旅するだけじゃ物足りないーー世界30ヶ国以上のスタートアップで短期仕事が見つかる「Jobbatical」

by Yukari Mitsuhashi Yukari Mitsuhashi on 2015.6.17

エストニアを拠点とする「Jobbatical」のチーム
エストニアを拠点とする「Jobbatical」のチーム

テクノロジーの進化によってあらゆる垣根が取り払われる今、IT業界における人材競争は増す一方です。場所、時間、雇用形態など、さまざまな側面で私たちの働き方は変わりつつあります。ファウンダーを含むメンバーが、その時々で世界中のあらゆる場所を拠点にして遠隔で仕事をする「Buffer」。こうした型破りな企業に優秀な人材が集まるのは、彼らが新時代の働き方を体現しているからに他なりません。

集まる仕事は、30ヶ国から200件以上

今回ご紹介するのは、2014年8月にベータ版としてリリースされた「Jobbatical(ジョバティカル)」です。世界中の才能ある人を、世界中のスタートアップと繋げることをミッションに掲げています。ここで言う「繋げる」というのは、最短1年間の短期移住をして現地のスタートアップで仕事をするというもの。

今いる場所から遠隔で仕事をするのではなく、現地に出向いてその企業の中で働くという新しい働き方を提案するJobbatical。最低でも1年間現地で暮らすことで、観光だけに留まらない体験をすることができると言います。現在、30ヶ国以上200件以上の仕事が掲載されています。また、登録している人材の数も5,000人を超えています。

国外のタレントを欲する企業にとって、Jobbaticalを使わない手はないかもしれません。現在、仕事の投稿などは、その写真からコピー作成まですべてJobbaticalが企画。例えば、マレーシアで働くことをどう伝えれば、国外の人材にとってその仕事がより魅力的に写るのかを考えて掲載しています。ベータ版として運営される現在は、この企画料も無料。将来的には課金することも検討しています。

シンガポール、ドイツ、エストニアなどが人気

シンガポールのアドテク企業がQAエンジニアを募集
シンガポールのアドテク企業がQAエンジニアを募集

Jobbatical上に掲載される職種で多いのは、ソフトウェアエンジニアが半数以上。その他にマーケティング・ビジネス開発・営業・UX/UIエンジニア、プロダクトマネージャーなどの職種も。行き先として人気なのは、シンガポール、ドイツ(ベルリン)、香港、エストニアなどです。

過去最も人気だったのは、ジャカルタのフード系スタートアップ「AbraResto」のコミュニティマネージャー募集案件と、アムステルダムの旅行系スタートアップ「Alien Adventure」のガイドを審査する仕事だとか。他にも、ベトナムでエンジニアになる、スロベニアの首都リュブリャナでマーケティングをする仕事など幅広い職種が登録されています。

今回、お話を伺ったのは、Jobbaticalでグローバルマーケティングを担当するIsabel Hiramaさん。彼女はバージニア出身のアメリカ人と日本人のハーフ。彼女自身も「マーケティングができるネイティブな英語スピーカー」というJobbaticalの募集要項を見つけたことをきっかけにエストニアに在住しています。

「短期間で仕事をしながらアドベンチャーに出るような感覚を魅力に感じたの。どの仕事もだいたい1年ほどの期間。移住してフルコミットするのはさすがにハードルが高いけれど、現地に1年もいれば、旅行者ではなく現地に住む人としての体験ができるでしょ」

エストニアの女性として資金調達を行った2人目のCEO

Jobbatical-CEO
CEOのKaroli Hindriksさん

Jobbaticalを創業したのは、エストニアの女性起業家として資金調達をした2人目だと言われるKaroli Hindriksさん。23歳でエストニアのMTVのCEOに就任し、その後もさまざまなメディアの立ち上げをするなど素晴らしい経歴の持ち主。

彼女がサービスの構想を得たのは、2014年3月に「sabbatical」(研究休暇を意味する言葉で、サービス名称のJobbaticalもこの言葉をもじったもの)を取得してマレーシアに出向いた時のこと。

ビーチでゆっくりするのも悪くないと考えていたものの、1週間もすると手持ち無沙汰に。旅をしながら短期間の仕事ができないかネットで検索しましたが、農家でボランティアといったものばかりでビジネススキルを活かすものが見つかりませんでした。その後、シリコンバレーに行く機会があった彼女は、現地のスタートアップに直談判して6ヶ月間の仕事を獲得。個々人が探すのではなく、そうしたマーケットプレイスがあるべきだと考えました。

「自分の国を1年間離れて、地球の反対側に行って仕事をする。そんな働き方ができるようになるべきだと考えたの。私たちの長期的なゴールは、「Jobbatical」という言葉が辞書に登録されること。それくらいに、人々にとって一般的な働き方にしていきたいわ」

起業家的素質がある人材が見つかる

Jobbatical

最近では、各国のスタートアップや企業だけでなく、NPOやソーシャルエンタープライズなどによる仕事も増えていると言います。また近い将来には、人材のキュレーションまですべてJobbatical側が行い、マッチングするような仕組みも提供する予定。

「世界中を飛び歩く人」を意味する「Global Trotter」。まさにそうしたGlobal TrotterをターゲットにするJobbaticalですが、Global Trotterには起業家的素質があるため、スタートアップなどで仕事をするのにとても相性がいいと話すIsabelさん。旅行好きな人には、新しいものへの好奇心が多かったり、変化を好む人が多い。慣れ親しんだ環境を変えて未知の世界に飛び込み、新たにスタートするという起業家精神を備えた人材が見つかると言います。

生活のあらゆる要素が電子化され、確定申告もものの5分で終わってしまうエストニア。このオンラインをうまく取り入れた生活にちなんで、「E-stonia(イーストニア)」などと呼ばれることも。そんなエストニア発のJobbaticalが、私たちの働き方をより一層変えてくれることに期待したいと思います。

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