
これまでいろんなピッチイベントを取材してきた。多くの場合、起業家は短い時間でのピッチを行ったあとに、審査員による質問の時間が設けられており、起業家は投資家たちから質問を受ける。
何回かピッチイベントを取材していて、筆者がこれはよく質問されることだなと思ったポイントを整理してお伝えしようと思う。今後、ピッチイベントに臨もうとする起業家や、投資家がどういう点を見ているのかを知りたい人は参考にしてもらいたい。
本当にニーズあるの?
まず聞かれるのはそのサービスのニーズは本当に存在しているのか、ということだ。「ニーズを自分の頭の中で創りだしていないか?」と自問自答して考えを深め、具体的なエピソードやデータを交えながら、そのニーズが確かに存在することを説明する必要がある。
ユーザはどうしてそのサービスを使ってくれるの?
ユーザがそのサービスを使う必然性についての質問もよく耳にする。数多くのサービスがある中、どうやって自分のサービスを選んでもらい、使ってもらうのか。
ユーザがこのサービスを使う理由を説明しなくてはならない。
なんで誰も成功してないの?
この質問も多い。課題も多いし、もっと便利になってくれればと多くの人が考えている業界において、何かのサービスを提供しようと考えているとしよう。
だが、これまでにも同じようなことを考えた人もきっといたはずだ。そうした人々はなぜ今成功できていないのだろうか?
テクノロジーの進歩、社会の状況、サービスの斬新な仕組み、他社の分析など、周辺状況をどれくらい把握し、自分たちを客観視できているかが問われていると考えられる。
どの市場をリプレイスするの?
ピッチで登場する多くのサービスプランは、新しい市場に対して、新しいアイデアで挑むものではなく、既存市場に対して、新しいスキームで挑むもうとするものだ。
大手によるサービスに存在しているユーザの不満を解決するようなサービスが当てはまるわけだが、この場合、既存プレイヤーから顧客をリプレイスすることになる。
リプレイスモデルのアイデアだと考えられた場合、どの既存市場をリプレイスするつもりなのか、と質問されることがあることを覚えておこう。
大手が参入したらどう戦うの?
ちょうど昨日クリスマス当日にMUGENUP代表の一岡亮大氏が、「リクルートが競合になった時の傾向と対策」 というブログを執筆していたが、自分たちが攻めようとしている領域に、後から大手が参入してくる可能性は十分に考えられる。
そうなった場合、どこに優位性があり、どのように勝負していこうと考えているのか。どこまで考えられているかなどが試されていると考えられる。
今回紹介した5つの質問は、必ず聞かれるというわけではないが、よく耳にすることのある質問たちだ。投資家ではなく、メディアの視点からしても、これらの質問にしっかり答えられる起業家はよく考えぬいているな、という印象を抱く。
スクーでは先日「スクー版「マネーの虎」–投資家は、起業家の何を見ているか?」という授業も開講されていた。起業家(志望も含む)の方々にはこうした情報に触れ、投資家が何を求めているのかを知っていくことで、ピッチの完成度を高めていってほしい。
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