新型コロナウイルスが「地球に優しい」という皮肉

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Image Credit : Pixabay

ピックアップCoronavirus pandemic leading to huge drop in air pollution

ニュースサマリー:新型コロナウイルスは今や全世界中の経済活動や移動を制限している。しかし現在、皮肉なことに経済活動及び移動の減少は、我々が長年削減を試みてきた空気汚染の減少に大きく寄与している。下図は中国における、大気中の二酸化窒素の濃度の変化を表したものだ。

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対流圏中の二酸化窒素濃度  (左:2020年1月1日~20日、右:2020年2月10~25日)
Image Credit : ESA

上図二つのイメージを見れば一目瞭然だが、今年2月に入って以降、中国全土の二酸化窒素濃度は著しく低下している。ESA(欧州宇宙機関)によれば、同様の現象が中国だけではなく世界中の都市及び産業クラスターで起きているという。

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イタリアの対流圏中の二酸化窒素濃度(左:2019年3月、右:2020年3月14~25日)
Image Credit : ESA

話題のポイント:二酸化窒素とは、一酸化窒素(NO)の二次生成物で、自動車や工場での燃焼だけでなくビル、家庭からの排出される有害物質です。二酸化窒素は二酸化炭素とは異なる物質ですが、同様の工業活動によって排出されるそうです。温暖化に影響を与えている二酸化炭素の減少も同じ程度生じていると推測されます。

レスター大学の空気汚染の専門家であるPaul Monks氏は英ガーディアンの取材に対して、空気汚染の減少には様々な利点があると指摘しています。例えば空気汚染がなくなることで、喘息持ちの人々は症状を改善することができますし、また人々の免疫力を上げることで、特定のウイルスの感染を抑制する効果も期待できるとしています。

加えて同氏は以下のように述べています。

私たちは現在、不本意な形ではあるにしろ史上最大規模の実験を行っているのです。低炭素経済に移行することができれば、どんな未来が見えてくるのでしょうか。命の損失を軽蔑するわけではありませんが、今回のパンデミックは、恐怖の中から我々に希望を与えてくれるかもしれません

この現象を見て環境問題が解決に向かっているなどと、到底言うことはできません。しかし、今回のパンデミックを通して副次的に誕生した何かがより持続的な経済モデルを生み出すヒントを含んでいることには注視すべきでしょう。

テクノロジー業界における典型的な例は、現在利用が急激に増加しているオンラインワーク・ツールです。ZoomやMicrosoft Teamsなどのビデオ会議ツールやSlackなどのコミュニケーションツール、その他コラボレーションツールによって、我々は出社や出張、集会を回避できるようになりました。

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人々は移動から解放され、温暖化や空気汚染を排出する車やバス、飛行機の利用を抑えることができます。このようにテクノロジーの可能性を考えると、我々は今回のパンデミックをある種の好機と捉えることもできるはずです。

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