新型コロナ対策で、プログラムのバーチャル化を進める世界のスタートアップアクセラレータ(2/3)

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前回からの続き)

企業が先を争ってビジネスをリモートワーキングや隔離に適応させようとする中で、投資家の資金や指導を求めて競い合うスタートアップもまた、新しい世界の秩序に直面している。

SkyDeck

カリフォルニア大学バークレー校のアクセラレータ「SkyDeck」 のスローガン

カリフォルニア州では先週、カリフォルニア大学バークレー校のアクセラレータ「SkyDeck」が、春のプログラムに参加する AI 、企業用ソフトウェア、ロボティクス、健康、生物科学、その他多岐にわたる11ヶ国24社のスタートアップからなる新コホートを選考したと発表した。SkyDeck はアメリカでもっとも著名な大学系アクセラレータであり、カリフォルニア大学バークレー校のハース・ビジネススクール、工学大学院、研究担当副総長室の共同イニシアチブとなっている。その資金の一部はSequoiaを含む大手機関 VC が拠出している。

SkyDeck はピッチ面接の大部分を大規模なロックダウンが実施される前に完了することができたが、移動規制がかかったため最終ラウンドの少数の面接は Zoom 越しに行われた。そして Intel Ignite と同様に、カリフォルニアで屋内退避令が出された後は、SkyDeck も今後数ヶ月間の全てのプログラムを遠隔で行う。

SkyDeck のエグゼクティブディレクター Caroline Winnett 氏は VentureBeat に次のように語った。

全てのスタートアップはオンライン技術を通じて、アドバイザーや投資家、およびその他のコラボレーターから指導を受けたり協働したりすることになります。

3月30日に始まった6ヶ月間のプログラムは、9月15日に予定されているデモデイまで続く。今からそれまでの間に何が起きるのかは不透明だ。プログラムの進行と共にソーシャルディスタンシングの制限が緩和される可能性もあるが、現在の計画はバーチャルでの運用に強く向けられている。

SkyDeck の Caroline Winnett 氏

私たちは主にどこのリモートワークでも目にする標準的なツールを使っています。たくさんの Google つーる、Slack、Zoom、そしてもちろん Krisp(ノイズキャンセリングに特化した SkyDeck 輩出のスタートアップ)です。(中略)

ツールは重要ですが、標準的なものを使っています。可能な限り上手く進めるため、私たちが本当に正しくやらなければならないことは、カルチャーとコミュニティ活動です。(Winnett 氏)

対面のプログラムを遠隔に変えるには厳しい方向転換が求められることを考えれば、試行錯誤なアプローチが必要となり、そこにはメンターと起業家の間の「バーチャルコーヒーセッション」や、特定の同じものに興味を持つ人によるオンラインのグループ、そして多くのアドバイザーエンゲージメントを作り出すことが含まれる。

SkyDeck は対面でのプログラムに、常に誇りを持ってきました。私たちは投資家を紹介するただの資金調達キャンプではなく、世界中の多くのスタートアップとカリフォルニア大学バークレー校のリソースを結びつける機会を通じて、ビジネスを構築することに非常に注力しているのです。(中略)

なので、すべてをバーチャルで行うというのは斬新な挑戦です。多くの実験をすることになるでしょう。(Winnett 氏)

バークレー校の SkyDeck Fund の投資家であり共同設立者でもあ るChon Tang 氏も、進めながら適応させていくケースになるだろうと同意する。

毎日の集まりと隔週のチェックインは非常に理に適っています。(中略)

私たちは既にSlack上ではきわめて素早く応答してますが、それをさらに進めるため、もう少し努力することになると思います。これは壮大な実験ですので、私たちは進めていくにつれて学ぶことになるでしょう。(Tang 氏)

しかしながら、まだ疑問は燻っている。SkyDeck や類似のアクセラレータは、新型コロナの後ではどのようになっているのだろうか。元に戻るのだろうか、それともプログラムの運営方法に恒久的な変化はあるのだろうか。

私たちは確実に多くを学ぶことになりますし、どれだけの交流が直接対面でなければならないのかという予測に変化はあると考えています。(中略)

私たちは既に、遠隔にも役立つ力強いプラットフォームを開発しています。私たちは既に面接の第一段階で、起業家と遠隔で面接を行っています。問題は、対面と遠隔の最適なバランスはどこかということです。今回のプロセスを通じて見つけることができるよう願っています。(Winnett 氏)

遠隔操作

リモートワークは決して新しいコンセプトというわけではなく、多数の有名な組織の運営は労働力を現実世界のハブに集中させず、分散させている。WordPress.com の親会社 Automattic は、GitLab、GitHub、Basecamp を持ち、こういった働き方を長らく受け入れてきた。昨年、決済大手の Stripe はより多くのテック人材を求めて、新しいリモートのエンジニアリングハブをローンチした。しかしながら Tang 氏は、遠隔で運営を行うことができる企業を作ることと、遠隔で企業を作ることの間には違いがあるとしている。

私の意見は、分散した労働力を持つバーチャルな企業を作ることは完全に可能であっても、バーチャルに企業を作ることは困難であるというものです。(中略)

というのも、アドバイザーや投資家や戦略顧客と会うときには、まだ直接顔を合わせる必要があると私は考えています。シリコンバレーの魔法や、同等のエコシステムが他の場所で成立しにくいのも、これである程度説明がつきます。(Tang 氏)

世界的なアクセラレータとして、バーチャルな運営を強く後押しすることは、地球の反対側にいるスタートアップと連絡を取るという点で SkyDeck の助けになるかもしれない。しかし究極的な目的は、そういったスタートアップを「シリコンバレーを中心とした企業へと変化させる」ことであると Tan g氏は指摘し、つまり実際にそこにいることが確実に望ましいということである。もちろん、世界的な健康状況が許せばではあるが。

SkyDeck の2020年2月のデモデイ

9月のデモデイに関しては、SkyDeck はまだバーチャルイベントを予定してはいないが、状況的にそうしなければならなくなったとしても、比較的容易にできるだろうと自信を持っている。しかしながら、カリフォルニア大学のマーチングバンドが生演奏を披露した2月のデモデイと同じようなものになることはないだろう。

アクセラレーションプロセスのこの点に関してはあまり気にかけていません。数千人に向けてコンピュータの画面上でピッチすることと、700人以上の大観衆を前に小さなステージの上に立つこと。デジタル版の方がそれほど悪いとは、私は明確には言えません。(中略)

ですが、企業にはシリコンバレーに実際に存在して、雇用し、販売し、求人し、それに続く投資家とパートナーシップのミーティングを開いてほしいと本当に思います。(Tang 氏)

この困難な時にバーチャル環境を受け入れているアクセラレータは Intel Ignite と SkyDeck だけではない。Y Combinator(YC)は先月の2020年冬期デモデイ全体をオンラインで開催し、次のプログラムの2020年夏期のエントリでも、完全に遠隔で面接が行われる。YC の夏期プログラムは6月まで開始しないことになっているが、これで物事が元通りに進むまでの時間ができるかもしれない。だが長引くソーシャルディスタンシングや移動制限によって調整を余儀なくされるかもしれない。スポークスパーソンは、状況の進展に応じてプログラムの運営方法を決定すると述べている。

次編へ続く)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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