起業家、ライター、コメディアン、そしてクリエイターでもあるJon Westenbergさんによる寄稿記事です。Jonさんの活動は、ご本人のWebサイト、またTwitter(@jonwestenberg)でフォローできます。本記事は、Mediumに投稿された記事をJonさんから許可を得て翻訳したものです。元の英語記事もどうぞ。

やることに価値を感じる何かを成し遂げるには必ず時間がかかる。
短い時間枠で考えてはいけない。それは、あまりにも近視眼的すぎる。
「革新的なアイディアの実がなるまでに、企業には5〜7年を待つ覚悟が必要だ。ほとんどの企業が、この時間を設けることをしない。」ージェフ・ベゾス
一晩にして、ライター、アーティスト、起業家、デザイナー、陶芸家、建築家、ソフトウェアデベロッパー、また人形使いとして成功することはできない。この世の中に、唐突に訪れる大ヒットなど存在しない。瞬時に起こることなど、何一つない。
僕はこれを100%の確信を持って言える。どんな成功も、時間というコミットメントを要する。それも、相当量の時間が。君がどんなキャリアを望んでいようと、そこにたどり着くための唯一の方法は、君の人生の何年もの時間を捧げることだ。君はそれを受け入れて前に進むしかない。
僕には、ずっと守り続けているルールがある。自分の人生の5年間を捧げてもいいと思えることでなければ、そもそもやらないことだ。たしかに、5年は長い時間枠だと思う。でも、これだけの時間があれば、計画を立てる余裕があるし、成果を測ることも可能なはずだ。
5年間という時間を注ぎ込んでも成功できず、成功する見込みすら立っていないのなら、その道を再考するタイミングだと思っている。
もちろん、君はここまで長くの時間をコミットしなくてもいい。でも、それくらいの長期的な時間枠で考える必要はあると思う。何かの実現を急ぐことで君は消耗し、最後には失望に終わるからだ。
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何かを学ぶには時間がかかる
僕たちはこれを見失ってしまったように思う。僕たちは皆、まだ何も達成していない時分から、自分の現状の成果とそれを先に成し遂げた人たちの成功とを比較する。そして、彼らが実践してきたことを真似て、それを改良していく。
君は起業家だ。自分の成果を、他の起業家と比べることで測ってはいないだろうか?それとも、億万長者として知られるグローバル企業のCEOと比べているだろうか?
君は、ライターだ。他のライターと比べることで自分を評価していないだろうか?それとも、ヘミングウェイ、Ginsberg、ケルアック、 J・K・ローリングなどと比べているだろうか?
ここに名前を挙げた人たちは、十分な才能があると言われるレベルにたどり着くまでに、何年もの年月やスキル・クリエイティビティを注ぎ込んでいる。その結果として、君や世界が尊敬する作品を仕上げることができた。魔法の杖をただ振って、彼らのレベルに一瞬にしてたどり着くことはできない。だから、君は学ぶ。または、学ぶための努力をする。
それをきちんと身につけるには時間がかかる
アーティスト、ライター、起業家といった人たちから、「創ったものが完璧からは程遠く、とても披露できない。どう完成させればいいのかがわからない」と相談を受けることがある。そんな彼らに、僕はこう伝える。君がそれを完璧にすることは一生ない、と。なぜなら、完璧などというものはそもそも存在しないからだ。
君にできることは、改善することだけだ。常に改善を続けることだ。そして、それを行う唯一の方法は、それを一度世に出し、フィードバックを集めて、また挑戦することだ。何かを創るたびにこのプロセスを繰り返せば、早かれ遅かれ、君は進歩していく。
これには時間がかかる。その何かをきちんと習得するのは長い道のりだ。イテレートし、改良し、改善するには何年もの時間がかかる。僕はライターと起業家として、そこそこの道を辿っていると思う。読者もそれなりにいるし、クライアントの数も増え続けている。でも、ここにたどり着くまでにだいぶ長い時間がかかった。
僕が書いたものをオンラインで公開するようになって15年が経つ。僕は、17歳の頃から事業を始めたり運営したりしてきた。何年間という歳月にわたって失敗を重ね続けた経験を、一冊の本にできるくらいだー実際に本にしてみるかもしれない。
自分の成果に満足できる今の状態にたどり着くまでに、だいぶ時間がかかった。
オーディエンスを築くのには時間がかかる
誰かが君の作品を聞いたり読んだり、すぐにそれが売れることを期待してはいけない。物事はそんなに上手くは進まない。
Green Dayというバンドについて教えてあげよう。1994年に、『Dookie』というアルバムで大ブレイクした。でも、実はこれが彼らの3つ目のアルバムだということを知っていたかい。そして、それをリリースするまでに8年間のバンド活動をしていたことを?
それは、彼らにとって8年分の仕事だった。彼らはツアーに出て、いくつも作曲して、彼らの音楽をへとも思わない酔っ払いしかいないハコで演奏して。誰もファンになることのない曲をリリースし続けて。
彼らは、オーディエンスをひとりひとり獲得していった。演奏をするたびに。
僕が言いたいことは、つまりこういうことだ。何かを書いて、何かをリリースして、何かをデザインして、それが瞬時に世界のトップに躍り出て拍手喝采を受けることを期待してはいけない。確かに、稀にそうなることもある。いつでも例外は存在するが、それはあくまで例外に過ぎない。

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僕は、この記事をAmazonの創業者であるジェフ・ベゾスの言葉を引用することで始めた。
Amazonは、ドットコムバブルの崩壊で完全に破滅しなかった数少ない企業の一社だ。未来が期待されたスタートアップや起業家のほとんどがバブル崩壊で死に追い詰められたが、Amazonの墓場は未だに空っぽのままだ。彼らは生存し続けている。
僕は、「××が成功した唯一の理由」といった類の記事が大嫌いだ。そんなの真っ赤な嘘でしかない。なぜなら、何かについて理由がたった一つしか存在しないなんてことはありえないからだ。その何かを見つけようとする時、人は事実を伝えるのではなく、ストーリーを仕立て上げようとしている。
でも、Amazonが成功した理由のひとつはわかっている。生き延びたことだ。成長し続けたことだ。ジェフ・ベゾスは、物事を短期的な時間枠で考えることをしない。彼は、瞬時の急成長を望まず、指をちょっと鳴らすことで世界がひっくり返ることを期待しない。彼は成功を待ち、それに向けて努力を続けている。
きっと、君にだってできる。
(翻訳:三橋ゆか里)
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