スタートアップの検死報告その1:バレット・パーキングサービス「Vatler」の終了理由【CBIまとめ】

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Image Credit : Dog Resting On Wooden Bricks / 14657061@N00 on Flickr

主にテクノロジー系スタートアップの調査レポートを出しているCB Insightsが継続的にアップデートしている情報のひとつにスタートアップの検死報告(Startup Failure Post-Mortems)というものがあり、2014年1月から始まって5、6回ほど改訂されているようです。私も以前取り上げたことがあり、そこから約1年ほどでしょうか、経過して結構な数の死体、もとい失敗が積み上げられたようです。

I have learned fifty thousand ways it cannot be done and therefore I am fifty thousand times nearer the final successful experiment.
(私は5万の出来ない方法を学んだのではない、成功に近づく経験を5万回もやったのだ)

かの有名なトーマス・エジソンの、極めて地味な積み上げを表現した素晴らしい一節から始まるこちらの情報から、いくつか勉強になりそうなものをピックアップしてみたいと思います。

Vatler:バレットパーキングサービス

オンデマンドやシェアリング・エコノミーの文脈で雨後の筍のごとく生まれたサービスの内のひとつがこのVatlerです。アプリから圏内に人を呼んで駐車を代行してくれるというバレット・パーキングサービスで「まあ、言ってることはよくわかるけどそれどうやってやるの」的なサービスでした。輝けるY Combinator出身スタートアップ(2014年夏バッチ生)で、競合には何度か取り上げてるLuxeがあります。

<参考記事>

さておき、Vatlerはなぜ失敗してしまったのでしょうか。(創業者の書いたMediumはこちら

彼らは元々Sweetchというアプリ提供から始まっていました。これは公共パーキングをシェアするという人のふんどしでなんとやらなアイデアで、当然のことながら行政からバンされることになります。その件は以前にも書きました。

公共のパーキングスペースを使ったうまいマッチングの方法で、ルールは駐車場を使う人は5ドルSweetchに支払い、駐車場を確保した人はSweetchから4ドル貰うというものなのだとか。つまり駐車場を確保する側、使う側がぐるぐる回っていつもハッピー、となるはずだったのですが、元々そこは公共パーキングだったので、勝手に貸し借りしちゃダメ、という至極真っ当な行政命令が出た、という顛末のようです。類似サービスにはMonkey ParkingやParkModoがあります。

Vatlerも課題自体は同じでいわゆる駐車場問題、特に夜間レストランを利用する時のイライラ解消にフォーカスを絞ったものになったようです。

レストラン側にとってはバレットパーキングサービスは業者に依頼するとコストが高く(彼らの試算では平均で月額3000ドル)、それを近隣の人にアプリなどを通じてオンデマンドに依頼できるようにすればそこはタダになるし、さらにそれを共有すればコストダウンにつながるだろう、というものでした。まさにシェアリングエコノミー。

最初の課題はバレットパーキングについての規制の問題です。まず、税金として駐車毎に市に対して25%を支払う必要があり、また、パーキングする場所にサインを置かないといけないというルールもあったそうです。創業者たちはこれをクリアするため、実際にいくつかのレストランと共同でサービスの実証をして、最終的に行政側から問題ないという回答を得ることになります。

そうして100のレストランと契約することになって順調にいきそうなVatlerでしたが、ある日、突然市の方から電話である通達が届きます。

Suddenly, two months ago, we received a phone call from the city explaining that traditional parking companies were not happy with the way we were poaching business from them and that we had to slow down our growth. We ignored this warning. Ten days later, we received a phone call from the police department telling us that our permits had not been granted and they gave us a warning because we were operating illegally in most of our locations.

突然2カ月前ぐらいかな、市から突然電話があって、元からやってる業者の仕事を僕らがかすめ取ってるってことで、その業者たちがあまりいい気分じゃなかったみたいなんだ。だからもっとゆっくりやれって。でも、そんな警告無視したんだ。10日後ぐらいかな、今度は警察から連絡あって、認可を取り消すと。サービスを提供してるほとんどの場所で違法性があるからって警告してきたんだ。(意訳)

結果的に認可がなくなってしまって契約もストップ、サービス継続が難しくなってVatlerは閉鎖に追い込まれることになります。

なんという分かりやすい展開でしょうか。

逆に言えば、サービス自体はよかったってことなんでしょうかね。こういうAirbnb的なシェアリング商売の場合、関係者が全てハッピーになる必要があります。このVatlerもアイデアはよく、利用者やレストランは喜んだんだけど、既存業者が単純に仕事を奪われる結果になったのをイラついたんでしょうね。警告無視が失敗の引き金になるという、イケイケドンドンのスタートアップあるあるですね。

引き続き失敗談のピックアップ続けてみます。

via Medium

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