AIがん診断Lunitが69億円調達しIPOへ、女性起業家の活躍が増加傾向など——韓国スタートアップシーン週間振り返り(11月22日~11月26日)

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本稿は、韓国のスタートアップメディア「Startup Recipe(스타트업 레시피)」の発表する週刊ニュースを元に、韓国のスタートアップシーンの動向や資金調達のトレンドを振り返ります。

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11月22日~11月26日に公開された韓国スタートアップの調達のうち、調達金額を開示したのは11件で、資金総額は1,635億ウォン(約156億円)に達した。

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主なスタートアップ投資

  • 医療 AI スタートアップ Lunit(루닛)が国内外 VC から720億ウォン(約69億円)のプレ IPO 調達。調達した資金を、AI 製品の研究開発と世界市場開拓運営資金として使用する計画。プレ IPO 仕上げ後、今月中に KOSDAQ 予備審査を請求予定。関連記事
  • ブロックチェーン医療データを扱う Humanscape(휴먼스케이프)が Kakao(카카오)から150億ウォン(約14億円)を調達。希少難病の情報を提供するプラットフォーム運営し、医療データを提供してくれる患者にコイン報酬を提供。Kakao とグローバル市場をターゲットにしたヘルスケアサービスを共同開発する予定。
  • ハイテク素材スタートアップ TFJ Global(티에프제이글로벌)が125億ウォン(約12億円)を調達。フッ素を使わない、環境にやさしい撥水加工ナノ技術を活用し、ハイテク素材を開発。調達した資金で、難燃性の繊維専用工場増設を本格的に進め、世界進出を進める計画。
  • Wayhills Ventures(웨인힐스벤처스)が AI ベースの映像コンテンツ自動制作ソフトウェアで65億ウォン(約6.2億円)を調達。ブロックチェーン、NFT 技術の連携により、デジタルコンテンツの収益化・資産化機能でサービスを高度化し、世界進出を計画。
  • ショート SNS「CELEBe Korea(셀러비코리아)」運営が62億ウォン(約5.9億円)を調達。化粧品開発プラットフォームとデジタルトレンドを連携したビューティーソーシャルコマースで成長を目指す。
  • 健康ソリューションプラットフォーム「Adoc(착한의사=善良な医者)」を提供する Viva Innovation(비바이노베이션)が、シリーズ A ラウンドで60億ウォン(約5.7億円)を調達。病院、薬局、医師探しだけでなく、病院費比較、医療保険請求、総合検診の予約などがすべて可能。ユーザは70万人、中大型病院130カ所と契約。調達した資金で、ヘルスケアソリューションを高度化する計画。
  • BLQ(비엘큐)は、購入前体験で合理的な購入決定を支援する電子製品コマースモール「Test Valley(테스트밸리)」で60億ウォン(約5.7億円)を調達。

トレンド分析

韓国の女性スタートアップが増加傾向

最近、大規模な資金調達に成功する女性スタートアップが増え、市場で女性代表を以前よりは簡単に探すことができるようになった。代表的には「Market Kurly(마켓컬리)」運営会社の Kurly(컬리)がある。今年ユニコーンクラブ入りを果たしたKurly は、10月に上場のための主幹事証券会社を選定、来年に IPO を控えている。上場に成功すれば名実共に、韓国で最も成功した女性スタートアップになる見込みだ。今年、ファッション EC モール「Musinsa(무신사)」に3,000億ウォン(約291億円)で買収された「Styleshare(스타일쉐어)」も女性が設立し、成功裡にエクジットした事例として取り上げられている。

2020年の「Startup Recipe 投資レポート(스타트업레시피 투자 리포트)」によると、韓国の女性創業企業が資金調達した合計金額は、全調達額の8%程度にとどまることがわかった。性別は、スタートアップの資金調達や成功で、決定的な要因とはみられない。しかし、比率で見ると、まだ投資に成功した女性創業者が少なく、投資を執行する VC にも女性比率が低いのは事実だ。幸い、今年は昨年に比べて2倍以上活性化された投資エコシステムに支えられ、女性比率はやや上がると予想される。

今年1月から10月まで資金調達に成功した女性企業の数と金額を見ると、毎月の変動が大きい。ある月には多くの投資金が集まり、ある月には投資金がほとんどない(インフォグラフィック参照)。その理由は、大規模資金を調達した一部のスタートアップが、女性創業の企業の資金調達額に大きな影響を及ぼすからだ。1~10月に資金調達に成功したトップ15社を見れば、特定のいくつかのスタートアップが全体調達額の上昇を牽引している。しかし、全体的な傾向として、女性が調達した資金額が上昇していることがわかる。

良い点は、女性創業者が増えていること、そして女性スタートアップが属する分野もますます多様化しているということだ。過去には、美容、ファッション、児童など女性が強みが持つことができる分野に偏っていたが、現在はほぼすべての分野で女性創業者を探すことができ、技術ベースのスタートアップも大幅に増加した。また最近では、最初の会社を売却して、2番目の会社を設立した連続起業家の女性創業者も続々登場している。子供向けフィンテックプラットフォーム「Lemontree(레몬트리)」、クリエイタープラットフォーム「Bigc(빅크)」などがその例だ。これらは、製品リリース前のシード段階で大型投資を資金調達するなど、成果を出している。

業界では、女性創業者が比率が次第に増加しているということに肯定的な反応を見せながらも、依然としてその割合が低いと言われる。

人々はこう口を揃える。

男性と女性の起業家比率が50:50にならなければならないというわけではないが、男性中心の傾いた運動場が存在するのは事実なので、政府や支援機関、そしてスタートアップメンバーが一緒に性別に関係なく創業に挑戦する機会を作るのに力を入れなければならない。

VC も女性審査役の割合を増やすなど投資審査において女性の参加を増やしている。このような努力が実を結び、来年はより多くの女性創業者が出ると期待している。

【via StartupRecipe】 @startuprecipe2

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