リンドックは日本の教育システムを変える「ソーシャル教科書」だ

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【翻訳 by Conyac】 【原文】

ソーシャルメモ機能付きの電子書籍はギークな学生にとって夢のような話だ。株式会社リンドックはこの夢をかなえるため、サービスの開発に取り組んでいる日本のスタートアップだ。

同社は、ソーシャルラーニングの要素を持った、PDF形式の電子書籍提供配信プラットホームを提供している。このサービスによりユーザーは、教科書に書き込んだメモを、同じ教科書を読んでいる他のユーザーと共有することができる。

米国の「Social Books」とやや似ているが、少なくとも現在のところ株式会社リンドックは電子教科書に対象を絞っているのが特徴だ。

株式会社リンドックのCEO兼創業者である町野明徳氏より詳しい話を聞くことができた。町野氏は事業について以下のように語ってくれた。


―Lindoc開発のきっかけは何ですか?

物理学を専攻しているのですが、(例えばインテグラルのような)数学記号をパソコン文書上で表記するのは難しいとずっと思っていました。学生時代に、ウェブブラウザ上で数学記号を書けるアプリを作ったんです。これは大学のベンチャーキャピタルが開いたビジネスコンテストでグランプリを受賞しました。

私たちは2009年、日本政府の科学技術インキュベーション/メンタリング・プログラムにもノミネートされました。私はその時、大学院をやめてプログラムの賞金で企業を立ち上げ、もっと実用的なアプリとサービスを開発しようと決めたのです。

―このプラットフォームで共有する対象に教科書を選んだのはなぜですか。小説やマンガではダメだったのでしょうか。

教育システムを変えたかったんです。教科書の内容やメモ書きを他ユーザと共有できれば、難しい話も学びやすくなります。また、教科書(特に科学系)は出版部数が少ないので値段も高く、出版社も教科書を売ることで大した利益を出せません。売れ筋の小説やマンガに比べ、教科書であれば、我々のプラットフォームで電子出版物を販売することを、出版社に了解してもらいやすかったというのもあります。

―この事業の収益手段は?

いまのところ、案を3つ考えています。1つめは、私たちのプラットフォーム上で電子書籍の作品を出版する機会をアマチュア作家に与えるというものです。

2つめは電子書籍とメモを保存するサービスで、これはフリーミアムモデルでの提供の後になるでしょう。3つめは、教育関連企業と提携し、電子教科書とノートの共有機能を用いて子どもや生徒に遠隔家庭教師をするサービスです。

―どのようなユーザー特権を共有ノートで設定できますか?

3つの特権レベルがあります:あなた自身のみ、グループ、すべて。

―プラットフォームで教科書ノートを発行する時、ソーシャルメディアネットワーク経由で友達に通知できますか?

もちろんです。FacebookとEvernote経由で共有できます。また、友達へそれをメールしたり、プリントすることもできます。

―Lindocの競争相手は?

アメリカにおいては、Sequoia Capitalから支援を受けたInklingという同業の企業があります。しかし、そこは彼らオリジナルの出版フォーマットを使用しており、2年前から出版しているにもかかわらず利用できるコンテンツはとても数が少ないのです。

当社では標準フォーマットとしてPDFを使用しています。PDFファイルはバックグラウンドで使われているだけで、ユーザはコンテンツを我々が提供するブラウザアプリで見ることになり、オリジナルファイルにはアクセスすることはできません。

Eブックのコンテンツには完全に自由に図を描くことができるので、素早く強調して見せたい人のEブックのコンテンツをたくさん選ぶことができると信じています。

―サービス公開の時期は?世界規模での事業展開については?

我々は現在サービス開始に向けて精力的に取り組んでおり、ほぼ最終段階にあります。9月か10月にはサービスを開始できるでしょう。

サービスに使われる基本的な技術とインターフェースには言語的な障壁がないので世界規模で展開するつもりです。電子教科書販売の供給プラットフォームを多言語で展開したいです。

―サービス開始を楽しみにしています。ありがとうございました。


昨年の9月に創設されたリンドックは、町野氏と2人のプログラマーとデザイナーのチーム。町野氏は、技術的なバックグラウンドも持つが、現在は主にビジネス開発に取り組んでいる。もっとも注目すべきは、彼らがしばしば世界の電子出版スタンダードと呼ばれるE-pubを採用せず、コンテンツのキーフォーマットとしてPDFを選んだことだ。

今後も彼らに注目し、彼らのソリューションが日本の保守的な教育システムを、よりソーシャルでインタラクティブなものへと変化させる日を楽しみにしたい。

【via Penn Olson 】 @pennolson

 

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