福岡市や仏・ボルドー都市圏など、スタートアップの相互支援に関する覚書を締結——世界のドローン・スタートアップを集めたイベントを初開催

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左から:Fukuoka D.C. 会長の麻生泰(ゆたか)氏、福岡市長の高島宗一郎氏、Bordeaux Technowest ディレクターの Francois Baffou 氏、ボルドー市議会経済担当委員長 Florence Forzy-Raffard 氏
Image credit: 福岡市

福岡市、フランス・Bordeaux Métropole(ボルドー都市圏)、福岡地域戦略推進協議会(通称:Fukuoka D.C.)、Bordeaux Technowest の4者は22日、福岡市内で記者会見を開き、スタートアップの支援に関する覚書(MoU)を締結した。福岡市による海外姉妹都市との覚書締結としては6例目となる。

この覚書により、スタートアップや起業家は今月8日に FUKUOKA growth next 内に開設された「Fukuoka Global Startup Center」を通じて、ボルドー現地の情報収集や支援機関への相談、会社設立、現地とのオンラインセミナーや相談会に参加できるようになる。また、ボルドー市の外郭団体(スタートアップ支援 NPO)である Bordeaux Technowest は、最大長さ50km、高さ3,000フィートにおよぶ大規模なドローン試験飛行区域を4ヶ所管理しており、福岡市が推薦したスタートアップは、当該区域での試験飛行が許可される。

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これに関連して、23日には FUKUOKA growth next で日本内外のドローンスタートアップが一堂に会するイベント「Global Startup Drone MeetFes」が開催された。イベントの冒頭、Fukuoka F.C. 会長の麻生泰(ゆたか)氏、福岡市長の高島宗一郎氏、Bordeaux Technowest ディレクターの Francois Baffou 氏、Bordeau Technowest Secretary General の Gosia Petaux 氏らが覚書の締結とイベントの開催を祝してスピーチを行った。

福岡市では、博多湾に浮かぶ能古島との間で、セルラードローンを使った買い物代行サービスの実証実験が行われており、その成果についても高島氏から紹介された。このサービスは日用品が必ずしもすぐに入手できない離島に住む高齢者を対象ユーザに想定したものだ。NTTドコモ、MIKAWAYA21エンルートが共同で実証実験を行っており、ユーザがボタンを押すと、受付センターからユーザに注文を尋ねる電話がなされ(直接オンラインで注文を受けないのは、電話越しに一人暮らし高齢者の安否を確認したり、技術的ハードルを下げたりする意図がある)、都市部の店舗で商品を調達し(買い物代行)、ドローンで島に住むユーザの手元に届けられるというものだ。

FUKUOKA growth next のある旧大名小学校の体育館には、日本やフランスをはじめ、アメリカ・台湾・中国・韓国・ニュージーランドなどからドローンスタートアップが一堂に会し、サービスやプロダクトの紹介に努めていた。特に中国からは、農薬散布を自動化できるドローンの展示がいくつか見られた。日本の OPTiM は、水産業向けに開発されたドローンを使って、空中から有明海の海苔の養殖状況をモニタリングするユースケースを紹介していた。

Guangzhou Tianxiang Aviation Technology(広州天翔航空科技)
Xaircraft(極飛科技)
OPTiM

ドローンの日常分野への活用を振興する意図から、福岡市では福岡をテーマにしたドローン撮影による動画コンテスト「FUKUOKA DRONE CREATIVE AWARD」を創設しているが、この日、ドローンを片手に世界一周新婚旅行したことで知られる Honeymoon Traveler の山口千貴・真理子夫妻らを審査員に招いて最終審査が行われ、能古島・福岡市の2つのテーマカテゴリそれぞれ3件のファイナリストの中から、能古島カテゴリには福山剣介氏の「Nokonoshima through eye」、福岡市カテゴリには Nigel Paquin 氏の「Hidden Paradise Fukuoka」が最優秀賞を受賞した。

「FUKUOKA DRONE CREATIVE AWARD」の審査員とファイナリスト

イベントの最後には、深圳を拠点に xyZing.innovation(翼彩創新)というドローンスタートアップを経営し、日本ドローンレース協会(JDRA)の海外事業責任者を務める川ノ上和文氏が登壇し、ドローンをテーマに福岡と深圳が MICE 分野(国際会議の誘致を含むビジネス観光分野)で連携が図れる可能性について講演した。

川ノ上和文氏

川ノ上氏によれば、ドローンの約7割の部品はスマートフォンの部品と同じとされ、ZTE(中興)や華為(Huawei)といったスマートフォーンメーカーが本社を置く深圳は、中国でも最もドローンを多く生産・輸出する都市へと成長したのだという。

深圳には、海亀(または海帰)の異名を持つ海外留学経験者が約7万人いて、スタートアップの担い手として地元政府などからも熱い視線が注がれているのだという。川ノ上氏は、福岡のクリエイティブと深圳のハードウェア/オペレータなど相互補完となる関係を成立させ、互いに成長を目指せるモデルプランを提言した。

 

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