日本中の「エクセル目標評価管理」をクラウド化する HRBrain 正式公開、ジェネシアベンチャーズ、BEENEXT からシード資金獲得

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左から BEENEXT の前田ヒロ氏、モスキートーンの堀浩輝氏、ジェネシアベンチャーズの田島聡一氏

クラウド人事評価・目標管理サービス「HRBrain」を提供するモスキートーンは1月11日、ジェネシアベンチャーズ、BEENEXTの2社を引受先とする第三者割当増資の実施を発表した。調達した資金や払込日、株式比率などの詳細は非公開。また同社は今回の増資と同時にこれまでクローズドβとして運用してきた HRBrain の正式版を公開する。

モスキートーン代表取締役の堀浩輝氏によれば外部からの増資は初めてということで、これまでは自己資金で運営してきた。

同社の設立は2016年3月で、サイバーエージェントでメディア関連事業の事業部をマネジメントしてきた堀氏が、多くの在籍メンバーの人事評価や目標管理がエクセル等の汎用ツールで運用されていることの煩雑さ、非効率に着目して立ち上げた。リクルートが運営するスタートアップアクセラレーター「TECH LAB PAAK」に参加し、同サービスの開発を推進。インターネット関連事業を中心に20社ほどの導入テストを通じてサービスの完成度を高めたという。

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さて、この HRBrain、印象としては SmartHR の展開とよく似ている。企業マネジメントのある特化した部分、特にこれまでエクセルや紙などの汎用ツールで処理されてきた「システムにするには範囲が狭く、汎用ツールでは面倒」という非常にニッチな範囲を「洗練された使い勝手」で攻めている点だ。ここのポイントは大きく二つあると思っている。一つは各社によってバラバラの人事評価、目標管理といった極めて定性的な内容を含む業務を汎用化できるのか、という点。もう一つがどのコストをリプレイスするのか、という二点だ。

最初の疑問について堀氏は明確に「できる」と語る。

「各社の目標管理の方法には何パターンかに分類できたんです。それを目標シートの方に落とし込んでまず、4種類(OKR・MBO・WCM(Will Can Must)・360度評価)作りました。これを今後、毎月1つずつ増やしていく予定です。ただ、こういった分類は最大で10種類ぐらいしかありません」(堀氏)。

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サービス自体はそこまで複雑ではなく、個人が設定した目標を入力する目標管理シートと、これを上長や人事が評価するマネジメント画面で構成されている。堀氏らは各社バラバラの評価管理を60社近くヒアリングすることである程度類型化したという。ただ、やはりインターネット系の事業者が中心で、それ以外の業種にもトライしようとしたがそもそも PC が一人一台配布されていない状況などではフィットしにくく、現時点では相性はあるようだった。

もう一つの疑問「どのお財布を狙うか」問題についてもある程度答えは出ているようだった。

「狙う財布はやはり人事関連になると思います。例えば半年に一度とかこういう評価管理シートをエクセルで入力し、それを集め、集計するという作業だけでも1カ月半かかったりしてる例があるんです。これを半分に減らせるだけで十分に評価してもらってます」(堀氏)。

料金設定は利用する人数(社員)一人当たりの価格で人数によって変動する仕組みになっており、大体一人当たり月額で600円から800円といった価格になるそうだ。例えば100人ほどいる企業では単純に計算して6万円から8万円という金額になる。

これを安いと見るか高いと見るかは評価管理をしっかりとタレントマネジメントに繋げられるかどうかにかかっているだろう。評価のアンマッチで優秀な人材を流出させるようなことにならなければ安いが、単なる現場の「作業」を効率化しただけのツールになってしまえば余計な出費に見えるかもしれない。

HRBrain は冒頭に書いた通り、昨年の大ヒットサービス SmartHR を感じさせる。一方で、単なるツールで終わるかどうかは、ここで得られたデータを効率良く経営に反映できるかどうかにかかっているだろう。人事や目標管理は4月に切り替えのタイミングを迎える企業が多いだけに、そのタイミングでの同社の伸びが気になるところだ。

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