
モビリティデータの解析プラットフォームを展開するスマートドライブは8月6日、第三者割当増資による総額17億円の資金調達を公表した。引受先となったのは産業革新機構、ゴールドマン・サックス、日本GLPの関連企業で物流分析を手がけるモノフル、鳴海の投資部門の2020の4社。払込日や出資比率などは公開されていない。
同社は今回の増資を機に物流業界への展開を強化するほか、コンシューマー向けに展開を開始した月額制のコネクテッドカー・リース事業「SmartDrive Cars」の拠点拡大、マーケティング強化を進める。また、スマートドライブは研究開発部門として「SmartDrive Lab」を新設することも公表している。
今回、中国・深圳にモビリティ事業のR&Dセンターとして誕生したラボは、これまでスマートドライブが収集してきた車両移動に関するデータを活用した新たなサービス、ビジネスの研究開発拠点となる。

スマートドライブの事業を簡単におさらいすると、車両データを各種デバイスで収集、解析するSmartDviveプラットフォームを中心にB2B事業の「SmartDrive Fleet(旧DriveOps)」とB2C事業の「SmartDrive Cars」に大きく分かれる。前者は主に物流や営業車などの移動効率化やコスト削減を実現するサービスで、後者はいわゆるカーリース事業になる。
両方ともモビリティによるビッグデータを活用して、例えば安全運転する人には保険が安くなったり、リースの残価が予測できるようになるなど、データに基づいたサービスを提供することが可能になる。

同社代表取締役の北川烈氏に改めて確認したが、車両から取れるデータはOBDⅡポートタイプで50種類ほど。特殊な整備用ポートを使うことから、現在はシガーソケットに差し込むBLEタイプが主流になっており、OBDⅡよりも取れるデータは少ないものの、これまでのプラットフォームのデータから燃費や運転傾向の予測が可能になっている。
新たに設置されたラボの狙いはこのビッグデータの新たな活用方法にある。
現在、前述の車両データ以外に、車載カメラやタイヤの空気圧データなどを取得できるデバイスを検討しており、これら新たなデータを追加することで、例えば空気圧チェックによるトラック事故の防止などに役立てることができるそうだ。北川氏の説明では、排気ガスの数値や物流重量、体積などのデータには注目しているという。
現在のスマートドライブの体制は50名ほど。7割が開発陣で、そのうち数名がこのラボにて研究開発に携わるという話だ。直近ではSmartDriveのプラットフォーム精度や処理の改善、他社との技術連携による画像解析やロボティクス技術、ブロックチェーン技術の活用などをテーマに研究開発を推進する。
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