米国証券取引委員会(SEC)の公開情報によるとアリババグループのペイメント事業は再編成され、現在では同グループ代表のジャック・マー氏がほぼ全てを所有する会社の支配下となっているようだ。米ヤフーによると今回の会社移行はアリペイの許認可を得るためで、急ぐ必要があったという。
去年、中国政府はオンラインペイメント事業の規制に正式に乗り出した。去年の12月に中国中央銀行と中国人民銀行は第三機関の支払い認可の詳細を発表している。
その発表に従い、オンラインペイメント事業会社の第1グループは認可を申請し始めている。中にはアリババのアリペイ(支付宝)、テンセントのテンペイ(財付通)、政府後援のチャイナユニオンペイ(銀聯)などが含まれる。
中国国内でペイメント事業を運営するために必要な中国人民銀行の認可をよりスピーディーに得るため、アリペイは国内企業として再編させる必要があったのだ。そしてその企業というのがジャック・マー氏の個人企業だった、というわけだ。
このニュースは米ヤフー株が7.3%落ち込む原因となった。というのは、米ヤフーはアリババグループの40%の株を所有しているからだ。アリペイがジャック・マー氏の個人企業へ移行したというのは投資家にとって価値を下げることにほかならない。
当然多くの中国のインターネット企業は、必要な許認可を得られる国内企業としての体裁を持っている。しかし彼らは利益を海外市場で上場しているオフショア(租税回避地)へ送金するということをおこなっているのだ。
例えばSina(新浪)やSohu(搜狐)などの企業構成を詳しくみると、創業者やCEOが全権を持つローカル企業があることに気づくだろう。その会社の利益は米国で上場しているオフショアに送金されているはずだ。
私見だが、もしジャック・マー氏の個人企業がその全ての利益をアリババグループや米ヤフーに戻すというのであれば、投資家はなんら心配をする必要はないだろう。問題はそうでない場合だ。投資家は米ヤフーの経営陣に疑問を投げつけることを考え始めるべきだろう。なぜなら目の前で価値ある資産を移動することを許してしまったからだ。
以前、EachNet(2003年1億5千万USドルでEbayが買収)の創立者であったShao Yibo氏にいわせれば、アリペイのライセンスを得るためのこの一連の動きは、米ヤフーやソフトバンク、アリババといった企業の評判を落とすことになりかねないとしている。関与した三者は明らかに誰も得しないことのために、難しい調整をすることになっているからだ。
アリババに2番目に多く出資しているソフトバンクによると、3社はまだ交渉を続けているそうだ。
Credit Suisseの報告によると、アリペイの再編成は特別なできごとで、アリペイと同様のテンセントまたはテンペイ(テンセントのオンラインペイメント事業)に悪い影響を与えることにならないという。Credit Suisseは今回の方法がもっとも地道なやり方で、アリペイを国内企業にすることができるとしている。
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