コンサートビジネスのマネタイズにインフルエンサーを活用する、中国の「Reyin(熱音)」——東アジア進出に向け、プレシリーズA資金を調達中

SHARE:
Image credit: Reyin(熱音)

中国のメディア・エンターテイメント業界は、2018年まで年平均10%で成長するとみられている(PwC 予測)。コンサート業界も遅れてはいない。中国のコンサート愛好家向けにあらゆるサービスを提供しているアプリの Reyin(熱音) は、コンサートへの関心の高まりを資本化しているだけでなく、KOL(キーオピニオンリーダー)を効果的に活用してマネタイズしているプラットフォームの好例だ。

同社のCEOで設立者でもある Daniel Chang(張唯勤)氏は、TechNode(動点科技)に次のように語った。

中国では多種多様なコンサートが開かれるようになっています。メジャー級は今も観客がたくさん集まりますが、中小のコンサートも数が増えています。

コンサートの運営や予定の数では欧米に及びません。でも、もっとたくさんあっていいと思うのです。

Reyin(熱音) CEO 兼設立者の Daniel Chang(張唯勤)氏

中国でのコンサートは、エンターテイメント企業やスポンサーがただ収入をあげられるビジネスにとどまらない。コンサートのライブストリーミング配信もこの国では人気が高まっており、多くの中国系テック企業や音楽企業がコンサート愛好家に自宅で音楽を楽しんでもらおうと、手頃なチケットを販売している。Daniel 氏によると、こうした企業は Reyin とは競合しないという。Reyin が提供しているのは、コンサートの KOLを 活用した現地でのユニークな体験だからだ。

Reyin アプリの最も基本的な機能では、ユーザは自分が行きたいコンサートを見つけ、チケットを予約できる。プレミアムメンバーシップのモデルもある。ユーザが年会費3,999人民元(581米ドル)を支払うと、世界中どこでも3つのコンサートと居住地で9つのコンサートに行ける。Daniel 氏によると、同社は2017年の初めより、現金収支は黒字を維持しているという。

しかし、Reyin が本当の意味で他のサービスと異なっているのは、国外に住むコンサート KOL のネットワークだ。彼らは Reyin のユーザに対して、現地で開かれるコンサートに来るよう声をかける。例えば、Lanty さんはイギリスのシェフィールドに住む中国人学生だ。彼女は自分の行ったコンサートでの体験を投稿し、Reyin のユーザにコンサートやフェスティバルに来るよう呼びかけている。

各地に住む Reyin の KOL によってコンサートに訪れた音楽ファンの数は1,500人を超える。

左から:EDC 電子音楽フェスティバルに誘う KOL 向けの広告、KOL であるLanty 氏の投稿、コンサート「Ultra Miami」の記事
Image credit: Reyin(熱音)

Daniel 氏によると、中国本土のコンサート愛好家は次の3つに分類されるという。

  1. 特に有名なバンドやDJが見られるならいつでもコンサートに出向くヘビーユーザ。
  2. 普通とは違う音楽やイベントを体験したい人。
  3. 友達から誘われた時だけコンサートに行く人。

Daniel氏 は、ユーザの大半が最初の2グループに属しているという。

Reyin の設立者兼 CEO の Daniel Chang 氏は台湾生まれ。アメリカに9年滞在しており、その際は e コマース企業 NewEgg(新蛋)でマーケティングディレクターを務めていた。

アメリカに住んでいた時には300ほどのコンサートに行きました。2012年に上海に来て、中国にはコンサートがなさすぎると思いました。そこで、中国で開かれているコンサートを全て見つけられるようこの会社を始めたのです。私自身、自社サービスのヘビーユーザです。(Daniel 氏)

2014年の設立後、Reyin は2015年に香港を拠点とするベンチャーキャピタルで、ライフスタイルとエンターテイメントに特化しているPeacock Capital(孔雀資本)からエンジェル投資を受けた。

Peacock Capital のディレクター John Au 氏は、TechNode に次のように語った。

私たちは、人をつなぎ、録音や放送では得られないような体験を提供するライブ音楽のイベント業界が成立すると信じています。そして、Daniel 氏らチームがこの業界に変化をもたらすことができると確信しています。

さらなる急成長と国外展開に向け、同社はプレAラウンドで資金を調達しているところだ。Reyin には25か国、45都市で現地でのコンサートを紹介してくれる KOL がいる。上海を拠点とする同社はサービスを深圳や広州にも展開し、さらには東アジアへの拡大を目指して自社アプリの KOL を今後増やす計画だ。

【via Technode】 @technodechina

【原文】

Members

BRIDGEの会員制度「Members」に登録いただくと無料で会員限定の記事が毎月10本までお読みいただけます。また、有料の「Members Plus」の方は記事が全て読めるほか、BRIDGE HOT 100などのコンテンツや会員限定のオンラインイベントにご参加いただけます。
無料で登録する