Jack Ma(馬雲)氏率いるAnt Financial(螞蟻金融)、金融商品向けのオープンマーケットプレイス「Caifu Hao(財富号)」を6月にローンチへ

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Image credit: Ant Financial(螞蟻金融)

Jack Ma(馬雲)氏は、オープンマーケットプレイスを礎に、その数十億ドル規模の帝国を築き上げた。まずは e コマース巨大企業 Taobao(淘宝)だ。Alibaba(阿里巴巴)の最初の成功例となった Taobao は、個人や小規模な店舗が商品の売買を行うことができる、市場のようなプラットフォーム。その次にできたのが、Taobao の B2C バージョンである Tmall(天猫)である。

現在、Jack Ma 氏の目は金融機関に向けられている。

先週(3月第4週)、Alibaba の金融子会社 Ant Financial(螞蟻金融)は、サードパーティ金融機関向けの新たなマーケットプレイス Caifu Hao(財富号)を6月にローンチすることを発表した。消費者はこの新たなプラットフォームを利用して、保険商品や定期預金などの金融商品を金融機関から直接購入することが可能となる。

Caifu Hao は運用開始からしばらくは China Southern Asset Management(南方基金管理)Bosera Fund(博時基金)を含めたいくつかのミューチュアルファンドの商品のみを試験的に取り扱う予定で、将来的には、銀行、保険会社、証券会社などすべての金融機関に開放するという。

Caifu Hao へのアクセス手段として、同社の投資スマートフォンアプリ Ant Fortune(螞蟻衆宝)が採用される予定。 同アプリは、株式に関する情報や Ant Financial のマネーマーケットファンド Yu’e Bao(余額宝)へのアクセスなどをユーザに提供している。Ant Fortune によると、すでに100社の金融機関と提携を結んでいるという。

Ant Fortune の社長  Zu Guoming(祖国明)氏はプレスリリースでこう語った。

私たちの調査によると、80後(80年代以降に生まれた世代)、特に90後(90年代以降に生まれた世代)は、よりパーソナライズ化およびセグメント化された金融商品を求めるようになってきています。

金融機関は将来、ビッグデータを活用して、ユーザを最適な資産管理商品へと導くカスタマイズされたサービスを提供しなければならなくなる、と同氏は指摘する。

Ant Fortune によると、ユーザの86%以上が80後・90後の世代に属している。90後以降のグループでは、ユーザの3分の1以上となる35%が1995年以降に生まれている。Ant Fortune は2015年8月にローンチしてから徐々にユーザ数を伸ばし続け、現在のユーザ数は Yu’e Bao のユーザを除いても3,500万人以上だという。

全く新しいサービスというわけではない

Image credit: Pixabay

もちろん、Ant Financial が金融商品向けのマーケットプレイスを作った最初の企業というわけではない。Tencent 自身、Licaitong(理財通)という同じようなマーケットプレイスを2014年にローンチしている。また、消費者は JD Finance(京東金融)でも金融商品を購入することができる。

実は、Ant Financial もすでに Zhao Cai Bao(招財宝)という金融マーケットプレイスを持っている。しかし、Ant Financial は、Caifu Hao が「次世代」の金融プラットフォームになることを望んでおり、参加企業(金融機関)に顧客に関する詳細なデータを提供し、さらに商品や自社の投資報告書などのコンテンツに対する管理をより強化していきたいと考えている。

具体的には、Caifu Hao は金融機関が自社の商品を売り込むターゲットを絞れるように、詳細なユーザプロフィールを金融機関に提供することを目指している。例えば、Caifu Hao 上でのユーザのリスク選好度がわかれば、金融機関は特定の商品や特定の企業の株を勧めることができる。また、それだけでなくアフターサービスを提供したり、ポイントカードなどのマーケティングツールを活用することも可能になる。

Zennon Kapron 氏は WeChat(微信)を通じて Tech in Asia にこう語ってくれた。

金融機関の視点から見ると、Caifu Hao の方が Zhao Cai Bao よりも魅力的なようです。

Zennon 氏はアジアを中心に金融業界のリサーチおよびコンサルティングを行う企業 Kapronasia で取締役を務めている。

Caifu Hao が Taobao や Tmall のプラットフォームと同じような方法でセットアップされれば、金融機関に提供されるであろう解析データや顧客データへのアクセスは膨大な量になるでしょう。

要するに、ランディングページを制御したり、取引などに関する解析データをより多く取得することができます。これにより、商品や顧客が実際にどう動いているのか、より深く理解することができます。

しかし Ant Fortune は、基盤プラットフォームとしてどの程度の取り分を得る予定なのかは明らかにしていない。同社の広報担当者によると、Ant Financial は手数料を取ることを予定しているそうだが、具体的な手数料率は明かされていない。さらに、Yu’e Bao が Caifu Hao に統合されることを考えれば、金融機関は Ant Financial 自体との競争にも備える必要がありそうだ。

【via Tech in Asia】 @techinasia

【原文】

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