メタップスとスペースシフト、超小型衛星を活用した地球規模のビッグデータ解析ビジネスに共同で着手

Takeshi Hirano by Takeshi Hirano on 2014.10.30

人工知能によるアプリ収益化支援を提供するメタップスは10月30日、スペースシフトと協力して超小型人工衛星を使ったビッグデータ解析システムの共同研究を開始すると発表した。

スペースシフト社は超小型衛星を活用した宇宙ビジネス開発に携わっており、代表取締役の金本成生氏は以前本誌でも取り扱ったシリコンバレー発の宇宙葬スタートアップ「Elysium Space」で、日本のビジネス開発を担当している人物でもある。

両社は今後、共同研究を通じて得られた成果を生活支援サービスなどへ活用することを期待しているとしている。

さて、このニュース、パッと読んで理解できる方はかなり先を突き進んでる方かもしれない。ビッグデータ関連の話題として身近な話題といえば、GoogleがスマートサーモスタットのNestを買収、家庭の温度変化もデータとして取得される未来が近くなってきた、ということぐらいだろうか。私は正直追いついていない。

小型衛星については今年6月、Googleがハイレゾの衛星写真を生成するSkyboxを買収したことが話題になっていたが、これも一般ユーザーレベルでの話では、まだ綺麗な衛星写真が見られるようになった、というぐらいだ。

Skybox_Imaging_-_Welcome

Googleが今年買収したハイレゾ衛星写真のSkybox

小型衛星については以前とある投資家と話した際、かなり小型、簡素化が進んでスタートアップでも開発が可能になり、注目しているという話を聞いたことがある。今回、メタップスとタッグを組むスペースシフトが国内展開を支援する宇宙葬サービスもやはりこの超小型衛星(100kg以下の人工衛星)を活用したものだった。

何が起こるのだろうか?

例えばGoogleが買収したNestの例では、室温変動データから燃料需要の予測ができるようになれば、エネルギー関連のビジネスに転用ができる、という話を聞いたことがある。テスラやGoogleが推進する自動運転車などもやはり移動に関するビッグデータをもたらすことにつながる。これを解析すれば、渋滞予測や消耗品提供などのサービスも想像ができる。

小型衛星はそのもっと大きな範囲の変動データを取得するもの、と考えればいいのかもしれない。ただ、具体的に私たちの生活をどのように変化させるのか、という点についてはなかなか想像がつきづらいのが本音だ。

ここから先は完全に想像の世界になるので、メタップス代表取締役の佐藤航陽氏により具体的な話を聞いてみた。彼らは何を見ているのか。(太字の質問は全て筆者。回答は全て佐藤氏)

メタップス社がこれまでのアプリ収益化などの事業を通じてビッグデータ解析に精通していることはわかるのですが、なぜこの分野に着目されたのでしょうか。

佐藤:以前にアプリストアの調査・分析をおこなうサービスを買収して、世界中のアプリストアのランキングがどのように動いているかを分析していて興味深いことに気付きました。ひとつは、市場には規則性やパターンが必ず潜んでいること。もうひとつは世の中の様々な出来事は相関があり、互いに影響をしあっていること。(例えば、売上ランキングと企業の株価上昇は相関があったり、テレビCMとランキング上昇も連動していたりなど)。そしてこの一つ目と二つ目が把握できると、ある程度は未来が予測可能なものになってくることも分かってきました。

なるほど。

佐藤:こういったことはアプリだけではなく、世の中のあらゆる事にも共通しているのではないかと考えていました。なかでも、宇宙産業はこれまでITの活用が進んでいなかった領域であり、物理的にカバーする範囲は全産業の中で最も広いです。また、メタップス自体が「地球をひとつの市場と捉えてビジネスをする」という方針の企業なので、いずれは宇宙領域はやることになるだろうと考えていて、今回は自社のアセットがうまく噛み合ったのでここを入口にしていこうと思いました。

ゴールとなりうるイメージはありますか?

佐藤:究極的には「世界はどのように動いていて、どこまでが人間に予測可能であるのか?」という疑問に対する答えを探す目的があるので、需要につなげられそうであれば事業に活かしていくというスタンスです。

私も疎い分野ではあるのですが、衛星を活用した情報分析の世界はやはり軍事での活用がぼんやりと進んでいる印象だったのですが、それをメタップスのようなスタートアップが取り扱うことの意味というのはどういったところにあるでしょうか。

佐藤:リモートセンシングは、これまでは災害地域の対策や都市計画のために政府からの依頼が中心でした。ただ、弊社のような企業が関わることで、地表の変化と社会の変化の相関を分析することで新しい需要が作れるのではないかと思っています。

具体的には?

佐藤:例えば、海面温度や植生分布から各産業への需給がどう変動し、企業はどういった投資をする必要があるのか?など複数の分析軸を絡めた意思決定のサポートなど多岐にわたります。

なるほど。Googleが買収したNestはやはり設置家庭の室温変動から予測する資源エネルギーの需給可視化をビジネスチャンスと捉えていると聞いています。

佐藤:またロボット産業などと同様に、宇宙産業も参入ハードルが高く、長期での投資が必要になるので民間での資金調達が難しいという課題が在ります。ITのように利益率が高くビジネスとして確立させやすい業界と連携することで、宇宙ベンチャーもより人材や資金を獲得しやすくなってくるだろうし、競争が盛んになれば市場も活性化し、色々なコストも下がって技術の進化も進むと思います。

ところで小型衛星ってどうやって調達されるんでしょうか?借りれるものなんですか?

佐藤:小型衛星はもちろん専門知識は必要ですが、購入することも組み立てる事も可能ですし、実際に民間企業が適切な手続きを取って打ち上げることも可能です(ただそういった情報は一般的ではないのは確かです)。製造から打ち上げまでのコストも下がってきていて、現時点でも最小規模でやるのであれば、ゲームアプリの大型タイトルを1本作るよりも安いと思います。

ゲームより安いというのはわかりやすいですね(笑

佐藤:ただ「所有」にはこだわってはいないので、提携しているスペースシフト社など各社とパートナーシップを組みながら、自社の強みを活かしていければと思っています。

わかりました。興味深い分野ではあるので、また引き続きもう少し具体的な成果が現れた段階で取材させてください。ありがとうございました。

Takeshi Hirano

Takeshi Hirano

ブロガー。TechCrunch Japan、CNET JAPANなどでテクノロジー系スタートアップの取材を続け、2010年にスタートアップ・デイティング(現THE BRIDGE)を共同創業。1977年生。(株)THE BRIDGE代表取締役

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