ライバープロダクション開始から4年半、PRIMEが博報堂DYベンチャーズから資金調達

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    PRIME のチーム。左から2人目が創業者で CEO の阿部伸弘氏。
    Image credit: Prime

読者の中には、プライムアゲインというスタートアップのことを覚えている人がいるかもいれない。自然消滅系動画共有アプリ「winker」や写真デコレーションアプリ「DecoAlbum」といった、それまでとは一味違った SNS(ソーシャルネットワーキング)サービスを提供していた。

実に6年半ぶりにこのスタートアップのことを書くが、社名を PRIME に改め、事業内容もライバープロダクションへとピボットしていた。ちなみに、スタートアップで人流があるのは日常茶飯事だが、以前 CFO や COO を務めていた小島舞子氏はプライムアゲインを離れ、2016年9月にチャットブックを設立している(設立当時の社名はヘクト)。

PRIME は8日、博報堂 DY ベンチャーズから資金調達したことを明らかにした。具体的な調達金額やラウンドステージは明らかにされていない。PRIME はプライムアゲイン時代の調達から合わせて複数回にわたり累積合計約5億円を調達したことを明らかにしており、2015年6月から2021年12月までに、今回の調達を含めて約4億円を調達したことになる。

PRIME がライバープロダクションにピボットしたのは2017年4月。創業者で CEO の阿部伸弘氏は一貫して SNS を愛し、それを事業にしてきたが、SNS のトレンドが動画やライバーにシフトしたため、現在の事業に注力することとなった。中国ではインターネットする人の7割程度、約5億人がライバーを見ているとされ、当時、遅かれ少なかれ、この流れは日本にやってくると踏んだという。

起業した2010年、スマートフォンシフトが起こった。そして2017年には、SNS のライバーへのシフトが起こると思って、事業をピボットした。ライバーのためのプラットフォームが増えていく中、ライバーを支援する仕組みが作れると考え、現在はライバーを支援する MCN(マルチキャストネットワーク)みたいなサービスに加え、Discord のようなライバーがファンをエンゲージできるアプリを開発している。(阿部氏)

阿部氏によれば、ライバーの成長を促す(視聴ファンを増やす)ためのアクションは、以前やっていたアプリのグロースに概念的に近いそうだ。新規のユーザを獲得する一方、既存ユーザをファンにしていく。このノウハウは、以前の SNS アプリの時代も、現在のライバープロダクションにおいても、考え方は同じだと話す。

YouTuber の事務所である MCN は、YouTuber が YouTube から得られる報酬の一部を MCN とシェアする形をとるため、芸能人などと同じく金銭的なメリット(報酬の取り分)と得られる支援体制を天秤にかけ、MCN を選んだり移籍したりする。対して、ライバープロダクションは、収入をライバープラットフォームから得るため、ライバーにはデメリットが生じにくいという。

これは基本的には広告収入モデルしか存在せずプラットフォーム同士の競争が起きづらい YouTube の世界と異なり、バーチャルアイテム(投げ銭)の販売で莫大な売上を稼ぎ出し、複数のプレーヤーがしのぎを削り合うライバープラットフォーム業界ならではの事情と言っていいだろう。プラットフォーマーは優秀なライバー獲得に向け、PRIME のようなプロダクションに報奨金を出すからだ。

メタバースの世界では、「Axie Infinity」を始めとする NFT ゲームが Play-to-Earn(遊んで稼ぐ)のモデルを持ち込み、物価や生活コストの高くない発展途上国では、ゲームを楽しんだ結果として、家を建てたり、借金を返せたりする事例が出ていることをお伝えした。NFT ゲームと対照的に、ライバーは「3D リアルにおける Play-to-Earn」だと阿部氏は語る。

ライバーはもはや職業。ライバープラットフォームで1日3時間配信すれば、やる気さえある人なら、月に15〜20万円は稼げてしまう。Instagram みたいに、互いに映えを競う競争とかもない。PRIME の場合は、ライバーは30代前後の女性が多く、リスナー(ライバーの配信を見るユーザを PRIME ではこう呼んでいる)は40〜60代の男性のサラリーマンが多いという感じだ。(阿部氏)

ライバープロダクションの仕事は、素質のあるライバー候補を見つけ出し、彼らにより魅力的なコンテンツ作りとファンをエンゲージするためのノウハウを教育することだ。PRIME は現在15名ほどの社員と、カスタマーサクセス・カスタマーサポートや業務委託を含め合計60名ほどの組織体制だが、同社では今回調達した資金を使って、事業拡大の加速のため人材採用と組織拡大に注力する。将来的には、ライバー養成のシステム化を図りたいとしている。

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