北京・GMIC 2015で披露された、今年有望なスタートアップ10社を一挙ご紹介

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2015.5.5

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5月〜6月の2ヶ月間は、アジア各国でスタートアップ・カンファレンスが立て続けに開催される。…という同じくだりを昨年の拙稿にも見つけたので、この状況はもはや常態化している。今年は Pioneers FestivalICT Spring といったヨーロッパのカンファレンスまでも5月に前倒しになっているので、数々のスタートアップ・カンファレンスを巡る起業家や投資家にとっては、かなり過酷なスケジュールである。

先週、4月28日〜29日の2日間にわたって、北京の国家会議中心(National Convention Center)で、年に一度の、アジア最大級のテックカンファレンス「GMIC(全球移動互連網大会)」が北京で開催された。Xiaomi(小米)、Tencent(騰訊)、Huawei(華為)やSina(新浪)などのトップが経営方針や新製品に関する重要な発表をするほか、スタートアップが集まるピッチ・コンペティション「G-Startup」も見ものだ。

例年とは異なり、今年の G-Startup では出場10社のほとんどが中国勢が占めた。メンタルや心理学とインターネットを結びつけようとするアプリや SDK が目立ったように思える。審査の結果、深圳のスタートアップが開発した、持ち運びできるコンパクトなインテリジェント・マッサージ・デバイス「握握(Wowo)」が優勝した。

審査員を務めたのは、次の方々だ。

  • James Shen(沈勁氏), VP and Managing Director, Qualcomm Ventures
  • Anderson Thees 氏, MD & Co-Founder, Redpoint e.ventures
  • 鈴木亮一氏, VP, Recruit Strategic Partners
  • Kui Zhou(周逵)氏, Managing Partner, Sequoia Capital
  • Hans Tung(童士豪)氏, Managing Partner, GGV Capital

では今回、G-Startup で華々しいピッチを披露した10社の顔ぶれを見てみることにしよう。いずれも、ビッチのビデオ付きで紹介する。

Wowo(握握)

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握握(Wowo)は、漢方マッサージのツボの考え方と現代科学を取り合わせたマッサージ・デバイス。重さは700グラムで、2時間の充電で1週間待機可能、4時間連続でマッサージができる。

BLE で接続し、スマートフォンにインストールした専用アプリから制御ができるほか、他の IoT デバイスや WeChat(微信)アカウントとも連携可能。ピッチのあったこの日から、Baidu(百度) の Eコマースサイト「未来商店」で999元(約19,300円)で発売された。

Super ID(一登)

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スマートフォンのカメラで顔を写真撮影することで、そのユーザの性別、年齢、精神状態などを判定できる無料の SDK「Super ID(一登)」を提供。この SDK を導入した同社の音楽聴取アプリ「emo(刷瞼听歌)」はローンチから2日間にわたりアプリストアの1位を独占、1週間で10万人がダウンロードした。

Super ID は O2O やエンターテイメント、リワード、会員カードアプリなどへの応用を期待しており、ローンチから本イベントまでの44日間で、113のアプリ、46万人のユーザ、36の国々で利用されている。

Meiqia(美洽)

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Eメール、WeChat(微信)などのメッセージアプリ、モバイルウェブ、デスクトップウェブなど、あらゆるインターフェイスに対応してユーザサポートができるプラットフォーム「Meiqia(美洽)」。Passbook や WeChat(微信支付)と連携して、ユーザに課金することも可能。

ユーザとのやりとりが、複数のユーザサポート担当者の間で共有管理できる。コンサルティング・サービス、医療、Eコマース、金融サービスへの導入を狙っている。

Anyoutian.com(俺有田)

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俺有田」は、農民と消費者を直接結ぶことで、農産物の直接販売を可能とするプラットフォーム。農家の経験不足や技量不足をオンライン指導で支援する一方、育った農産物をモバイルアプリで消費者に紹介し、流通網を通さず食品配送会社を通じて消費者宅に直送するほか、大手スーパーやコンビニエンスストアを通じてピックアップすることができる。

俺有田では、このプラットフォームを通じて農業を営む農民を「新農人」と呼んでいるが、これまでに1,100人に及ぶ新農人を生み出している。

Emokit

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ハードウェアやアプリなどに人間の感情を読ませるための SDK「Emokit」。チームは中国科学院やカーネギーメロン大学出身の科学者で構成される。心理状態のデータを収集し、12のポジティブな感情、12のポジティブなネガティブな感情に分けて解析。

Eコマースのほか、飛行機のパイロットの健康状態判断、カスタマーサポートのパフォーマンス改善などへの応用を期待。昨年のフィンランドで開催された SLUSH では総合1位を獲得している。

Cein Biotechnology(識益生物)

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Cein Biotechnology(識益生物)は静脈認証プラットフォームにより、さまざまな個人認証、カードレス決済、カードレス会員システムの運営が行えるプロダクトを開発。静脈を認証するデバイスは、指スキャナ型以外に、マウス型やリング型などさまざまなタイプをリリースしている。

創業者はQRコードやRFIDのアプリ開発で18年の実績があるほか、チームには、紙幣検査機、指紋認証や顔認証、iBeacon のアプリの研究やプロダクト開発に従事した人物が多数参加している。

Pear PSY(鴨梨心理)

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Pear PSY(鴨梨心理)は、精神病患者向けのカウンセリングアプリ。新しいアプリバージョン 3.0 が4月下旬にリリースされる。メニューは普通問診、専門家問診、情報センター、精神状態センターなどから構成され、精神科医を予約することが可能。

なお、Pear Psy を通じた精神科医の紹介は無料だ。12月下旬までに、対応できる精神科医を700名、心理諮問士を600名まで増やし、月あたりの問い合わせを1万件にまで伸ばしたいとしている。

Weather Wardrobe(天気衣柜)

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気温や湿度の変化にあわせて、着るものを選ぶのは体調管理の上からも重要だが、これがなかなか面倒。Weather Wardrobe(天気衣柜)は、発表された天気予報データにあわせて、あらかじめ登録してある自分の持っている洋服の中から、最適なコーディネイトを提案してくれる。

ユーザは、アプリに予め身長や胸囲などの身体データを登録するため、アプリからその条件に合致した洋服の提案を受けることができ、オンライン購入することもできる。

Babystep

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Babystep は、両親が良い子育てが行えるよう、1つのトピックについて、1分間のビデオクリップ1本でレクチャーをしてくれるサービス。Babystep はロシアのスタートアップだが、ビデオはカリフォルニアで13ヶ国語で製作されており、ユーザには1週間に3本のビデオが配信される。

講読料は 6ヶ月549ルーブル(約1,300円)、1年間899ルーブル(約2,000円)、あるいは、1,590ルーブル(約3,700円)支払うことで永年利用可能となる。

Kexuema(科学媽)

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Kexuema(科学媽)は、妊婦のためのモバイルアプリ。妊娠することは病気ではないものの、61%の女性が妊娠で何らかの複雑な問題を抱えており、毎年1%の妊婦は病気により亡くなっている。このモバイルアプリは、医療の観点から妊婦に対して情報を提供することにより、妊婦がより健康で安全な状態を維持できることを目的としている。

これまでに、スウェーデン政府から資金を調達、スウェーデンの Mälardalen 大学、Karolinska 研究所、北京大学、復旦大学、浙江大学とパートナーシップを結んでいる。


いかがだろうか。昨年の G-Startup では、ゲームや O2O に関連したアプリが多くを占めていたのに比べ、今年は、ビッグデータを始めとするテクノロジーにフォーカスしたスタートアップが増えていることがわかる。おそらく、この違いは、中国におけるスタートアップ・トレンドの変化を如実に反映しているのだろう。

G-Startup 以外の、GMIC の見どころについては、機会を改めて近日中に振り返りたい。

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