テキサス州オースティンのALTR、1,500万米ドルを調達——エンタープライズ向けデータセキュリティにブロックチェーンを活用

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(上)ALTR チーム
Image Credit: ALTR

4年間のステルスモードを経て、Altr はブロックチェーン技術を活用したサイバーセキュリティのソフトウェア構築のために1,500万米ドルを調達したと本日(6月7日)発表した。

クラウドやマイクロサービス、ネイティブモバイルアプリ、IoT が普及していく中で、データを標的とする新たな脅威が出現しており、2022年までにはサイバー犯罪は世界経済に対して8兆米ドルの影響を与えると見られている。

テキサス州オースティンに拠点を置く Altr は Altrchain 上に独自のプラットフォームを構築している。これはきわめて安全なデータアクセスや保存が期待できる現時点では唯一の高機能なエンタープライズ向けブロックチェーン技術である。

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(上)Altr チーム
Image Credit: ALTR

Altr プラットフォームはデータセキュリティのソリューションで、企業がきわめて重要な情報をモニター、アクセス、保存することができる。旧式で上手く機能しない周辺システムのレベルを超えて、Altr はサイバーセキュリティにおける新たなパラダイムを根本的に作り出そうとしている。

同社はサイバーセキュリティや IT、金融サービス分野の機関および個人投資家から資金を調達しており、エンジェル投資家で Ronin Capital の CEO でもある John Stafford 氏も投資に参加した。調達した資金は Altr プラットフォームのリーチを拡大し、Altrchain をベースとしたさらなる製品やソリューションを市場に送り込むために使われる予定。

Altr を率いる CEO の David Sikora 氏はソフトウェア業界のベテランで、世界的に有名な地政学的情報分析プラットフォームを開発した Stratfor のエグゼクティブチェアを務めた人物である。Sikora 氏は ForeFront Group と共にテキサスで初のインターネットソフトウェアの IPO を実施したことで知られており、Digby や Motive、Pervasive Software で要職を務めた経験を持つ。

ブロックチェーンをどのように活用するかについて、Sikora 氏は e メールで以下のように答えた。

ブロックチェーンはデータそのものに高セキュアなストレージを提供します。Altr 独自のブロックチェーン技術はこの目的のために最適化しており、それこそが弊社の特許ポートフォリオが注力している部分です。また、全データへのアクセスリクエストや応答、管理者権限による変更、異常に関するイミュータブルなログも提供します。データについて説明責任がある全ての人が信頼できる「デジタルな真実」なのです。

同社のアドバイザーにはテック大手の IBM や Microsoft のソフトウェアエグゼクティブを務めた Mike Maples 氏、セキュリティに関して超一流の世界的な専門家でありアメリカ外交保安局の対テロリズム部門副チーフでもあった Fred Burton 氏、アメリカ国土安全保障省の CTO であった Michael Hermus 氏、Dell のソフトウェアグループを率いたこともありサイバーセキュリティ大手 CA の CEO も務めていた John Swainson 氏、そして Spiceworks や Motive の共同設立者で以前は NeXT や Apple に対する専門的なサービスを率いていた Scott Abel 氏などがいる。

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(上)Altr ダッシュボード
Image Credit: ALTR

攻撃環境の拡大は誘惑と経済的な見返りが入り交じっていることを示していると Altr は考えている。そこから利益を得る攻撃者は、常にセキュリティプロバイダの一歩先を行き、ソフトウェアのパッチ、新たなアプリケーション、そしてとてつもない複雑さという負のサイクルに彼らを陥れるものだ。

Sikora 氏は声明で次のように述べた。

変更か突破かという選択肢があります。ネットワークに注力したセキュリティでは十分ではありません。膨大な数の脆弱性に対しては焼け石に水ですから。既存の攻撃領域をパッチで塞ぐのではなく、それを大いに減らす方法を Altr は見つけました。事実、Altr のソリューションを完全に機能させると、データへの脅威はほぼゼロになります。デジタルの信頼性はついに回復されるのです。

新たなセキュリティの構成を作り上げるというミッションは Altr をブロックチェーンへと導き、そこ以外に道はなかった。ブロックチェーンほどセキュリティが強固な技術はないが、仮想通貨用の元々のアプリケーションには重要な企業情報を守るために必要な柔軟性やプライバシー、パフォーマンスが求められてはいなかった。

Altr プラットフォームは Altrchain を基礎として利用し、本質的に不可侵なブロックチェーンの構造をデータセキュリティに応用している。プライベートなブロックチェーンにおけるコアアプローチ、インラインデータ技術、リアルタイムアラート、ビジネスイネーブルメントのための報告を通じて、データへの脅威をなくすよう設計されている。

データ使用の分野で信頼を回復するには3つのことが必要です。アクセスのニーズを見て理解し、誰でも本当のことを知ることができるよう、その視点を管理者と IT が共有することが非常に重要です。また、不適切もしくはポリシー違反の際はアクセスを遮断する手段も必要ですし、データを守るためにそれを盗む能力を減らしたり、もしくは排除したりする必要もあります。(Sikora 氏)

 

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(上)ALTR はブロックチェーン技術をセキュリティに活用している
Image Credit: ALTR

データの保全性はセキュリティだけの問題ではない。Altr プラットフォームでは CEO、CISO、CCO、IT の専門家といった技術的および非技術的なスタッフが皆、データセキュリティにおいて有意義な協力ができるよう、同じ考えを持っている。彼らは同プラットフォームによって幅広い視野を持ち、ある企業のデータ資産を誰がどう使ったり見たりするのかをコントロールすることができる。

情報はドライバレベルから直接引き出され、Altrchain を使ってイミュータブルに保存され、企業戦略およびセキュリティ戦略に有益なキーとなる運用上のインサイトを提供する。

リアルタイムのデータ保護は、今までは詐欺的な振る舞いを主に遡及的に検知することに基づいていたが、品質の向上と自動化を行う Altr のソリューションはデータやネットワークのリソースに影響を与えようとするあらゆる試みを記録し、ブロックチェーンに保存する。この永続的で不変の証拠は攻撃者を妨げるものとして機能する。

Altr プラットフォームには Altr Monitor(事例をモニターし監査する)、Altr Govern(データアクセスをコントロールする)、そして Altr Protect(機密データを分散的な方法で保存する)がある。

このプラットフォームは既存のハードウェアやソフトウェアインフラを変更することなく、コンピュータネットワークの中にシームレスに統合されるもので、Microsoft や Oracle、オープンソースのものなど全ての主要なデータベースプラットフォームがサポート対象であると同社は述べた。

Altr には取得済みの特許が12件、申請中のものが30件ある。2014年設立、現在25名の社員がいる。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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