CoinTracker、仮想通貨にかかる税金を管理——複数の仮想通貨間で保有者の相関関係も分析

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CoinTracker は仮想通貨間の相関関係を追跡することができる
Image Credit: CoinTracker

CoinTracker は、仮想通貨投資家がポートフォリオと税金を管理できるツールを開発するために設立された。同社は今回、CoinTracker と連携している5万件の仮想通貨取引用口座と、3億米ドル相当の暗号資産に関する記録からなる集合データを公開した。CoinTracker は最近150万米ドルを調達している。

同社は Y Combinator が支援しており、ビットコインとイーサリアムの流行とともに成長してきた。会社の成長に合わせて、利益(場合によっては今年の損失)を得た投資家の課税額算出方法を確立し、投資家が仮想通貨のポートフォリオをまとめて確認できるシンプルなダッシュボードを開発した。

同社は2017年9月に Google の元社員である Jon Lerner 氏と Chandan Lodha 氏によって設立された。データ視覚化企業である Stamen との提携により、CoinTracker は集合データを使ってランキング100位以内の仮想通貨間の相関関係を一目でわかるようにしている

Lodha 氏は VentureBeat とのインタビューで以下のように語った。

私たちにはランキング100位以内の仮想通貨に関して、通貨間の相関関係を計算できる手法があります。例えば仮想通貨 X を持っているユーザが、仮想通貨 Y を持っている確率はどのくらいかを計算することができます。

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CoinTracker の Chandan Lodha 氏(左)と Jon Lerner 氏
Image Credit: CoinTracker

CoinTracker の税金計算ツールは、課税対象となる仮想通貨取引があって申告が必要なすべてのユーザが使えるものになっている。大半の取引所では基本的な税金関連情報すら提供されない。また、一部の取引所では、すべてのウォレットと取引所のすべての取引を把握していない限り、正確な税金関連情報を手に入れることもできないと Lodha 氏は言う。

この問題に対する CoinTracker のソリューションにより、手作業なら時には数十時間から数百時間もかかってしまうスプレッドシートの照合作業をなくすことができる。

Lodha 氏はこのように話す。

所有しているすべての仮想通貨を1つのダッシュボードにまとめることができます。すべてのデータを視覚的に見ることができるうえに、無料で利用できます。ポートフォリオがどうなっているかも一目でわかります。有料版では税金の自動計算ができます。取引の記録をまとめてキャピタルゲインを計算し、IRS 8949キャピタルゲイン申請書を印刷することができるのです。

同社の製品は2,500以上の仮想通貨をサポートしており、大手取引所17社とは自動的にデータを同期することができる。CoinTracker は以前にも150万米ドルを調達している。この投資は Coinbase の最初のシードインベスターである Initialized Capital がリードし、他にも Protocol Labs の CEO である Juan Benet 氏などの投資家が参加している。

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CoinTracker が提供する仮想通貨間の相関関係
Image Credit: CoinTracker

Lerner 氏は TextNow の元共同設立者兼 CTO である。Lodha 氏は Google の元プロダクトマネージャーで、直近では Google の Project Loon に参加していた。

2人は熱烈な仮想通貨愛好家で、自身たちでも複数のウォレットにいくつかの仮想通貨を保有していた。しかし、自分たちの収支がどうだったのか、取得原価がいくらでキャピタルゲインがいくらなのかを計算する方法がなかった。

彼らはまずスプレッドシートのシステムを開発するところからスタートしたが、Google のアプリスクリプトと、様々な仮想通貨の情報を収集するための API 呼び出しによってどんどん複雑なものになっていた。最終的には2分で実際のスプレッドシートのページを読み込めるまでになった。彼らはシンプルで必要最低限の機能を備えた実用的な製品を開発した。これをオンライン上でいくつかの草創期の仮想通貨コミュニティ向けにローンチした。この時の簡易バージョンが今の CoinTracker の原型であり、現在では複数の取引所と自動的に同期できるような本格的な機能を備えるまでになっている。

Lodha 氏は言う。

私たちは、誰もが使える金融システムによって世界をより良い場所にすることができると信じています。ブロックチェーンと仮想通貨によって、すでにこれが実現されようとしています。私たちの希望はこの動きをさらに加速させることです。難しすぎて使えなかったり、特定のグループしか使えないようなものは、誰もが使える金融システムとは言えません。私たちの使命はいたってシンプルです。それはすべての人が簡単に仮想通貨を使えるようにすることです。

Y Combinator の他に、Kindred Ventures、Signature Fund、Ryan Shea 氏(Blockstack の共同設立者)、Zach Peret 氏(Plaid の共同設立者兼 CEO)、William Hockey 氏(Plaid の共同設立者兼 CTO)、Brenden Mulligan 氏(LaunchKit の共同設立者)なども投資に参加している。

Initialized Capital のマネージングパートナーである Garry Tan 氏は声明で次のように語った。

CoinTracker は、あらゆる人が仮想通貨を使えるようになることを目標とするチームの中でも最も優秀な人たちです。この業界における最大の課題はユーザエクスペリエンスです。誰もが使えるテクノロジーを実現することについて深く理解している人たちに出会うのはいつでも喜ばしいことです。

CoinTracker は大手の仮想通貨取引所やウォレットと取引の内容や残高を同期し、ユーザは仮想通貨のポートフォリオの収支を統合されたダッシュボードで確認することができる。また、アメリカ、オーストラリア、カナダ、イギリスでは仮想通貨にかかる税金の計算もサポートされている。

Lodha 氏によると、各ユーザのデータは CoinTracker 上で非公開となっているという。その一方で同社は、CoinTracker 上の4万人のユーザに関する匿名化されたデータを集約し、どのようなトレンドがあるかを分析した。

Lodha 氏によると、トレンドを見る限りではユーザは1つの取引所で複数の仮想通貨を保有しているという。時価総額の小さい仮想通貨を保有しているユーザは、より時価総額の大きい仮想通貨も保有する傾向が強いようである。時価総額の大きい仮想通貨は有名である場合が多く、知覚リスクが小さいため、保有しているユーザ数が多くなるのは当然の結果とも言える。例えば、ビットコインを保有しているユーザのうちビットコインキャッシュも保有しているのは25%なのに対し、ビットコインキャッシュを保有しているユーザの86%がビットコインも保有している。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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