INNOVATION LEAGUE は、スタートアップや民間企業が持つテクノロジーとスポーツ協会・団体が持つ課題やアセットを掛け合わせることでアイデアを創出し、スポーツビジネスの拡張を目指すプログラム。スポーツ庁は、同庁が2018年12月に立ち上げた「スポーツオープンイノベーションプラットフォーム(SOIP)」の一環として開催する。
INNOVATION LEAGUE は、従来の SPORTS TECH TOKYO のアクセラレーションプログラムと異なり、参加者はスタートアップから上場企業まで事業ステージは問われない。実証連携を行う団体(コラボレーションパートナー)として、日本バレーボール協会と3人制バスケットボールリーグの 3×3. EXE PREMIER が迎えられ、それぞれ、協業テーマが設定されている。アスリートらを代表する団体と直接の協業機会が提供される例は珍しい。
日本バレーボール協会との協業テーマ
オンラインを活用した新しい観戦体験
デジタルを活用したライトファン層の取り込み
ファンコミュニティー構築によるエンゲージメントの向上
3×3. EXE PREMIERとの協業テーマ
テクノロジーを活用した効率的なリーグ・チーム運営
オンライン観戦を前提にした観戦体験のエンタメ化
プレイヤー個々人のエンパワーメント
プログラムの運用にあたっては、アクセラレーションプログラム「ENTX」でも電通と協業関係にあるソニー・ミュージックエンタテインメントが INNOVATION LEAGUE に協賛、サポーター12社とメンター16人が協力する。
左から:Michael Proman 氏(Scrum Ventures マネージングディレクター)、宮田拓弥氏(Scrum Ventures ベンチャーパートナー)、中嶋文彦氏(電通 CDC Future Business Tech Team 部長、SPORTS TECH TOKYO プログラムオーナー)
事務局発表による、SPORTS TECH TOKYO プログラムへ参加したスタートアップの数は次の通り。
SPORTS TECH TOKYO に応募があったスタートアップ ……………33ヶ国 284社
パーティシパント(一次選考を通過したスタートアップ)…………23ヶ国 159社
今回開催されたワールドデモデイに参加したスタートアップ………25社
ファイナリストに選ばれたスタートアップ……………………………12社
SPORTS TECH TOKYO に参加したメンターの皆さん(一部)
SPORTS TECH TOKYO には、日米の大企業のオープンイノベーション担当者、エグゼクティブ、VC やアクセラレータのパートナーなどから100人以上がメンターとして参画。パーティシパントのスタートアップにはテーマにあったメンターがアサインされ、キックオフから3ヶ月のプログラム期間を経て、評価の高かったスタートアップ13社がファイナリストに選ばれた。
女性アスリート専用の AI コーチ。栄養面、怪我予防など、女性の身体に合ったアドバイスを提供。女性は、初潮、月経、妊娠、閉経など、性特有の身体の変化を伴うため、女性に特化して最適な対策をアドバイスできるサービスを提供。ウエアラブルデバイスによる自動取得や、本人申告による手動取得でデータを集積し、パーソナライズされた運動プランを提示する。
画像認識技術により、スポーツや e スポーツの試合の動画に自動でタグ付け、ハイライト動画を生成するソリューション。REELY のユーザは試合終了後、ウェブプラットフォーム「RocketReel」を通じて、ライブストリーミングや録画されたビデオファイルを元に、チーム毎、選手毎のハイライト動画を編集し公開することができる。一般視聴者の他、スポーツチームのスカウトハンターなどにも利用が見込まれる。現在、200万米ドルを調達中。
ファン参加型 AI プラットフォームを開発。試合の様子が再生されている画面からタッチ操作で選手を選ぶと、その選手のプロフィール、過去試合実績、トレーニングの様子、シェア可能な写真が表示されるほか、さらに、チームや選手をフィーチャーした 商品のマーチャンダイズのページにジャンプすることも可能。スポーツ消費やマーチャンダイズ、ファンとのタッチポイントの多様化により、スポーツビジネスのマネタイズを支援する。
アメリカからは、今回 SPORTS TECH TOKYO に協力した100名超のメンターのうち、アメフトチーム San Francisco 49ers のチーフインベストメントオフィサー、プロレス興行会社 WWE の投資担当責任者、Nike のグローバル産業アライアンス担当シニアディレクター、スポーツ専門テレビチャンネル Pac12 Networks のエグゼクティブ・バイスプレジデントらがパネルセッションに登壇した。
今回のワールドデモデイは、今年1月に始まった SPORTS TECH TOKYO 第1期の折り返し地点と位置付けられ、残る半年は「活性化ラウンド」として、SPORTS TECH TOKYO は参加したスタートアップのビジネスとしての定着にまで一定のコミットをする。このプロセスにおいては、日米双方から参加したパートナーやメンターらが協力する。既に発表された協業に加え、今後発表される新たなニュースにも注目したい。
なお、ワールドデモデイの会場では、電通と Scrum Ventures から、SPORTS TECH TOKYO が今回にとどまらず、来期以降も開催する計画であることが明らかにされた。第1期がまだ進行中の段階ではあるものの、その結果を受けて、第2期はさらに規模を拡大したいとしている。
BASE-Q 近くの帝国ホテルに会場を移し、スタートアップによるピッチセッションが行われた。 Image credit: Sports Tech Tokyo
昨年の SPORTS TECH TOKYO の説明会の記事にも書いたが、このアクセラレーションプログラムの第1バッチの運用期間は、2019年1月から概ね1年間。一般的なアクセラレーションプログラムよりも期間が長く設定されているが、前半6ヶ月の「事業開発ラウンド」に加え、後半6ヶ月の「活性化ラウンド」が備わっていることが最大の特徴だ。サービスや事業の開発にとどまらず、実際に参加したスタートアップのビジネスとしての定着にまで一定のコミットをする。
今後、パーティシパント159社の中から、今日実施されたピッチ内容などを参考にファイナリスト10〜20社が採択され、日本およびサンフランシスコでメンタリングを実施される。メンターには、米バスケットボールチームのテクノロジーリードを務める Daniel Brusilovsky 氏、Comcast Ventures の投資家 Kai Bond 氏、Product Hunt の創業者で Weekend Fund の投資家である Ryan Hoover 氏など有名人約80名が名を連ねる。プログラム前半終了後のデモデイは、今年8月20日にサンフランシスコジャイアンツの本拠地である Oracle Park で開催される予定だ。
4月以降、ファイナリスト10〜20社を採択し、日本およびサンフランシスコでメンタリングを実施する予定だ。メンターには、米バスケットボールチームのテクノロジーリードを務める Daniel Brusilovsky 氏、Comcast Ventures の投資家 Kai Bond 氏、Product Hunt の創業者で Weekend Fund の投資家である Ryan Hoover 氏など有名人約100名が名を連ねる。