ノルウェーのメディア大手NHSTのインキュベータVikingcubatorがピッチイベントを開催、起業家とメディアをつなぐSupernewsroomが優勝

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スタートアップ設立者とジャーナリスト、インフルエンサーをつなぎ合わせる一助になろうというマレーシアのスタートアップ、Supernewsroom は、昨夜(4月19日)の Vikingcubator のピッチコンテストで優勝した。

優勝の褒賞として、同チームは1万シンガポールドルの賞金と、スカンジナビアの代表的なビジネスメディア企業、NHST Media Group と緊密に協業する機会を得ることとなっている。

NHST Media Group のグローバルビジネス開発部長、Tore André Godager 氏はこう語る。

弊社は彼らをこれから受け入れますし、彼らに指導を施し、現金価格を提供すると言いました。彼らは、自社をスケールしてくれる企業と直接提携することができるようになります。もしも彼らにその気があるなら、弊社はオフィス空間も提供するつもりです。スタートアップを既存のレガシー企業のもとへ案内したいと思っています。そうすれば弊社は自力でではなく、協力して仕事をすることができます。

Supernewsroom は一体型プラットフォームを開発しており、これを用いて、一貫した計画というよりは当てずっぽうのダーツのような、多くのスタートアップのメディアアプローチをなくしていく一助になりたい考えだ。自分たちの業界で誰が重要なジャーナリストなのかを理解するのがスタートアップ設立者らにとっての難題で、このことは、実際にメディアから注目されるピッチを作る上で大いに重要となる。

同社製品は、ある個人の Klout スコア(影響の測定基準)、その人の書いた直近の記事、ソーシャルメディアへの投稿を利用して、Nifty の検索ツールを通して設立者らが適切な人々につながることができるようにしている。

別の2つのスタートアップは特別賞を得た。1つは、ゲーム用ブロックチェーンのスタートアップ Bountie で、ゲーマーが支払いを受けるのに役立つ面白いプラットフォームを構築している。もう1つのスタートアップは P2P 自動車売買プラットフォームの Driven で、彼らは非常に上手くスケールする能力を見せた。

あらゆるピッチコンテストに言えることだが、受賞したスタートアップは審査員たちの決定であって、また真に堅実な企業は優勝を勝ち取らないものだ。というわけで、ピッチに参加したスタートアップを以下で見ていこう。

1. Driven

Driven は自動車売買ができるアプリで、平均的な人々にとって自動車がより手に入りやすいものになるようにしたいと願う自動車コレクターの Durwin Ho 氏がデザインした。

このアプリでは自動車をリストに載せるのに30秒ほどしかかからず、P2P システムが活用されており、検索機能によって自分の希望に完璧にマッチした自動車を見つけることができる。

同アプリは広告から収益を得ている。ピッチ内容から判断して、Ho 氏がこのアプリを地域的に広めるつもりで、東南アジアの様々な市場に簡単に「ドラッグ&ドロップ」できるよう上手く作られていると考えていることは明らかだ。

このチームは現在、ユーザが自動車のナンバープレートを写真に撮ると、その車やモデル、同種の自動車の最新販売価格に注目している人の数についてのデータを受け取れるようなツールを開発している。

2. Team Pumpkin

Team Pumpkin はインドのバンガロールにあるテクノロジー重視の広告会社だ。テクノロジーの観点から、同チームは Sayahak という名の一体型のアドボカシー・ツールを開発している。このツールを活用して、最終的にはクライアントが自社のブランド製品をワンストップ・ショップで管理し、売り込むことができるようにする計画だ。

同社は今後5年間で2,500万米ドル相当の企業に成長することを目指して、100万米ドルの資金を調達できるよう現在努力している。

3. FindJobs

FindJobs はシンガポールの求職ポータルで、自社製品の英語および中国版も作り、それぞれが独自の特徴を持っている。

最もユニークな特徴の1つは、中国語で投稿する場合の「シャウト・アウト」機能だ。同チームは、仕事のリストを読むのにそれほど長時間を費やしたくないようなブルーカラーの労働者をターゲットにしている。

シャウト・アウト機能はボイスメールのような機能で、ユーザがリストの項目をクリックすると、詳細が特定の方言で求職者に読み上げられるというものだ。

4. Playground

Playground は、スポーツを他の人と一緒に楽しみたい人同士をつなぐアプリだ。チームが望むのは、テクノロジーを活用してオフラインで人々をつなぎ、外に出ることが好きな人やアクティブな人たちの集まりを容易にできるようにすることだ。

このアプリにはもちろん出会い系という要素もあるが、独身者を除外し、既婚者とのみ会うことを可能にするフィルター機能もついている。理論的には、これによって例えば純粋にテニスの試合を一緒にしたいという人だけがつながることも可能になる。

彼らはアプリがシンガポールで一般に受け入れられるように注力しているが、同国でブランドを確立した後は、国外にも進出する計画だ。

5. Bountie

Bountie はブロックチェーンを使って、ゲーマーたちが自らのスキルをマネタイズする助けとなっている。そのアイデアは、e スポーツでの支払いやインセンティブにソリューションを提供することだ。

賞金を与える企業の場合、賞金を受け取るのに数ヶ月もかかってしまい、また国境を越える送金にかかる手数料も高くなることがある。賞金の代わりにゲーム内でのグッズを買えるようにする企業もあるが、これではつまらなくなってしまうこともあろう。

Bountie は、トークンを使って、非常に簡単に現金に換えられる経済報酬を提供している。このテクノロジーにより、スケーリングも容易になる。なぜなら、分散型台帳により非常に高い認証性と透明性が促進されるからだ。

6. Popspoken

シンガポールカルチャー集団や LGBT コミュニティを対象とする Popspoken は、同地でここのところ活動しているデジタルメディア企業だ。ただし、同チームはすでに「行動を起こ」し、シンガポールでの成長戦略を追求する準備がある様子だ。

月8,000の閲覧ページビューがあり、1万2,333人の Facebook のフォロワーを持つ Popspoken は、ブリージャー業界に寄与するというアイデアをピッチした。ブリージャーとは、出張の機会の多い人が、1日2日滞在を延ばして、それを現地での仕事が終わった後の小休暇にすることをいう。

Popspoken は LGBT コミュニティで名を成している。シンガポールの LGBT 文化の中で毎日「起こっている出来事」をカバーする同国で数少ないプラットフォームの1つだからだ。

7. Superble

Superble は「商品用の Quora」になり、人々が速く、簡単にレビューやおすすめを見つけられるようにすることを目指している。同社は巨大なブログネットワークを構築している。そのため、商品に関するアドバイスやおすすめを探している人にとっては、Superble が行きつけのサイトとなるだろう。

同社はブログも持っているが、同社が本当に作りたいのは、Superble ユーザが簡単に商品(と写真)を投稿し、ユーザのコミュニティが、それがよい買い物だったかを議論するような場だ。

8. ByKido

ByKido は、家族をターゲットとした、イベントを見つけるためのプラットフォームだ。希望の開催地と日時に合う子ども向けのイベントを見つけるのが非常に難しいという点が、同社が解決したいとする課題だ。

家族に焦点を当てたアジアのメディアはアドバイスや記事にイベントが少し載っているものであることが多く、一方でイベントに焦点を当てたプラットフォームは都市全体、子どもも大人もひっくるめてターゲットにしている。

「この2日この子たちをどうやって楽しませてやろうか」と考えながら週末に入ることが親にはよくあるだろう。ByKido は、そうした問いへの答えが得られる場になりたいと考えている。

9. Zowedo

2018年6月にローンチ予定の Zowedo は、独立型のサービスプロバイダを予約するための一体型プラットフォームだ。例えば語学の教師、ヨガの講師、絵の先生を考えればよい。このプラットフォームは、何か1つの業界だけのためではない、あらゆる業界向けの予約システムを作り上げることにより、「独立型サービス」業界を「民主化」したいという。

サービスプロバイダ向けにはバックエンドのスケジュールツールが付いており、Zowedo プラットフォーム内で頭の中を整理し、予約を見渡すことができる。

同社は、プラットフォームを通じてなされた売り上げに対して10~15%の手数料を取って収入とする計画だ。

10. MagBe

従来の雑誌がオンラインで見られるようになってきたものの、アジアの消費者が本当に1つのプラットフォームで複数の出版社の雑誌の全ての号を見られるような方法はまだ存在していない。MagBe はまさにそうしたプラットフォームであり、SPH(MagBe と共に「My Reading Room」アプリをホワイトラベル化した)、The Economist、Wind&Dine、Singapore Business Review といった著名なブランドと取引している。

MagBe は、記事ごとに少額支払うシステムと有料の読み放題システムによって収益を得ている。

また、読者が最も関心あるニュースを受け取れるように、フィードのパーソナライズも可能。

11. Soqqle

このスタートアップは、教育タスクを行う意欲のあるユーザに対し、ブロックチェーントークンを与えることによって、e ラーニングをゲーム化している。ソーシャルメディアとしての側面を打ち出し、人々が集まり、より賢い人間になるよう互いに助け合う場としてトップになりたい考えだ。

同社製品は、6月にフリーミアムでサービスを開始し、ユーザ1人につき5シンガポールドルの価格で教育機関にもサービス提供する予定だ。

12. Tartl

Tartl は、コンテンツクリエーターが自分に合った仕事を見つけることができるインドのプラットフォームだ。ピッチで焦点を当てられていたのは、プラットフォームが多言語に対応していること、そしてオフラインのコミュニティイベントがあることだ。

同スタートアップはこれまでにシード資金を受け取っており、フリーミアムモデルで収益を生み出している。

目標は、コンテンツクリエーターが万能ポートフォリオを作る一助になり、働き手を探している人が Tartl に来て、最もマッチする人を探せるようにすることだ。

13. Tide Creatives

Tide Creatives はマレーシアにあるデジタルマーケティングエージェンシーだ。クライアント向けにブランディングとコンテンツ戦略に力を入れている。

ビジネス戦略や SEO 最適化サービスも提供している。

現在8人の従業員がいて、今回 Vikingcubator のピッチに参加したのは認知度を上げるためでもあった。

14. Supernewsroom

今回のイベントの優勝者 Supernewsroom は、スタートアップをメディアのプロフェッショナルと結ぶ一体型プラットフォームだ。同社はマレーシアの広告企業 Intelectasia Consultancy と提携している。

この記事の冒頭では触れなかったが、ジャーナリスト向けの「クイック・レスポンス・ツール」という素晴らしいツールがある。これは Gmail の自動送信に少し似た機能だが、よりメディア業界向けに作られている。これは、ジャーナリストが、日々受け取る大量の e メールを管理しつつ広報分野の人たちと連絡を取るために役立つ。

15. Storyhive

Storyhive は Hiverlab によって作られている VR・AR 製品だ。バーチャルリアリティ体験を人々がアップロードできる場になることが同社の望みだ。

同社はビジネス用ユースケースをターゲットとしており、クライアントに、体験の3D モデリングを作成してもらいつつ、企業にとって利用可能な VR 体験ストックの大きなライブラリを作りたい考えだ。

ベータ版は2018年4月にローンチされており、同社は企業研修用に役立つ製品になるだろうと考えている。

【via e27】 @E27co

【原文】

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