過去最大の成長を遂げる人事評価クラウドHR Brain、13億円調達してタレントマネジメント分野へ拡大

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HR Brain代表取締役の堀浩輝氏

ニュースサマリ:人事評価クラウド「HRBrain」は12月4日、Eight Roads Ventures Japanをリードに、第一生命保険、SMBCベンチャーキャピタル、AGキャピタル、SCSKを引受先とする第三者割当増資の実施を公表している。増資に加えて3億円の融資枠を合わせ、調達した資金は最大13億円。前回ラウンドではスパークス・グループが運営する「未来創生2号ファンド」 を引受先とする第三者割当増資の実施をしており、累計調達額は22億円となった。

調達した資金は主に体制強化に投じられ、現在80名ほどの体制を早期に120名ほどにまで引き上げる予定。HR Brainは従業員の目標設定から評価までの一連のプロセスをクラウド型で提供するSaaSモデル。2017年1月にサービスインしてから約1,000社が利用している。主なターゲットは100人から300人規模の企業で、昨今のデジタル化や感染症拡大のリモートワークへの移行に伴い、企業の導入が加速している。また、8,000名規模のヤフーが導入するなど、大型のエンタープライズでの一括導入も彼らの成長を後押ししている。

また、蓄積した各社の人材データを活用し、チーム生産性の最大化や人材配置の最適化といったタレントマネジメントの領域についても機能を拡張させている。ビジネスモデルは月額課金で、一定規模の人数のレンジに合わせて段階的な料金が設定される。

話題のポイント:HR Brainさんが大型調達です。同社代表取締役の堀浩輝さんにお話伺ってきましたが、各社のリモートワーク移行がHR Brainの利用加速をかなり後押ししているようです。4月から8月にかけてリード獲得自体は伸び続け、各社の予算決裁関連が通常に戻り始めた9月頃から一気に注文が入って成長率は過去最大になったそうです。

他の業務と異なり、人事評価はあらゆる企業が必要とするものなので、特にリモートワーク環境下ともなると、これまで対面でできていた意思疎通が難しくなりますから、自然と評価の方法もデジタル化しなければなりません。HR Brainはその一丁目一番地にブランドを構えることができたので、自然とこの状況が追い風になった、というわけです。

大切になるのはCSなどのフォローアップです。人事評価は各社ごとに異なるプロセスがありますので、チューニングが必要になります。この辺りは強く認識しているそうで、今回の調達における組織強化もこの辺りが注力領域になってきそうです。

もう一点、人事評価で堅調な伸びを示している以上、次の成長を考え始める時期にきているのが同社です。特にヤフー等の大型導入では、単なる人事評価だけでなく、そこから得られるデータを活用したタレントマネジメント、人材の可視化などの役割を求められるようになります。こういったニーズをオプションとして提供し、アップセルを狙うというのが基本的な考え方のようです。全く違うラインのプロダクトを立ち上げるというよりはHR Brainらしい着実な戦略とも言えます。

「例えば従業員のデータベースとしても使えますか?とか人材の分析や組織の分析、見える化ができるかなどのリクエストをもらうようになりました。特に大型の案件ではこういった要素が必要条件になることが多かったんです。そこで今年の春先から開発を進めていて、人材データベースや組織については機能を拡充しています。今後はピープルアナリティクス領域にサービスを拡大していく予定です」(堀氏)。

ところでこの時期のスタートアップの共通の悩みと言えば組織です。現在80名ほどの体制になるHR Brainですが、前述の通り規模を100名から120名体制に拡大させる予定です。一方、採用レイヤーについては今後、エンタープライズの導入を可能にするトップレイヤーのエグゼクティブクラスを誘う必要があります。堀さんにこの時期の採用条件はどのような考え方か聞いてみたところ、「ロマンとソロバンのバランス」として、前職レベルの報酬に加えてSO(ストックオプション)を提案しているそうです。

10年前ならいざ知らず、今の時期のスタートアップにSOを積むから分かってくれ、では確かに話は通りません。逆に言えば、現在成長株となっている(特に堅調な成長を期待されるSaaS系)スタートアップについては、人材の獲得競争はさらに激しさを増しそうです。