ポケモンGO、楽しんでますか?
通勤電車の中でも、交差点の待ち時間でも、定食屋の隣の席のおじさんまでもがポケモンGOしてる姿は、予想していたとはいえやはり若干異様ですね。これをブームというのでしょう。
そして予想と言えば「ポケモンGO事件」の数々ですが早速日本でも自転車とぶつかったり、写真撮られたと勘違いして怒る人が出てきたりとトラブル報告も目にするようになりました。
ではこれ、一体誰が悪いのでしょうか?
この件についてメルカリで法務やIRを担当している岡本杏莉さんがnoteに興味深い考察を掲載していました。彼女は日米の法務に詳しく、特にテクノロジー関連で巻き起こる微妙な問題、例えばAirbnbの民泊問題や経歴詐称など、世間を賑わす話題に法律的な視点で考察を与えてくれています。
詳細については彼女の文章をご一読いただくとして、個人的に興味があったのがAR(拡張現実)と注意喚起義務の箇所です。彼女が言及している箇所を引用します。
ポケモンGOのような、AR(拡張現実)技術を利用したゲームは、オンラインとリアルな現実世界とが融合するという新しい領域であり、その面白さは爆発的なヒットの一因になっているかと思います。他方で、上記のようなリアルな世界での事故の危険性もあるということになります。このようなゲームの提供事業者が、現実世界での事故を防止するためにどの程度の「注意義務」を果たすべきかという新しい問題について、裁判所がどのような判断をするかはまだわからないところです。もっとも、各当事者からは以下のような主張がなされることが考えられます。
ポケモンGOは立ち上げると最初の画面に「周囲を注意するように!」と注意喚起を促しています。また、世間的にも歩きスマホはするな、運転中の携帯電話は違法ですと至る場所に警告がある以上、それを無視して怪我をした方が悪いと考えるのが自然なのでしょう。一方でこのような考え方もあるようです。
アメリカでは、ポケモンGOのようなAR技術を利用したゲームの提供事業者の法的責任について、既に様々な議論がなされています。上記のような注意義務の程度に関しては、「崖のような危険な地域にはモンスターやポケストップを表示させないような措置を取るべきである、このような措置を取っていない以上、注意義務を果たしたとはいえないのではないか」という意見も出ているようです。
これはこれでごもっともですね。ARが現実世界をベースにするものである以上、上記のような検討は必要でしょうし、ポケモンGOのようなヒット作になった場合は集まってくる人の密度など、考えるべき要素が増えるので相当複雑な仮説検証が必要になるんだと思います。
先日もこちらの記事で書いた通り、ポケモンGOはARという概念を極めて自然に一般の層へ届けることに成功しました。
確かに通常はARモードを使わない方が効率がいいのですが、新機能として対戦や交換などができるようになるという話もあるので、そうなるとこれから戦う相手をポケモンと一緒にARモードで撮影したりするような場面も出てくるかもしれません。当然盗撮まがいも問題になる可能性があります。
こういったAR越しの世界でどのようなルールが必要なのか、ポケモンGOで発生する事例を注意深く観察したいと思います。
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