これからはブランドのスペックよりも「意味」が語られるーーPRの在り方について、変わったもの・変わらないもの/ヤッホーブルーイング原謙太郎さん

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本稿はPR・コミュニケーション領域の最新動向が学べるコミュニティイベント「PR TIMESカレッジ」編集部による寄稿。リレーインタビューに参加してくれたヤッホーブルーイング、原 謙太郎(はら けんたろう)さんは、6月4日に六本木アカデミーヒルズにて開催されるイベントにも登壇予定

PR TIMESでは四半期に一度のペースで、広報担当者を支援するPRの学びの場「PR TIMESカレッジ」を開催しております。第5回目となる今回は、「熱狂的なファンを生み出すパブリックリレーションズ」をテーマに3名のスピーカーが登壇。その後、参加者自身が学びを深め、今後の広報・PR活動を充実させていくためのワークショップも予定されています。

今回のリレーインタビューでは「これからのパブリック・リレーションズ」というテーマで、ゲストスピーカーの皆さんが注目するPR動向について伺いました。パブリック・リレーションズの概念は日夜広がりを見せ、姿勢や心構え、その上で設計される活動、そしてチーム・体制づくりに至るまで、様々な側面でアップデートが求められているように感じます。

本稿は、PRの在り方に関して「変わったもの」と「変わらないもの」、その理由などをお聞きいたします。初回はヤッホーブルーイングでよなよなエール広め隊(広報) ユニットディレクターの原 謙太郎さんです(太字の質問は全て筆者。回答は原さん)。

今回のリレーインタビューでは、PR TIMESカレッジのゲストスピーカーの皆さんに、PR動向の変化についてお聞きしています。ヤッホーブルーイングさんは広報チームのことを「よなよなエール広め隊」と読んでいるんですね。

原:そうですね。この名前には、ヤッホーブルーイングのミッション「ビールに味を!人生に幸せを」を広報チームとして実現する、という想いが込められています。「よなよなエール」を日本のクラフトビールを代表する存在として広めていきたい。それをそのままチーム名にしています(笑)。

そんな原さんが、PRの在り方について「変わった」と感じるのは、どういったものでしょうか?

原:ブランドが持つスペックや提供する価値(メリット)以上に、ブランドが持つ「意味」がより重視されてきていると感じます。企業ブランドで言えば、存在意義・理念・カルチャー・スタッフで、製品ブランドで言えば、信念・コンセプト・体験などです。

その変化は、ビール業界において、どのような場面で感じるのでしょうか?

原:自社ブランド、当社で言えば『よなよなエール』や『水曜日のネコ』が語られるパブリシティの文脈ですね。5年程前であれば、露出切り口の多くは「クラフトビールブーム」や「個性的な味やデザインのクラフトビール」でした。

もちろん、これらの切り口は今も残っています。ですが、それ以上にヤッホーのミッション「クラフトビールで日本のビール文化を変える」や、組織が大事にしている価値観「フラット/チームビルディング」など、カルチャーにフォーカスされる文脈が増えてきました。「ファンマーケティング」や「ビールを楽しむ文化」といったキーワードの割合も目立ちますね。

 

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ヤッホーブルーイングウェブサイトより

<参考>カルチャー文脈のパブリシティ

ブランドが育まれている土壌や環境、つまり「人」に焦点を向けつつある潮流と言えるかもしれません。

原:社長の井手をはじめ、スタッフが登壇する際の講演テーマも同じ傾向です。これに伴い、広報活動におけるKPIについても、従来の「件数」ベースから、「露出量」と「飲用意向度」の掛け合わせによる効果測定を導入しています。

一方、「変わらないもの」についてはどのようにお考えですか?

原:製品ブランドPRにおける効果という点では、マスメディアや影響力のある方の発信は、依然強力だと感じます。これはクラフトビールというプロダクトとの相性もあるかもしれません。

それは何故でしょう?

原:興味を喚起するからでしょうか。重要なのは、誰から発信された情報であるかです。消費財かつ嗜好品というカテゴリでは、この点が製品の飲用意向度に大きな影響を与えます。

例えば、テレビで著名人がよなよなエールを飲んで「美味い!」と言ってくれる。アニメの中で登場人物が「よなよなエール」を美味しそうに飲む。単純ですけど、これらに勝るPRはありません。こんなにうまい露出は滅多にないんですけどね…(笑)。ネイティブアドやペイドパブは、生活者に見抜かれるので私たちは実施しませんね。

メディア総接触時間の比率は、インターネットメディアの割合(パソコン、タブレット端末、携帯電話/スマートフォンの合計)が年々拡大していますが、メディア単体では依然テレビがトップ。自社ブランドに対する反響を冷静に分析しながら、動向の変化を感じ取ることが重要と言えます。

ということで、トップバッターの原さん、ありがとうございました!バトンを次に回します。

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