スマホとオンデマンドで「クリーニング概念」の変革に挑戦するリネット、新サービス提供開始

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スマートフォンが人々に行き渡り、インターネットに接続するのがほぼ当たり前の世の中になった。この「いつでもどこでも繋がる」スマホ経済圏はUberやAirbnbのような「オンデマンド」「シェアリング」エコノミーを生み出し、私たちが生活する中で何かを思ったその時、その場所で、さらにお得にサービスを受けられる世界を作ることに成功している。

劇的な変化ではない。非常にゆるやかな、それでいて「気の利いた」変化だ。

例えばデリバリーでもこれまでは宅配ピザや寿司のような定番しかなかった市場に Uber Eats が始まったことで、いままで注文することのできなかった小さなオリジナリティのあるレストランの食事を気軽に注文できるようになっている。「シェアとオンデマンド」という概念が加わることで可能になった、分かりやすい可能性だと思う。

そして今日、この微妙なのだけれど「気の利いた」サービスが一つ強化される。クリーニングだ。

オンデマンドにスマホからクリーニングを依頼できる「リネット」を運営するホワイトプラスは10月27日、11月1日から有料会員向けサービスとして全品にプレミアム仕上げを追加料金なしで提供すると発表した。プレミアム仕上げはドライ全品へのリファイン加工(光沢などの効果)、水洗いへの柔らか加工、毛玉取り、毛取り、ダブルチェックの5サービスを提供するもの。

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リネットは先月に24時までの集配に対応するなど、サービス強化を続けており、今回もその一環となる。

会員数は20万人を突破、ネット宅配クリーニング「リネット」24時までの集配に対応

非常に微妙な変化だ。運営するホワイトプラスの代表取締役、井下孝之氏は今回のサービス提供意図をこのように表現していた。

「コーヒーショップはスターバックスが出てきて概念が変わった。栄養ドリンクもレッドブルが出てきたことでイメージが変化した。クリーニングも同じ。これまでの概念を変える時期に来たんです」(井下氏)。

私は「クリーニングに対する考え方」なんていうことを考えたこともなかった。確かにシャツは家では洗いにくいのでクリーニングに出した方が綺麗になる、まあその程度だ。しかし店頭型のクリーニングには持っていくのが面倒だし、そもそも開いてる時間に持ち込みにくい。更に言えば取りに行くのも面倒だ。

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しかし、オンデマンドにいつでも気軽に出せる、注文できるとなればその障壁が少し変わる。本来クリーニングは単に綺麗にするだけでなく、衣類を新品に近い状態にすることで気持ちをリフレッシュさせてくれる効果がある。「綺麗にする」ことだけでなく、もっと気軽にクリーニングを使えるようになることでこの「気持ちよさ」を日常のサービスとして提供したい、それが井下氏たちの描いている世界観だった。

一方でUber Eatsを例に出したように、これまで注文できなかった店舗の食事が選択できるような「目に見える」分かりやすい変化は難しい。取材中にも表現方法や目に見える変化について色々尋ねたが、まだその明確な答えは見つかっていないようだった。逆に言えば彼らがそれを見つけた瞬間、現在20万人という会員数は更にホッケースティックを描くのかもしれない。

スタートアップが単なる中小零細企業でない理由は世界観を変えるところにある。

彼らが単なる新興のネット宅配クリーニング事業者で終わるのか、それとも「衣食住」という大きなテーマのひとつを変革するプレーヤーとなるのか。次の一手にも注目したい。

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