より多くのスタートアップ支援に向け、努力は繰り返される〜東京都主催「スタートアップTOKYOセミナー2018」から【ゲスト寄稿】

本稿は、THE BRIDGE 英語版で翻訳・校正などを担当する “Tex” Pomeroy 氏の寄稿を翻訳したものです。オリジナルはこちら


東京開業ワンストップセンター(TOSBEC)
Image credit: Invest Tokyo

「スタートアップ、スタートアップ、どこででも……」

6月は、東京はオリンピックだけでなく、5月にその名を汚すこととなったアメリカンフッドボールのラグビーW杯など、さまざまな国際イベントを活用して、本格的な取り組みを立ち上げようとしているようだ。一方、東京都知事の小池百合子氏は、築地市場や開発・環境問題などの障害の問題解決を強いられてきた。

東京都は5月28日、貿易振興機構(JETRO)Invest Japan Center と共に「スタートアップ TOKYO セミナー」という会合を開いた。その後もスタートアップに特化したイベントが続き、スタートアップの役割が強調された5年に一度の防災イベントで最高潮に達した。これは、「スタートアップマントラ」でも唱えようというのか。

外資系スタートアップにとって、東京の親しみやすさを強調するために、スタートアップ TOKYO セミナーは JETRO 本部や Invest Japan のオフィスの隣にあるアークヒルズサウスの WeWork 施設で開催された。都知事が短いスピーチを行って、このイベントの開会を宣言した。実際のところは、彼女が到着するまでの間、参加者らは東京のメリットを賞賛する彼女のビデオを何度も見なければならなかった。

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東京都知事 小池百合子氏
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Invest Tokyo

フィナンシャル・タイムズ(現在は、日経が所有していることを付け加えておく)などのメディアは東京が住む上で最良の都市であると伝え、国家戦略特区の恩恵によって、東京開業ワンストップセンター(TOSBEC)は、スタートアップの会社設立や、外国企業が支店や子会社を設置する上での支援を提供していると、都知事は述べた。

WeWork 日本法人の CEO Chris Hill 氏は、今年の初めに、同社が東京に進出を始めた背景について語った。その後、Hill 氏のスタッフがプレゼンテーションを行い、参加者らを招いて WeWork 内の施設見学に案内した。これと並行して、おうちデトックスの大橋わか氏夫妻の体験紹介など起業家とのネットワーキングも行われた。

アメリカ人ビジネスマンの Erek Yedwabnick 氏は、国際インターネットコンサルティング会社 Webguru を代表して講演した。彼は、web に詳しい多国籍出身者からなるチームの持つ知識と、彼の日本人の妻による言語サポートをもってしても、TOSBEC 無しでは、迅速に拠点を開設することは非常に面倒だっただろうと指摘した。これと同様に、Webguru は今後、知的所有権問題などで TOSBEC に相談する必要があるようだ。

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WeWork Japan CEO Chris Hill 氏
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事業拡大

おうちデトックスについて、代表の大橋氏は事業拡大について説明した。元看護師で、さまざまな品物のコンパクト収納のノウハウを身につけた彼女は個人レベルで事業を開始し、日本で「汚部屋」という社会問題の解決で共感を集めた。彼女は組織的に事業を拡大し、法人化するために IT リテラシーとビジネスコンピューティングの力を高めた(大橋の夫もまた、計算が得意な人物だ)。

大橋氏は現在、現地パートナーを得て、京都への事業拡大を図っている最中のようだ。京都のような歴史豊かな地域では、価値のある品物が家宝であろうと(カゴの中のりんご1個がダメになると、同じカゴに入ったりんごが全部ダメになってしまうという、古いことわざがある)、貴重な文書であろうと、それが残念にも腐敗してしまう可能性があるので、適切な保管方法の専門知識を活用できるだろう。

興味深いことに、清潔な保管庫はアジア太平洋全体で良好なビジネスになりつつある。拡散するアレルゲン(アレルギー源)や感染症を減らすための必要性だけでなく、この地域には自然や人工のダモクレスの剣(訳注:繁榮の最中における危険)が存在するので、適切な保管とメンテナンスのための準備は、自宅や職場(そして、コワーキングスペースも)で新しい需要を形成すると予見されている。

おうちデトックス CEO 大橋わか氏
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