
厚生労働省が公開している情報(※)によると、認可した保育施設に入れない3歳未満の幼児数は2万3553人、東京が8466人でその次につける2536人の沖縄、1434人の大阪府に比較して数字が大きい。
これがいわゆる「待機児童」と呼ばれる問題を表すひとつの数字になる。
しかしこの問題をこの側面だけで語るのは難しい。ここには子供を産んですぐに社会復帰を考える夫婦の姿や、自立を目指す母の姿、子育てに時間を費やそうと核家族化した状況下で新たなコミュニティを求める家族の姿など、いくつかのライフスタイルが存在しそれぞれで待機児童を抱える状況も変化するからだ。

では、ここに存在する「困った状況」は多様なテクノロジーで解決できないものだろうか?
THE BRIDGEではスタートアップや企業と一緒に、世の中の課題をテクノロジーの視点で考える「Lab.」プログラムを4月から実施している。初回は教育・子育てをテーマにこの「待機児童」問題を考えた。月末には調査・ディスカッションした内容をレポートの形にまとめる予定だ。
グループ保育の実現に必要なテクノロジーやアイデア
待機児童を抱える両親の問題を「費用負担」「自立や働き方などのライフスタイル変化」「預ける場合の安心安全」の3点に整理した。もっとも大きな課題と考えられる費用負担については、例えば複数人でグループを作ってシッター依頼する「シェア版グループ保育」のようなものがあれば負担軽減につながるのではと考え、実現に必要なサービスアイデアを整理している。なお、検討の中に0歳児預かりの人数制限などの細部は割愛している。
オンデマンドシッターサービス
クラウドソースタイプのシッターサービスでは国内はキッズライン、海外ではTrustedなどがあるが、実際に海外で子育て中の友人数人に聞いたところ、クレイグスリストなどの掲示板やCare.comのようなもう少し広い範囲でのサービス内で依頼するケースの方の方が一般的ということだった。また、先日発表されたpookのように、シッターの負担を軽減する目的で買い物などの軽作業を依頼できるサービスの必要性も感じた。
グループ保育に活用できるスペースシェア
有休スペースをマッチングしてくれるスペースマーケットは第一候補だが、託児には例えばベッドやプレイスペースなどの設備が必要になる。会議室に特化したスペイシーなどのように、託児に特化したスペースシェアのアイデアが必要かもしれない。
一緒にグループ保育してくれるコミュニティづくり
民間のグループ保育サービスがあったとしてどうやって参加する人を集めるのがよいだろうか。CAMPFIREが先日発表したpolcaというサービスは同じような目的を持った人たちを集め、同時に決済までできるという点でぴったりかもしれない。地域に根ざした小さいクラスタという点で地域掲示板「マチマチ」も大いに可能性があるだろう。マチマチでは実際に子育てや保活に関する情報交換をする場所として機能しているそうだ。
保育の負担を減らす、安心安全の取り組み
託児した子供の見守りには、例えばBoccoのような遠隔地の両親とグループ保育中のシッターや子供をつなぐソリューションが役立つかもしれない。また、Sproutlingのように幼児のモニタリングをしてくれるIoTデバイスは、複数人の子供を監視する上でシッターの負担を軽減させることにつながるだろう。
読者のみなさんでもしこのアプローチもあるという情報をお持ちの方がいればこちらのフォームから情報を送ってほしい。自薦他薦、スタートアップか否かは問わない。採用された情報はレポートに掲載した上で、情報提供者にもそのレポートを共有させていただく。
※厚生労働省発表/平成28年4月1日時点の情報
BRIDGE Members
BRIDGEでは会員制度の「Members」を運営しています。登録いただくと会員限定の記事が毎月3本まで読めるほか、Discordの招待リンクをお送りしています。登録は無料で、有料会員の方は会員限定記事が全て読めるようになります(初回登録時1週間無料)。- 会員限定記事・毎月3本
- コミュニティDiscord招待