でも、その姿勢は欠かせないものなんですね。

遠藤:常日頃から大事にしているのは、メディアの方たちに対して「親切であること」、そして「情熱を持って伝えること」の2つです。これはどんな時代であっても、変わらずに広報担当が持つべき必要な視点だと思います。

遠藤さん、ありがとうございました!

情報開示:THE BRIDGEは2018年4月からPR TIMESによって運営されております

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青臭いけど、パブリック・リレーションズの根幹は「情熱」ーーPRの在り方について、変わったもの・変わらないもの/ハフポスト日本版・南 麻理江さん

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本稿はPR・コミュニケーション領域の最新動向が学べるコミュニティイベント「PR TIMESカレッジ」編集部による寄稿。リレーインタビューに参加してくれたハフポスト日本版、南 麻理江(みなみ まりえ)さんは、6月4日に六本木アカデミーヒルズにて開催されるイベントにもスピーカーとして登壇予定 前回からの続きです。本稿では、広報担当者を支援するPRの学びの場「PR TIMESカレッジ」に登壇されるゲスト…

本稿はPR・コミュニケーション領域の最新動向が学べるコミュニティイベント「PR TIMESカレッジ」編集部による寄稿。リレーインタビューに参加してくれたハフポスト日本版、南 麻理江(みなみ まりえ)さんは、6月4日に六本木アカデミーヒルズにて開催されるイベントにもスピーカーとして登壇予定

前回からの続きです。本稿では、広報担当者を支援するPRの学びの場「PR TIMESカレッジ」に登壇されるゲストスピーカーの方々に、これからのPRの在り方に関して「変わったもの」と「変わらないもの」、そしてその理由などをお聞きいたします。今回はザ・ハフィントン・ポスト・ジャパン株式会社 編集者・ピープルディレクターの南 麻理江さんです(太字の質問は全て筆者。回答は南さん)。

このリレーインタビューでは、PR動向の変化についてお聞きしています。南さんは、メディアとして企業広報の皆さんからプレスリリースを受け取られる立場ですよね。

南:そうですね、わたしも含め、肌感覚で申し上げると、メディアの記者や編集者は日常的に数百件規模のプレスリリースを受け取っていると思います。ただ恥を忍んで明かしてしまうと…、私の会社のメール受信箱には、未読メールが17万7000件もあります(笑)

なかなか衝撃的な数字ですね(笑)

南:はい、どうしてもメールは追いきれませんね。それはおそらく、プレスリリースが不特定多数に向けられる「1:N」の発信だからではないかと思います。もちろんやむを得ないところもあると思うんですが、今の時代、何かを本気でPRしたいと思ったら「1:N」のコミュニケーションだけでは限界もあるように思います。

どのように変わってきたと感じていますか?

南:PRにおいて「1:1」のピンポイントなつながりが重視されるようになってきたというのは、確かなこととして実感しています。私もメールではなく、FacebookメッセンジャーやLINEで個別にご連絡いただくことが増えました。「南さん、元気ですか?」とか、「南さんの顔が瞬時に浮かぶプロジェクトが爆誕しました!」とか…。やっぱり自分に対して連絡を頂けるとすごく嬉しいし、その瞬間に生まれるコミットメントが圧倒的に違いますよね。

相手と意味のある関係性を築くことはお互いにとって不可欠。「1:N」と「1:1」、両輪のアプローチが大事になってきたように感じます。

コミュニケーションのスピード感という意味でも、コミュニケーションの在り方と共にツールが変化してきた実感はありますね。変わらないものは、どう考えますか?

南:ちょっと青臭いんですけど、どのような時代になろうとも、パブリック・リレーションズの根幹にあるものは「たった一人の情熱」ではないかなと思います。

日々忙しく働いていると、自分自身情熱の火が消えそうになることもあるんです。それくらい情熱を持つことって大変。ですが、編集者として何かに惹きこまれるのは、相手から強い想いを感じたときです。

なるほど。具体的なエピソードはありますか?

南:新潟にある靴下メーカー「山忠」の社長さんにインタビューをさせていただいたことがあるのですが、それは「山忠」のウェブマーケティングを支援している編集プロダクションの女性担当者からの熱いアプローチがきっかけでした。

彼女は、いかにして自分が「山忠」の靴下にいかに惚れ込んでいったか、社長がどれだけユニークな人物か、一方で山忠がウェブマーケティングに課題意識を持っているのはどのような理由からかを熱く語った上で、私にも意見を求めてきたんです。「南さんはどう思う?どうしたらもっといろんな人に知ってもらえるかな?」と。

すぐに実物を送りたい!と足のサイズも聞かれました(笑)

その前のめりな情熱が、取材に繋がっていったんですね。

南:報道媒体として受け取れないため商品の受け取りは辞退しましたが、実際、彼女は毎日「山忠」の靴下を履いていたそうです。ひとたび会話がスタートすると、それは半ば取材の始まり。こちらにもしっかり意見を求める「聞き上手」な彼女の熱量に影響を受けて、私もどんどん「山忠」の成功の秘密を知りたくなっていきました。

そこから取材が実現したのですが、実際に山忠代表の中林さんにインタビューしてみると、「山忠」の面白さのひとつに「コールセンター軍団」の存在があると分かり、ハフポストの読者からも多くの反響をいただきました。やはり情熱を感じるアプローチには理由があるのだと、改めて感じた経験でした。

「1対1」のコミュニケーションが重視されてきたという先ほどのお話にも通じますね。

南:たった一人の「情熱」が人を動かし、世界を変える、というのは本質的なことだと思います。本気で伝えたいのか? なぜ伝えたいのか? ゴールはぶれていないか? メディアも、PRパーソンも、広報も、どんなポジションであれ、常に自分に問い返す姿勢が大事だと思います。

南さん、ありがとうございました!バトンを次に回します。

情報開示:THE BRIDGEは2018年4月からPR TIMESによって運営されております

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これからはブランドのスペックよりも「意味」が語られるーーPRの在り方について、変わったもの・変わらないもの/ヤッホーブルーイング原謙太郎さん

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本稿はPR・コミュニケーション領域の最新動向が学べるコミュニティイベント「PR TIMESカレッジ」編集部による寄稿。リレーインタビューに参加してくれたヤッホーブルーイング、原 謙太郎(はら けんたろう)さんは、6月4日に六本木アカデミーヒルズにて開催されるイベントにも登壇予定 PR TIMESでは四半期に一度のペースで、広報担当者を支援するPRの学びの場「PR TIMESカレッジ」を開催しており…

本稿はPR・コミュニケーション領域の最新動向が学べるコミュニティイベント「PR TIMESカレッジ」編集部による寄稿。リレーインタビューに参加してくれたヤッホーブルーイング、原 謙太郎(はら けんたろう)さんは、6月4日に六本木アカデミーヒルズにて開催されるイベントにも登壇予定

PR TIMESでは四半期に一度のペースで、広報担当者を支援するPRの学びの場「PR TIMESカレッジ」を開催しております。第5回目となる今回は、「熱狂的なファンを生み出すパブリックリレーションズ」をテーマに3名のスピーカーが登壇。その後、参加者自身が学びを深め、今後の広報・PR活動を充実させていくためのワークショップも予定されています。

今回のリレーインタビューでは「これからのパブリック・リレーションズ」というテーマで、ゲストスピーカーの皆さんが注目するPR動向について伺いました。パブリック・リレーションズの概念は日夜広がりを見せ、姿勢や心構え、その上で設計される活動、そしてチーム・体制づくりに至るまで、様々な側面でアップデートが求められているように感じます。

本稿は、PRの在り方に関して「変わったもの」と「変わらないもの」、その理由などをお聞きいたします。初回はヤッホーブルーイングでよなよなエール広め隊(広報) ユニットディレクターの原 謙太郎さんです(太字の質問は全て筆者。回答は原さん)。

今回のリレーインタビューでは、PR TIMESカレッジのゲストスピーカーの皆さんに、PR動向の変化についてお聞きしています。ヤッホーブルーイングさんは広報チームのことを「よなよなエール広め隊」と読んでいるんですね。

原:そうですね。この名前には、ヤッホーブルーイングのミッション「ビールに味を!人生に幸せを」を広報チームとして実現する、という想いが込められています。「よなよなエール」を日本のクラフトビールを代表する存在として広めていきたい。それをそのままチーム名にしています(笑)。

そんな原さんが、PRの在り方について「変わった」と感じるのは、どういったものでしょうか?

原:ブランドが持つスペックや提供する価値(メリット)以上に、ブランドが持つ「意味」がより重視されてきていると感じます。企業ブランドで言えば、存在意義・理念・カルチャー・スタッフで、製品ブランドで言えば、信念・コンセプト・体験などです。

その変化は、ビール業界において、どのような場面で感じるのでしょうか?

原:自社ブランド、当社で言えば『よなよなエール』や『水曜日のネコ』が語られるパブリシティの文脈ですね。5年程前であれば、露出切り口の多くは「クラフトビールブーム」や「個性的な味やデザインのクラフトビール」でした。

もちろん、これらの切り口は今も残っています。ですが、それ以上にヤッホーのミッション「クラフトビールで日本のビール文化を変える」や、組織が大事にしている価値観「フラット/チームビルディング」など、カルチャーにフォーカスされる文脈が増えてきました。「ファンマーケティング」や「ビールを楽しむ文化」といったキーワードの割合も目立ちますね。

 

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ヤッホーブルーイングウェブサイトより

<参考>カルチャー文脈のパブリシティ

ブランドが育まれている土壌や環境、つまり「人」に焦点を向けつつある潮流と言えるかもしれません。

原:社長の井手をはじめ、スタッフが登壇する際の講演テーマも同じ傾向です。これに伴い、広報活動におけるKPIについても、従来の「件数」ベースから、「露出量」と「飲用意向度」の掛け合わせによる効果測定を導入しています。

一方、「変わらないもの」についてはどのようにお考えですか?

原:製品ブランドPRにおける効果という点では、マスメディアや影響力のある方の発信は、依然強力だと感じます。これはクラフトビールというプロダクトとの相性もあるかもしれません。

それは何故でしょう?

原:興味を喚起するからでしょうか。重要なのは、誰から発信された情報であるかです。消費財かつ嗜好品というカテゴリでは、この点が製品の飲用意向度に大きな影響を与えます。

例えば、テレビで著名人がよなよなエールを飲んで「美味い!」と言ってくれる。アニメの中で登場人物が「よなよなエール」を美味しそうに飲む。単純ですけど、これらに勝るPRはありません。こんなにうまい露出は滅多にないんですけどね…(笑)。ネイティブアドやペイドパブは、生活者に見抜かれるので私たちは実施しませんね。

メディア総接触時間の比率は、インターネットメディアの割合(パソコン、タブレット端末、携帯電話/スマートフォンの合計)が年々拡大していますが、メディア単体では依然テレビがトップ。自社ブランドに対する反響を冷静に分析しながら、動向の変化を感じ取ることが重要と言えます。

ということで、トップバッターの原さん、ありがとうございました!バトンを次に回します。

情報開示:THE BRIDGEは2018年4月からPR TIMESによって運営されております

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数千項目の監視業務をAIが自動設定、「将棋」で培った機械学習を産業の力にーービジネス効率化の旗手たち/HEROZプロデューサー・大井氏 #ms4su

本稿は日本マイクロソフトが運営するスタートアップインキュベーションプログラム「Microsoft for Startups」による寄稿転載。同プログラムでは参加を希望するスタートアップを随時募集している 前回からの続き。本稿では、エンタープライズSaaSやインダストリークラウドに注目したサービスを展開するスタートアップにインタビューし、どのような生産性向上の取り組みがあるのか、その課題も含めてお伝…

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本稿は日本マイクロソフトが運営するスタートアップインキュベーションプログラム「Microsoft for Startups」による寄稿転載。同プログラムでは参加を希望するスタートアップを随時募集している

前回からの続き。本稿では、エンタープライズSaaSやインダストリークラウドに注目したサービスを展開するスタートアップにインタビューし、どのような生産性向上の取り組みがあるのか、その課題も含めてお伝えしています。

今回お話を伺ったのはAI領域にて、これまで人間には解決できなかった諸問題へ取り組む自社プロダクト「HEROZ Kishin Monitor」を提供するHEROZ、プロデューサーの大井恵介氏です(太字の質問は全て筆者。回答は大井氏)。(取材・編集:増渕大志

HEROZ Kishin Monitorが解決していること:データの時系列分析・未来予想に基づいて、AIによる自動監視・異常検知ツールである「HEROZ Kishin Monitor」を法人向けに提供し、IoT時代における諸サービスの向上・予兆保全を支援している

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HEROZさんといえば将棋のアプリが第一に思い浮かびます

大井:消費者の方に一番身近な私たちのプロダクトかもしれませんね。将棋対戦アプリ「将棋ウォーズ」はAI×エンターテイメントを軸に展開しているアプリケーションです。毎日24万人ほどのオンライン対戦、総ユーザー数では500万人を突破しています。また、当社エンジニア開発の将棋人工知能である「Ponanza」も搭載されており、2013年には史上初プロ棋士に勝利しました。

AIという概念が世間一般に知れ渡るきっかけになったのを覚えています。さて、本連載ではテクノロジーで社会を効率化するソリューションを取材しています。法人向けにはどのような展開を実施されていますか

大井:2015年頃から法人向けに「HEROZ Kishin」サービスの提供を開始しました。その中の1つのプロダクトとして、「HEROZ Kishin Monitor」を展開しています。HEROZ Kishin Monitorは「○○×AI=世界を驚かす」をテーマに、様々な業界とのコラボレーションで社会課題の解決ソリューションを提供しています。データの時系列分析・未来予測に基づく、AIによる自動監視・異常検知を可能としていることが特徴です。現在では他社のエンターテイメント関連を始め、建設関連やIoT関連業界との引き合いが増えています。

法人のAI需要の高まりを感じた具体的なケースについて教えてください

大井:そうですね。当初ウェブサービスのセキュリティー面での監視が当社事業のスタートでした。AzureやAWS等の監視において、重視していたのは「いかに人手をかけずに監視するか」という観点でのシステム設計です。

ただ、イベント等であらゆる業界の方とお話を進めていくと、製造系やインフラ系、またIoT関連のお客様からサービスに関してお問い合わせいただく機会が多くなってきたんです。そんなお話を繰り返しているうちに、様々な分野で私たちの技術が役に立つ可能性があるのでは、と考えるきっかけになりました。

建設業界から需要があるのは新鮮でした

大井:そうなんです、実は建設業界ではセキュリティーや安全面の保証において我々のサービスが有効活用される予定です。現場のメーターに対して画像認識を組み合わせ読み取ることで、設備点検や予兆保全などに適応が可能です。

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なるほど。IoT領域では特にセキュリティー面の担保に需要がありそうです

大井:そうですね、特にIoT周りでは空調システムやデバイスなどから時系列データを元に異常検知を可能にしています。

従来のAIを用いた異常検知では、正常系データと異常系データの両方を学習させなければならず、異常系データが少ないというご相談をお受けすることが数多くありました。HEROZ Kishin Monitorでは、異常系データが無い場合でも学習が可能となっているのが特徴で、私たちが提供するプロダクトの特徴だと思います。そのため、今後はIoTなど新しい概念の領域でも活用事例が進んでいくと考えています。

監視業務の自動化は業務改善の中でも影響範囲が大きそうです

大井:そもそも開発のきっかけは、自社サービスを監視するためのツールを探していたということでした。AIなどを活用し、効率的に監視してくれるようなサービスを探していましたが、人によるチューニング作業が必要なものが多く、運用工数が増大してしまうことが課題と感じていました。

そんな時に「なければ作ればいいじゃないか」という発想で生まれたのが『HEROZ Kishin Monitor』です。自社の課題を解決できるものを作ったからこそ、実用的な自動監視を実現しています。

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莫大な監視項目自体をAIで効率化した

大井:安心できるサービスを提供するためには、監視や異常検知にて担保を図るのは必要不可欠な存在だと思います。ただ、実際にはどの業界でも後回しになっていることが多いなという印象です。

私たちのソリューションであれば、時系列データを流し込むことができれば、どのような値でも扱うことができるので、サーバーのアクセスログだけでなく、不正取引やBOTの検知、製造現場のセンサー情報を基にした異常検知、予兆保全、設備点検など、各産業での維持管理の業務改革を支援できると考えています。

実際に法人向けにサービス提供を開始されて感じる、導入企業さんの反応はいかがでしょうか

大井:利用者の方からは、運用工数を大きく削減することができた、何か問題が起きた際の初動が速くなったなどの感想が届いています。

ビッグデータを扱うという面では開発面での苦労も多かったのでは

大井:リアルタイムの時系列データを収集・蓄積する基盤の開発について、大規模なデータを扱うため、データ形式の統一や処理の遅延などが課題でした。プロトタイピングでは自前でメッセージングシステムを構築していたのですが、AzureのEvent/IoT Hubなどを活用することでスムーズにデータを扱うことができるようになっています。

今後の注力分野はどこになりますか

大井:今後は、特に金融とIoTの領域で力を入れていきたいと考えています。金融については未来予測だけではなく、取引データをもとにした不正検知などに役立てていきたいと考えています。また、IoTについては、画像認識など他のAI技術と組み合わせることでアナログメーターなどの情報を時系列データとして扱うことができるようになりますので、さらに発展していくことができる領域だと考えています。

ありがとうございました!(取材・編集:増渕大志

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苦手を「見える化」して営業パーソンを育成ーービジネス効率化の旗手たち/TANREN代表取締役・佐藤氏 #ms4su

本稿は日本マイクロソフトが運営するスタートアップインキュベーションプログラム「Microsoft for Startups」による寄稿転載。同プログラムでは参加を希望するスタートアップを随時募集している 前回からの続き。本稿では、エンタープライズSaaSやインダストリークラウドに注目したサービスを展開するスタートアップにインタビューし、どのような生産性向上の取り組みがあるのか、その課題も含めてお伝…

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本稿は日本マイクロソフトが運営するスタートアップインキュベーションプログラム「Microsoft for Startups」による寄稿転載。同プログラムでは参加を希望するスタートアップを随時募集している

前回からの続き。本稿では、エンタープライズSaaSやインダストリークラウドに注目したサービスを展開するスタートアップにインタビューし、どのような生産性向上の取り組みがあるのか、その課題も含めてお伝えしています。

スマホを通して、営業パーソンのセールス指導・店舗における販売・接遇練習などの育成課題に動画を通した非属人的なソリューションを展開するTANREN代表取締役CEOの佐藤勝彦氏です(太字の質問は全て筆者。回答は佐藤氏)。(取材・編集:増渕大志

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TANRENが解決していること:動画を主体とした「マイクロラーニング」がコンセプトの企業研修サービス。基礎学習をデジタル化し、応用箇所を個々の能力に合わせ研修することが可能。スマホで指導用の研修動画を撮影し社内共有。ルーブリック(※)評価による定量分析と、タイムスタンプ評価による定性分析をもって企業における人材教育を効率化している

※ルーブリック評価:学習到達状況を段階マトリックスで確認する評価方法

この連載ではビジネスの現場で効率化を図っているクラウドサービスを取材しています。手掛けられているサービスは、アウトプット中心のセールス教育アプリということですが、具体的にどの様な特徴を持ったものなのでしょうか。

佐藤:TANRENは営業パーソンのセールス指導や、店舗における販売・接遇練習などの育成課題、特に時間がなく、属人的な教育になりがちな社内研修に対して、スマホで気軽に動画を撮影し投稿できるシステムを構築しています。

ルーブリック評価による定量分析と、タイムスタンプ評価による定性分析によって教師役と生徒役を動画でつなぐ、赤ペン先生のようなナレッジシェアが可能なことが特徴です。

ルーブリックを使った研修方法とは

佐藤:例えばこちらは現在、前田鎌利さんとの協業で行ってる「鎌利式プレゼン」の研修時に利用するルーブリックです。

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採点箇所の根拠が明確なので、認定講師間で評価のブレが生じず、かつ受講生もどこを指摘されているか納得感があります。これを複数回に渡ってTANRENを活用するとこのような結果が出ます。

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なるほど、社員の不得手な箇所が見える化されてますね

佐藤:育成データを管理していく「People analytics」的な観点が今後、HR領域では注目されていくと考えています。

タイムスタンプとは具体的にどういうことでしょうか

佐藤:簡単に言えば、動画のあるポイントに対して直接コメントを付けられるということです。例えばマニュアルにない、その店舗だけの習慣のようなサービスなどがたまにあったりするんですが、そういったものに対しタイムスタンプをつけることで、後からそのサービスを分析することが出来るようになります。

動画で共有して、さらにいつでも分析が可能

佐藤:例えば営業成績がいい店舗の動画をどの店舗でも見れるのがクラウドの利点です。ある店舗ではマニュアルになくてもサービスとして実践していることが、違う店舗では全く行われていないなんて沢山あります。この状態に気が付く「きっかけ」が重要かと。

ところで動画コンテンツの共有で教育を効率化できる、というのは理想的なソリューションですが、実際に導入した企業のオンボーディングで発生する課題や状況はどのようなものでしょうか

佐藤:そうですね。まず、言わせてほしいのが人は原則鍛錬できない、ということです。「世の中は2対8」とはよくいったもので、100社超えたあたりで、冷静に自社顧客を見た時、伴走も不要、顧客自身の目的に即した指針方針で、見事にTANRENを使い倒していただけた会社は2割程度という印象でした。

残りの8割は目的が乖離していたり、アナログ鍛錬していないのにただ続けていれば「できるようになる」と盲信されてしまったり。正直、想像以上に教育課題は根深いのだと今なお、感じています。

サービス導入だけでなく、利用する側の姿勢も重要と。研修をする企業として、どのような視点が大切でしょうか

佐藤:やはり鍛錬をするために、このサービスを使い倒すためにも「目的をたて、目標を定め、繰り返しアウトプットを行うこと」が大事です。弊社も原則、伴走支援必須モデルとして事業を捉えるようになりました。

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属人的な人材教育への問題意識はどういった経緯で生まれたのでしょうか

佐藤:元々、私は携帯販売員の育成講師を20年ほど勤めておりました。携帯を購入されるショップにて「この店員さん、セールスが上手だな」と思わず光ファイバーもセットで契約してしまった、といった経験はありませんか?そういった、セールストークに限らず根本的なサービスの提供の仕方から全てを教育する、そんな担当をしていました。

ただ、活動を進めていく中で、育成講師のワークスタイルに対する課題意識が生まれ始めたんです。講師は全国の支社支店の会議室に赴き、会議室にて50名ほどを対象に集合研修を行うわけですが、個々に各々学びたい要素が違うはずなのに通り一辺倒な講習をして終わる。

まさに公教育の現場における、教室での講義で受講生の個性や特性を殺してしまう課題と同一の問題があると感じたんです。

その課題感から、業界に対してデジタルを通したソリューションを考えた

佐藤:もちろん、講師が旧態依然なのは業務効率と教師側のリソース不足が関係するので、個別学習がやりたくとも実施できない実態があるわけです。そこでデジタルツール、クラウドを用いて何とか解決できないかと考えました。

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この分野ではEラーニングが先行していた印象があります

佐藤:確かに教育をデジタルにするだけであれば、Eラーニングで十分だと思います。しかし、それではインプットを磨くだけであり、営業や販売のフィールドではアウトプット(知識をどう生かすか)が重要となるため、非効率になってしまいます。

インプットで終わっては研修にならない

佐藤:そうですね。他社事例ではデジタル化させたうえでもマニュアル主導型(インプット重視)が多いと理解しています。社員向けというより非正社員向けが多いのかもしれません。ただ私たちは、その分野はAIやロボットが広がっていく領域とみてるので、より高単価でかつ高スキルをもとめられる、正社員の領域に特化してることで差別化しています。

今まで「アウトプット」主体の人材教育は存在しなかったのでしょうか

佐藤:動画を投稿するという行為自体はYouTubeにアップロードしたり、イントラのストレージに格納したりと存在はしていました。ただ、売りたい商材や強化したい接遇技などに紐づいていないので、スキル定着できたとしても育成データとしてプラットフォームに貯めるという視点はなかったのではないでしょうか。

具体的に効率化された例など教えていただけますか

佐藤:まず現在の状況からお伝えすると、おおよそ100社ほどのお客様にシステムや、研修パッケージをご利用いただいております。つい最近のケーススタディでは、生産性8年で1.8倍、退職者数は3年で58%減と言及いただける事例も生まれています。

ありがとうございました。(取材・編集:増渕大志

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少子高齢化時代をロボティクスで救え!ドローンで社会課題に挑戦ーービジネス効率化の旗手たち/センシンロボティクス代表取締役・間下直晃氏 #ms4su

本稿は日本マイクロソフトが運営するスタートアップインキュベーションプログラム「Microsoft for Startups」による寄稿転載。同プログラムでは参加を希望するスタートアップを随時募集している 前回からの続き。本稿では、エンタープライズSaaSやインダストリークラウドに注目したサービスを展開するスタートアップにインタビューし、どのような生産性向上の取り組みがあるのか、その課題も含めてお伝…

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本稿は日本マイクロソフトが運営するスタートアップインキュベーションプログラム「Microsoft for Startups」による寄稿転載。同プログラムでは参加を希望するスタートアップを随時募集している

前回からの続き。本稿では、エンタープライズSaaSやインダストリークラウドに注目したサービスを展開するスタートアップにインタビューし、どのような生産性向上の取り組みがあるのか、その課題も含めてお伝えしています。

DaaS型ドローンソリューションによる業務の完全自動化を目指すセンシンロボティクス代表取締役CEOの間下直晃氏です(太字の質問は全て筆者。回答は間下氏)。(取材・編集:増渕大志

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センシンロボティクスが解決していること:「ロボティクスの力で、社会の「当たり前」を進化させていく」をミッションに、労働人口が減少する中、災害などの社会課題をロボティクスを通じて解決することを掲げる。最初に手がけるのはドローンによるソリューションで、業務自動化を推進する統合プラットフォーム「SENSYN FLIGHT CORE」を核に、用途別のソリューションをDaaS(Drone as a Service)として提供している

こちらの連載ではテクノロジーで社会の課題を効率化するソリューション・スタートアップをご紹介しています。センシンロボティクスさんはドローンを活用した点検や災害などの社会課題に取り組まれてます。そもそも依頼されるユーザーの方々の課題感やペインはどのあたりにありそうでしょうか

間下:やはり、実際の業務に適用する際の「ドローンの操縦や撮影された映像の確認作業を行うためのオペレータ(人力)の不足」や「その育成・確保にかかる工数」が挙げられると思います。

ドローンは無人というだけで、実際には操縦する人や得られた調査結果の解析など、付帯する業務が多岐に渡るのでここの効率化が必要と

間下:そうですね。私たちはこういったドローン活用業務の完全自動化を推進し、実現するべくサービスのテスト運用に基づく改良を続けています。

ドローンによる業務自動化をパッケージングされているということですが、具体的にどのような仕組みでしょうか

間下:サービスの中心には「SENSYN FLIGHT CORE」という、ドローンを用いた顧客業務の自動化を推進する統合プラットフォームがあります。それに加えて先進的な技術コンポーネントを組み合わせ、用途別にパッケージ化した業務自動化ソリューションを初期費用+月額利用料のDaaS(Drone as a Service)型で提供しています。

パッケージには具体的にどのようなものがあるんですか?

間下:例えば鉄塔の点検にドローンが使える「TOWER CHECK」というコンポーネントは撮影から解析・レポート出力まで自動化してくれるものです。

同様に太陽光発電施設点検パッケージの「SOLAR CHECK」、ドローンで撮影している映像を、遠隔かつ複数拠点でリアルタイム共有・コミュニケーションが図れる「SENSYN DC」、ドローンの自動離着陸・自動充電機器を備えた完全自動運用型ドローンシステム「SENSYN DRONE HUB」などを提供しています。

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導入やPoC(実証実験)などの件数はどのぐらい積み上がりましたか

間下:これまでに120以上の企業や自治体と当社ソリューションを活用した実証実験を実施してきました。なお、現在政府では2022年度を目処にドローンの有人地帯での目視外飛行を可能とすることを目指すと発表しています。法律が変われば、当社が目指す「DaaS型ドローンソリューションによる業務の完全自動化」の実現により近づけると考えています。

なるほど、規制などの整備が進めばさらに利用する人は増えそうということですね。具体的に事業を進めてみて、どの分野の効率化に手応えを感じていますか

間下:現在サービスを提供している「点検・警備監視・災害対策」の3領域には注力しています。特に日本は戦後の高度成長期で急速にインフラを構築したため、それらの老朽化がここに来て課題として顕在化しつつあるんです。また、それらをメンテナンスする人員の人手不足が同時に発生しているという特異な環境です。

さらに少子化は進むのでさらに課題は深くなる

間下:はい。今後少子高齢化による労働人口の減少はさらに加速しますから、業務の自動化・汎用化のニーズはますます進んていくと考えております。現在サービス提供をしている領域に加え、今後、社会課題に対してニーズがある分野にも事業を拡げていきたいと考えています。

企業や自治体などの反応や課題は

間下:産業用ドローンの利用を考える企業は多いですが、実際に業務プロセスまで落とし込んで活用できているケースは現状まだ少数です。機体を購入したものの、操縦技術の習得や飛行時の許認可申請、保険、安全対策、故障時のサポートやメンテナンスなど、実際の運用を行うまでに企業の担当者が考慮すべき事項は多岐に渡ります。

便利な反面、安全性や規制面含めて非常に複雑なビジネス構造になっていますね

間下:その上まだ新しい技術だけに情報も少ないんです。当社の提供するサービスは、ドローンというハードウェアとその運用を効率化・自動化するソフトウェアを組み合わせたDaaS型ソリューションですが、たとえ良いものを作っても上記ハードルからお客様に十分ご活用いただけないケースもありました。

オンボーディングのハードルはどのようにしてクリアされたのでしょうか

間下:現在はカスタマーサクセスを重視し、現場の課題抽出から業務プロセスへの実装まで伴走する体制を整えています。その結果、顧客からのフィードバックをよりダイレクトにサービス開発へ反映できる良いスパイラルも生まれていますよ。

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インプレス綜合研究所発表:ドローンビジネス調査報告書プレスリリースより

少し話を変えて市場規模について教えてください。ドローンによる業務効率化で恩恵が受けられる範囲は災害や建設など経済インパクトでも大規模なものが多そうです。どのような視点をお持ちでしょうか

間下:ドローンの国内市場規模については、2024年に2018年の5倍以上、5000億円以上にまで拡大すると試算するレポートも出ています。中でも私たちが事業を行うサービス領域は最も成長率が高く、2018年の10倍近くにまで拡大することが見込まれています。

この中で「ドローンによる業務の完全自動化」による社会課題の本質的な解決を目指し、市場の成長を牽引していきたいと考えています。

最後に、開発についての課題も教えてください。ハードウェアも含め、非常に複雑なテクノロジーかと思います。どのあたりに苦労するポイントがあるでしょうか

間下:基本的に私たちはソフトウェアをメインに開発していますが、お客様にはドローンを含めたパッケージをDaaS型で提供しています。そのためドローンの自動飛行設定から実機の飛行、撮影データのアップロード、ソフトウェア操作までの一連の作業を自動化するUX設計が重要になります。

プラットフォームでありながら、各社への個別最適化が非常に強そうな開発現場ですね

間下:はい。業務の種類によって必要な機能やインタフェースなどが異なるわけです。それらを実際のお客様からヒアリングを行いながら開発する必要があるんです。また、ソフトウェアのデバッグではドローンのテスト飛行が必要ですが、スタッフ間のドローン操作の技術にばらつきがあったことも課題でした。

デバッグで野外に出る必要がある時点でかなり特殊

間下:そうなんです。現在は新入社員にはドローン研修を実施し、全員がドローンを飛ばせるように教育しています。実際に都内に飛行が出来る場所が限られるので、それらを確保したり国外での技術開発なども合わせて実施しています。

ならではのお話ありがとうございました。では次の方にバトンをお渡ししてきます。(取材・編集:増渕大志

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「大手企業の意思決定が遅い」は過去の話ーーオープンイノベーションの法則/テクノブレイブ代表取締役 川田定生氏

本稿はオープンイノベーション・プラットフォーム「eiicon」編集部による寄稿転載。6月4日から2日間、都内にてオープンイノベーションをテーマにしたカンファレンス「Japan Open Innovation Fes 2019」を開催予定 企業間による新規事業創出の取り組みを、スタートアップの視点で取り上げる「オープンイノベーションの法則」。 eiiconでは6月4日に開催するカンファレンス「Jap…

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本稿はオープンイノベーション・プラットフォーム「eiicon」編集部による寄稿転載。6月4日から2日間、都内にてオープンイノベーションをテーマにしたカンファレンス「Japan Open Innovation Fes 2019」を開催予定

企業間による新規事業創出の取り組みを、スタートアップの視点で取り上げる「オープンイノベーションの法則」。

eiiconでは6月4日に開催するカンファレンス「Japan Open Innovation Fes 2019」を前に、現在取り組みを進めているスタートアップにオープンイノベーションの現場を聞くインタビューを実施しています。新規事業の窓口探しから意思決定フローの確認、カルチャーギャップの考え方など、次にこの取り組みを考える大企業、スタートアップ双方のお役に立てれば幸いです。

AI(人工知能)を通じて世の中にユースケースを提案するAIQ代表取締役の高松 睦氏に続くのはシステムインテグレーターとして幅広い取り組みを提供するテクノブレイブ代表取締役、川田定生氏です(太字の質問は全て編集部。回答は川田氏)。

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CETECH JAPAN掲載の取り組み記事

テクノブレイブのオープンイノベーション取り組み実績:湘南工科大学との取り組みでは、総合デザイン学科で歴史的建造物を研究する松村耕助教授と松村研究室の学生達、三渓園、テクノブレイブのコラボにより、神奈川にある三渓園のVR化を実現。建築デザインにおける空間認識を学ぶ教育ツールを作成した。従来の教科書や文献等の書籍、図面、ミニチュア模型などの2次元図面から3次元の建築物を想像すると個人差が生じるため、原寸大で体験可能となるVRを用いた。

オープンイノベーションの取り組みについて各社にお聞きしています。システムインテグレーターというポジションからどういうきっかけで新規事業の話題に繋げているのでしょうか

川田:先の湘南工科大学に限らず、大学や企業の方々と当社の間では本音で話しあえる関係であることが発端になっているかと思います。やり取りしている部門の方と、腹を割った本音コミュニケーション、つまり双方の課題や、弱み(もちろん強みも)などをさらけ出すことで信頼関係からオープンイノベーションの実務担当の方に繋いで頂いたケースが多いですね。

他社との新規事業連携を進める上で留意しているポイントは

川田:シンプルではあるのですが、やはり自社にないリソース、アイデア、技術、を連携する相手が持っていて、それに自分たちのものを掛け算してサービス化することが大切と考えています。超高速スピードで市場に入っていかないといけない状況の中で、全て自前で生み出すにはかなりの時間や費用を要してしまいます。

時間を買う、という考え方ですね

川田:はい、それを軽減するために相互に補完関係になれる相手と手を携えていけば、双方にとってメリットが生まれますし、市場に対してもメリットを提供できると考えています。

どうでしょう、スピードを買うという考え方の一方、大手企業であれば意思決定フローに時間がかかることもあるのでは

川田:最近では「過去のあるある話」になっている気がしますよ。確かに連携をする相手が大企業だとスピード感が、というイメージは強いかもしれませんが、オープンイノベーションを取り入れる企業が規模の大小を問わず、加速度的に増加しているのは実感としてあります。

最初のステップでどういうことに注意されていますか

川田:そのような状況ですから、相手方の企業カルチャーを強く感じることは実はあまりありません。どのようなサービスを実現したいのか、製品化したいのか、というところで両社に差があるのは当然ですので、最初の打合せには2時間でも3時間でも時間を費やして相手を知る、お互いを知り合う、ということは実践しています。

その後、事業を進める上で設定している実証実験やKPIなどの設計はどのような考え方、ルールを設けていらっしゃいますか

川田:ざっくりまずやってみよう!やってみないと分からない、という考えです。スケジュールやKPIについても、なんとなく計画を立てますが、それらにとらわれずに進めています。

ガチガチには決めない

川田:そうですね。とりあえず動くレベルにできた時点で顧客に実際に使って頂く。その反応を見て、必要であれば軌道修正をして再び顧客に使って頂く、ということを繰り返し本サービスに仕上げていく、という流れです。市場にできるだけ早期に投入して反応を見て動く、これが何より大事ではないでしょうか。

ありがとうございました

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