若い起業家へのアドバイス:CEOを引き受ける前に知っておきたかった5つのこと

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Nadav Shoval氏はSpot.IMの共同設立者兼CEOである。Nadav氏はシリアルアントレプレナーで、 11歳の時からいくつものスタートアップを設立してきた。Spot.IMは彼による5つ目の冒険的な取り組みだ。

via Flickr by “A Health Blog“. Licensed under CC BY-SA 2.0.
via Flickr by “Playing Futures“. Licensed under CC BY-SA 2.0.

ジョブズ氏やゲイツ氏からマーク・ザッカーバーグ氏やドリュー・ヒューストン氏まで、若いCEOが成功と名声を一気に手に入れ、その年齢がどんどん若くなっている(SummlyのNick D’Aloisio氏のことを思い浮かべてほしい)話に私たちは夢中になっている。

子供たちが若いうちからテック分野に深く慣れ親しみ、新しいアイデアで様々な隙間をさらに上手く埋めることができるようになるので、この現象は続きそうだ。より若い世代の設立者らは、エネルギーに満ち溢れていて大儲けするためなら大きなリスクをもいとわない人間を探し求めている投資家の受けが良いようだ。大きな夢を持つぐらい自信過剰で、他人を巻き込むくらい説得力のある若いCEOの大胆な先見性に投資家は魅力を感じている。

しかし、新しいものを創り出す若者らの感性がどんなに鋭くても、まだ経営的役割を果たすのに必要な何十年もの蓄積された専門的な経験は不足している。

「知っていれば良かったこと」をテーマに、24歳の私が記事を書いていることが不思議に思えるかもしれないが、10代前半で最初のスタートアップを立ち上げたため大きな失敗に何度も遭遇した経験がある。危機的状況を回避するため、事前に知っておきたかったことに以下の5つ(たくさんある中の)がある。

1. 起業家とCEOの違い

若いCEOが最初に理解すべき大事なことは、起業家からCEOになることで役割も変わってしまうことである。起業家は、何かを変えるための原動力の役割を果たしている。彼らは限界の壁をぶち破り、ドアを突き破って業界を席巻させることをひたすら目指している。しかしCEOは、いつか業界を席巻される側になるまではずっと存続するような会社づくりに携わっている。そのためには、体制強化と持続可能なペースの設定ができなければならない。

起業家は自分のやることリストの消し込みに専念できるが、CEOは全ての社員が各自のやることリストを全て消し込もうとしているか、会社のあらゆるニーズに対応できるよう全てのことが同時に進んでいるか、確認する必要がある。起業家は友人や家族が困った際は元気づけることができるが、CEOは日々社員のやる気を引き出し、また管理する必要がある。

現在、成功を収めた若い起業家を次のCEOとして考えてしまうことが非常に多い。しかし現実は厳しく、両者の役割は必ずしも一致せず、時には全く対照的なスキルが求められることもある。CEOを引き受けるべきか検討する前に、本当に自分に適しているかどうかを自分自身に正直に問うてみてほしい。

2.自分の基準を柔軟に変える必要がある

様々な部門や社員がいる企業のCEOとして成功を収めるには、自分の基準に柔軟性を持たせる覚悟が必要だ。自分の基準で仕事を片付けることよりも、期限内に仕事を片付けることの方が重要になる。時には完璧であること、もしくは完璧であることについての自分の考え(下記参照)に対して妥協する必要も出てくる。効率の追求のために。

その一方で、製品によっては完璧さ、そしてより高い水準に達することが求められるため、以前よりも誰かに時間や場を提供する必要があるかもしれない。何れにせよ、物事は自分だけで進まなくなる。責任をもって説明できるよう、自分の基準に柔軟になる必要が出てくる。

3. 他人も自分と同じように物事を見ているわけではない

これは私が最初に学んだ最も重要なことだ。若者はしばしば皆が自分と同じことを考えていると決めてかかるが、これは判断力が著しく損なわれていることを意味する。可能性を秘めたパートナーシップについて、人材について、さらに顧客について判断する時、あらゆる状況について人々が自分と同じ意見を持っているという誤った考えが頭にあるなら、いずれ避けられない問題に直面するだろう。

自分自身の視点以外に目を向ける能力を養うことで、長期的な成功へとつながるより確かで客観的な判断を下すことができる。自分の考えを支えている論理は普遍なものではないこと、より多様な視点を含められるように自分のビジョンを表現し、調節できるよう学ぶことはビジネスを進展させる上で重要だ。

4. 障害に直面することはチャンスに巡り合うことと同じくらい重要である

若い世代の起業家が解決志向であることは何よりだが、問題が発生する前にその問題を察知できる能力を伴わない場合は危険になり得る。物事がうまくいかなかった場合、歳をとるにつれてそれらの事実を見過ごすことが難しくなる。例えば、潜在性のある顧客に提案を却下されたり、投資家にピッチ内容を拒絶されたりした場合だ。

若きCEOの最大の強みは、罠という視点よりも可能性という視点で世界を見れることだ。進む道の途中にある障害に阻まれないという、羨ましい立場にある。とはいえ、「自分の知らないことが何かを知らない」というのは大きな弱点でもある。CEOとして成功したいのであれば、自分の進む道のどこに障害が潜んでいるかを理解する力を育み、状況に応じて自分の方向性を調整していく必要がある。そうすることで、問題が生じる度に対処する時間を無駄にするかわりに問題を事前に察知し回避することができるようになる。

5. 若い年齢という強みを失わない

自分より年長の人がいる企業を運営したり、50代、60代、さらには80代の投資家に信頼してもらい資金を出してくれるよう説得をしたりする若いCEOにとっては、可能な限り成熟したプロフェッショナリズムを示せるように努める必要が出て来る。実際、そうするべきだ。しかし、同時に若さゆえに可能な行動力を失わないことも重要だ。なぜなら、まさに年齢こそがCEOとして欠かせない強みをもたらすからである。

自分が売り出そうとしている製品、ビジョン、サービスの対象は自分(のような人たち)であることも多いことだろう。つまり、ターゲットとなるオーディエンスのニーズを独自の視点で正確かつ緻密に理解できるということだ。もっと効率的かつ革新的なやり方で物事を進めていくためにさらにリスクを取り、従来のやり方を踏襲したくないとも思うことだろう。こうした考え方は、自分より経験豊富な経営者たちとは際立って異なるものであり、こうしたユニークな価値観を押し殺してしまうのは生産的ではない。

【via VentureBeat】 @VentureBeat
【原文】

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