電子トレカのventus、2.75億円を調達——スポーツ・エンタメ業界で、ファン開拓のデジタルツールとして成長

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Image credit: ventus

スポーツ・エンタメ事業者向けに、電子トレカを︎用いたファンシステム「ORICAL」︎を展開する ventus は20日、直近のラウンドで2.75億円を調達していたことを発表した。調達完了は今年9月前後。このラウンドに参加したのは、ANOBAKA、サムライインキュベート、ユナイテッド(東証:2497)、ソニー・ミュージックエンタテインメント、IMAGICA GROUP 系のオー・エル・エム・ベンチャーズ、VOYAGE VENTURES、SMBC ベンチャーキャピタル、みずほキャピタル、グロービスの G-STARTUPファンド(VOYAGE VENTURES は9月に発表済)。

同社は2017年11月、当時、20歳(東京大学2年次)だった梅澤優太氏が ventus を創業。これまでに ANOBAKA やサムライインキュベート、個人投資家の谷家衛氏と高野真氏、東大創業者の会応援ファンドなどから資金調達している。具体的な調達金額や調達時期については定かではないが、当時、東大創業者の会応援ファンドからの出資先としては1号案件だった。当初は、電子トレカ取引サービス「whooop!」を展開していたが、昨年6月に ORICAL を発表し、マイナーピボットした。

ORICAL は、トレーディングカードをデジタル形式で購入や交換(取引ではない)できるプラットフォームだ。紙形式のトレカと異なり、モーションをつけたり、音声を出したり、リアルタイム発行したり(例えば、あるチームが優勝した瞬間、あるアスリートが引退する瞬間などに、記念トレカを発行することができる)、デジタルならではの拡張性があるのが特徴だ。埼玉西武ライオンズ、日本相撲協会、千葉ロッテマリーンズと提携し公式トレカの発行を開始、来年にも数チーム以上と公式トレカの発行を開始することで合意しているそうだ。

スポーツチームにとっては、トレカをファンに販売することで、マーチャンダイズに代わる新たな売上を確保できるのに加え、ファンの可視化や個別化を図ることができる。コロナ禍のリアルイベントの減少などからファンクラブのメリットが減る中、トレカを起点に新たな魅力をファンに訴求することで、よりファンエンゲージメントを高めたいスポーツチームの狙いにも応えることができる。また、通常スポーツファンの男女比は男性の方が多いが、ORICAL のトレカでは女性の方が多くなっているのも興味深い現象だ。

ところで、Dappaer Labs が開発する「NBA Top Shot」や サッカー NFT(非代替トークン)「Sorare」の例に見られるように、スポーツチームのファンエンゲージメントは NFT と相性がいいように思う。梅澤氏に NFT を取り入れる可能性について聞いたところ、ORICAL はスポーツチームのコンテンツとの連携に重点を置いているため Web アプリで運用しており、現在のところは NFT にこだわらず、ファンを欲しているものを突き詰め、デジタルコンテンツの価値を最大化することに注力するとのことだった。

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